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自らうつ病に苦しみ乗り越えた!フォロワー39万人超の精神科医が教えてくれる「穏やかに生きる術」

 心の平穏を保つコツを発信し続け、X(旧Twitter)フォロワーが39万人超の精神科医Tomyさん。新著『穏やかに生きる術』には、誰もがすぐに取り入れられる方法を23のレッスンとして収録している。Tomyさんが自ら乗り越えてきた試練を踏まえ新著で伝えたいこととは?その想いを伺った。

うつ病を経験したTomyさんが、自分を取り戻した方法とは

 自らも辛いうつ病を経験し、精神科医としての知識とさまざまな工夫で穏やかな自分を取り戻したというTomyさん。以前は、顔を出さずオネエキャラの演出をしていたが、現在はキャラづくりをせずに自然体で活動している。

「私は、30代で父とパートナーを立て続けに亡くし、その後うつ病を発症しました。当時は仕事の転機も重なり苦しい思いをしました。そのときは悔しくて、『何が何でも穏やかに生きてやろう』と思ったんです。そこで、自分をコントロールする方法を模索するうち、ノウハウが溜まっていきました。この本は当時を思い出して書いたものです」(Tomyさん。以下「」は同じ)

――自分を穏やかに保つというのは、おそらく誰にとっても永遠のテーマですね

「精神科を受診される患者さまは、大切な人との死別、大病、離婚など、大きなライフイベントが不調のきっかけになっている場合が多いのです。介護のストレスが原因の方もいらっしゃいます。人生の中で、自分の根幹を揺るがす一大事が起こったときも平穏に過ごせたらいいですよね」

――新著の第1章にある、「感情を味方につける」について教えてください

「自分の機嫌を取ることが大切だと思って書きました。仕事の帰りにできる小さなことや、まとめて休みを取れるときにやることなど、いろいろあるといいですね。趣味というほど大げさでなくていいんです。インスタを見て気になる場所に行ってみるだけでも十分楽しいと思います。私もたくさん用意してるんですよ。最近は、流行りもあって、サウナにハマっています。自分がご機嫌になる方法をいっぱい持っていれば、厳しい状況に置かれても、ゆるゆるした気持ちを取り戻せると思いますよ」

――ゆるゆるした気持ちですね。そうすると、「不安を手懐ける」というレッスンも気になります

「不安のない人はいないですよね。しかし、考えてもキリがない。そんなときは目の前のことに集中するんです。不安な気持ちに支配されないで済み、気持ちを切り替えられます。気持ちをちょっと横に置いておき、時間が経てば、だんだん気にならなくなっていきますよね」

――とはいえ、気にしない、考えないって難しい気がします

「『考えないようにしよう!』って思っている時点で、考えていますよね(笑い)。意識的に別のことを考えるには、今必要でないことはどんどん後回しすればいいんです。すると、目の前には本当に大事なものだけが残る。その残ったものが生きる希望ではないでしょうか」

――Tomyさんご自身は、どんなふうに気持ちを切り替えて、目の前のことに集中していたのですか?

「私の場合は、顔を洗っていました。クリニックで診察が始まるのに、泣きたい気持ちが込み上げてしまうことがあったんです。そんなときは、裏に行って顔を洗い、気分をスイッチしていました。シャキッとする感じの、ミントのお菓子を食べるなどでもいいと思いますし、自分なりのスイッチを決めておくと役立ちます。

執着を手放せば、気持ちが楽になる

――Tomyさんは著書の中で繰り返し、「執着を手放すこと」に触れています

「必要のない執着を手放せば、楽に生きられるんです。例えば死別の悲しみは、数年経ってもぶり返す深い悲しみです。ずっと一緒にいた人を失ったら、悲しいに決まっていますよね。だから、乗り越えるべきと思わずに、とりあえず横に置いておくんです。あとはお天道様にお任せしましょう、ぐらいの気持ちで。ときが経ち、自然と楽な時間が増えていくまで、本質的に変えようと思わないほうが私は楽に過ごせました。

私も、最初から気持ちを切り離す達人だったわけじゃないんです。昔は『この人からLINEの返事がまだ来ないな』とか、いろいろ気にしてしまうタイプだったんですよ。しかし、自分が苦しかったときに“今起きている問題をバラバラにして小さくすれば、そんなに大したことじゃない”と身をもって知りました。自分が存在することだけを大切にすれば、あとは放っておいていい、くらいの感覚です。そうしたら『なんだ、だいぶ楽じゃん!』と心から思えるようになり、また人生を楽しめるようになりました」

試練のときも、本来の自分はどんな人間かを忘れない

――最後の章、「試練のとき」は、介護世代にも興味深いテーマです

「年齢的にも、試練が押し寄せる時期ですよね。そんなときこそ力を抜いて、本来の自分はどんな人間かを忘れないでいてください。日常を大切にすることです。私も本来ものぐさな性格なんです。昼にやっと起きて犬の散歩に行き、1日ダラダラ過ごすのも割と好きです。『そんな本来の自分にいつでも戻れるんだぞ!』と思うことで、頑張りすぎず穏やかに過ごせていると思います。

 そして、皆さんが心の不調を感じたら、もっと気軽に診察を受けてほしいと思います。今、試練のときを過ごしている方も、きっと心穏やかに過ごせる日が来ます。いい意味で適当にやっていきましょう」

 Tomyさんの言葉を心に留めておけば、毎日を穏やかに過ごせそうだ。

プロフィール

精神科医Tomyさん/1978年生まれ。国立大学医学部卒業後、精神科クリニックに勤務。気持ちが軽くなる考え方のヒントをX(旧Twitter)で発信し続け、現在はフォロワーが39万人を超える。精神科医・作家・エッセイストとして精力的に活動を続け、多くの著書を発表している。
ツイッター @PdoctorTomy

【データ】



「穏やかに生きる術 うつ病を経験した精神科医が教える、人生の悩みを消す練習帳」(KADOKAWA)
価格:1540 円

取材・文/永田玲香

●精神科医Tomyの元気の出る金言【心穏やかに年末年始を迎えるために】

●精神科医Tomyの元気の出る金言【“いい人”をやめる2つのコツ】

●60代は要注意!老人性うつ「自分には価値がない、お金がないと過剰に不安になる」症状や対策を医師が解説

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