「親の介護で自分の時間がない!」タイパ時代の時間管理術・手帳の書き方を専門家が指南
2022年は時間的な効率のよさを表す“タイパ(タイムパフォーマンス)”という言葉を重視する人が増えた。しかし、自分がやりたいことができる時間は思いの外、少ないかもしれない。そこで、女性セブンのメールマガジン会員「女性セブン倶楽部」でアンケートを実施。時間の使い方について寄せられた悩みをタイムマネジメントの専門家にぶつけてみた。
バーチカル手帳で「時間の見える化」を
新しい年が始まり、「今年こそ自分のやりたいことをたくさんやるぞ!」と思っても、日が経つうちに忙しさに追われ、やりたいことはそのうちに…となることが多いもの。
「そんなかたにおすすめなのが、『時間の見える化』です」と言うのは、手帳ブームの火付け役で、時間管理の第一人者である佐々木かをりさん。
会社を2つ経営しながら、2児の母として家事もこなす佐々木さん。かなり忙しい日々を過ごしていそうだが、佐々木さんのモットーは「自分をよい状態にして貢献する」。そのために、自ら編み出した時間管理術を徹底しているという。そんな佐々木さんがすすめる「時間の見える化」とはどういうものなのだろうか?
「忙しくて時間がないと言っているかたの多くは、やりたいことなどを頭の中だけで考えていることが多いようです。自分がしたいと思うことも、自分の予定として事前に確保するなど、目に見えるようにすることで、自分の時間を主体的に捉えて使えるようになります」(佐々木さん・以下同)
書き出す場所は、手書きの手帳なのだそう。
「いまは、スマホなどのオンラインカレンダーに書き込んだりしてスケジュール管理をしている人もいます。約束を記憶するにはデジタルツールが最適ですが、自分の人生を豊かにするために時間を使いたい人には、1日分の縦長のスペースに時間軸がついている『バーチカル手帳』をおすすめします」
そして、月曜から日曜まで同じように行動が書き込めるものを選ぶこと。中でも、A5サイズが持ち運びに便利だという。
他人との約束のほか「自分の行動」も書く
本誌会員サイト「女性セブン倶楽部」で行った「減らしたい時間」についてのアンケートでは、忙しさに追われる人の声が多く届いた。
●一日の大部分を家族のために使い、自分の時間がないということは、心身ともに大変、疲弊してしまいます。家族の用事や介護の時間をちょっと減らして、自分の時間にできたら、と思うのですが…。 (50才・専門職)
●週末はパンや食材の買いだし、クリーニング、ペットのヘアカット、家族の買い物などであっという間に過ぎます。時間を有意義に使えるよう家事の時間を減らしたい。(50才・会社員)
このようなケースでは、どのように手帳を活用すればいいのだろうか?
「たとえば、『パンを買う時間』や『クリーニングの時間』、『郵便物をポストに投函する時間』などの行動をうまく整理することが大切です。
それぞれどの時間に行うのがいいか、いちばん効率がいいのはどのタイミングかを考えて、事前に予定していればすべてがスムーズに進みます。
また、準備時間や移動時間も書いておき、書いた通りに行動すると、自分の動きが見えてくるようになります」。
移動時間は、家や職場などから出る時間に横線を引き、線と線の間に「出る」と書いておく。これなら、出る時間が明解なので、慌てることもなくなりそうだ。
やりたいことを実現するには「自分を予約」
では、次のようなケースはどうだろう。
●今年こそ、月に1回は映画を見ようと、毎年目標を立てているのに、仕事や家事に追われて、なかなかまとまった時間が見つけられず、もう何年も達成できていません。(57才・パート)
「本当に映画に行きたいのであれば、まず『自分を予約』することです」
そう佐々木さんは言う。
“自分を予約する”とは、どういうことなのか。
「映画が見たい場合は、たとえば毎月、映画に行く時間をあらかじめ決めて、予約しておくことです。事前に予約していると、その予定に合わせて動くので、仕事もはかどり映画にも行くことができるわけです」
たとえば、毎月第一土曜の朝の余裕のある時間に、「映画を選ぶための時間」を30分~1時間決めて、手帳に「映画を選ぶ」と書き入れておく。そして、その時間は手帳に書かれているように、上映中の映画の中から見たい作品を探し、行けそうな映画館と上映時間を選択し予約してしまう。このように予約までしてしまえば、それまでできなかったことが、できるようになっていくのだ。
「親の介護で疲弊」手帳で自分の時間を可視化して
とはいえ、50代以上ともなると、親の介護などにかかりきりになり、疲弊してしまう人も多い。
●通いで介護を手伝っています。とにかくハードで、体はもちろん、気持ちもついていきません。なんとか負担を減らしたいと思っています。(57才・主婦)
●90才になる母と同居しています。病院の付き添いなどがあり、先の予定を見通すことがなかなかできないため、好きな歌手のコンサートがあっても、「行けないんじゃないか」と思って、諦めてしまいます。(61才・パート)
「私も仕事をしながら母の介護をしていたのですが、いちばん大切なことは、自分が元気で安定して、前向きな気持ちでいることですよね。幸せな気持ちの人は、いろいろなことがうまく進められるのです。私が教える時間管理術は、自分自身が元気で幸せな気持ちでいられるようにする方法です。その上で、介護やそのほかの家事などを、うまく組み合わせていきます」
そのためにも手帳で自分の時間を可視化する必要があると佐々木さんはすすめる。
「仮に、家を離れられないとしても、自分の時間をどう使うかは、自分で決めることができるんです」
1日24時間は同じでも、時間の使い方は人ぞれぞれ。手帳をうまく活用し、自分を思い通りに動かせる時間管理術を身につければ、「私の時間」は増やせそうだ。
【調査結果】「1日の中で減らしたい・増やしたい時間」
※女性セブン倶楽部アンケート調査より。
【Q1】あなたが減らしたい時間は?
1位:家事
2位:仕事
3位:家族の用事
4位:介護
5位:子供の学校関連の用事
【Q2】あなたが増やしたい時間は?
1位:趣味
2位:睡眠
3位:ひとりでのんびりする
4位:運動
5位:友達と会う
教えてくれた人
佐々木かをりさん(63) /イー・ウーマン代表。「自分を予約する」というコンセプトで手帳『アクションプランナー』のプロデュースや講座のほか、「国際女性ビジネス会議」の企画・プロデュースも手掛ける。
取材・文/廉屋友美乃、山下和恵
※女性セブン2023年2月2日号
https://josei7.com/
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