猫が母になつきません 第327話「また!」
「そろそろ伺おうと思ってます」なんていう連絡はもちろんないので、シロの来訪は常に突然。鳴き声がしたのでさびだと思って外を見ると真っ白な姿が。「シロ!」と歓喜の声をあげたものの、たまたま誰もいなくて(猫も)感動を分かち合う相手を探しながら大急ぎでごはんの準備。シロ用のごはんはストックしてある。器は母がどこかに納めこんでしまったみたいで見つからないので普通の小皿に大急ぎでとにかく盛る。バタバタ、バタバタ。シロは以前のように正座で待っていて、器を置くとわしわし食べ始めた。シロが来なくなったのは春の終わり。今年の暑い夏をどこで過ごしていたんだろう。食べている姿を上から見たら、シロの背中は少し小さくなっていた。1日目は触るのを遠慮して、3日目になってひさしぶりにそっと背中をなでるとかなり痩せているのがわかる。しばらくうちに来て太りな。まだツーショットを見ていないけど、さびには会ってるの? うちのおばあちゃんは同じ事を言う回数がすごく増えたよ。シロのことはもう忘れてしまったと思う。でもまた来てくれてありがとう。おかえり、シロ。
【関連の回】
第237話 「はるとおからじ」
第305話 「せいざする」
第314話 「きっとまた」
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。