介護施設職員の7割が「清掃業務に負担を感じる」と判明!ニオイ対策や入居者とのコミュニケーション不足など実態調査で課題が浮き彫りに
介護施設で働く職員は入居者のケアのほか、清掃業務を担うことも。日常的に清掃業務を担当する介護職員に実施した調査によると、とくに「館内のニオイ対策の清掃」に負担がかかっていることが判明した。どんなことに負担を感じているのか、調査結果から判明した介護現場の実態をレポートする。
介護現場の声「清掃業務に疲弊」
介護現場の仕事には、入所者の日常生活をサポートするほか、入所者に安心して過ごしてもらえるように、何気ない会話やコミュニケーションも必要とされる。
しかし実際は、人手不足の影響や、食事・入浴・排泄などの業務に追われ、時間や気持ちに余裕がなく、入所者とのコミュニケーションが充分にできていないという声も。その理由のひとつとなっているのが「清掃業務」だ。
オフィス家具や文具の製造販売のほか、介護福祉施設向け通販「スマート介護」の運営も行うプラスが、介護・福祉施設で日常的に清掃業務を担当している職員106人を対象に「介護施設の清掃業務」に関する実態調査のレポートを発表。
アンケート結果から、清掃業務に疲弊している介護職員が数多くいることが明らかになった。
清掃業務で体を酷使し、時間に追われている
介護・福祉施設での清掃業務に対して負担を感じているか聞いたところ、「非常に感じている」が35.8%、「やや感じている」38.7%と、74.5%もの職員が何らかの負担を感じていることがわかった。
介護施設は入居者の生活全般をサポートする場所なので、廊下や食堂だけでなく、トイレや浴室、寝具、衣服などプライベートな場所やもの清掃も必要だ。
「清掃業務に負担を感じている」と答えた人が、とくに負担を感じていることとは?
上位3位は、1位「腰をかがめたり立ったりする動作が多いこと」(53.2%)、2位「作業量が多く、時間がかかること」(51.9%)、3位「不快なニオイに対応しなければならないこと」(48.1%)と続いた。
「清掃用具や洗剤の管理が煩雑なこと」(35.4%)といった管理の面からの不満も挙がった。「重いものを運ぶ必要があること」(32.9%)と答えた人も多く、身体的な負担の大きさが見てとれる。
「入居者ケアなど本来注力したい業務に時間を割けないこと」(31.6%)からは、掃除の負担がケアの質にかかわっていることが伺える。肉体的、心理的な負担だけでなく、「やり直し」などで時間を取られていることも課題となっている。
人手不足は深刻「入居者のケアに時間が割けない」
人手不足が課題になっている介護の現場で、清掃業務の負担がかなり重いことがわかった。本来は入居者とのコミュニケーションやケアに時間を割きたいところだが、どのぐらいの人が時間を確保できているのだろうか。
「(本来時間をかけたい業務に対して時間を)十分に割けている」と答えたのは23.6%、「ある程度割けている」と答えたのは29.2%と半数を少し超える人が満足している様子。
一方で「あまり割けていない」と答えた34.0%、「全く割けていない」と答えた8.5%を合わせると4割もの人が不満に感じていることがわかった。
ニオイが介護現場に与える負担
介護施設の清掃業務には、ニオイ対策は欠かせない。尿臭や便臭など排泄そのものに関するニオイ対策のほか、食べこぼしや衣類の汚れなどによるニオイや、入浴がままならず体臭などの悩を抱えているケースもあるだろう。
施設内のニオイ対策を目的とした清掃に負担を感じるか聞いたところ、「非常に負担を感じている」が30.2%、「やや負担を感じている」が39.6%と約7割の人がニオイ対策に負担を感じているという結果になった。
ニオイ対策に負担を感じているという声が多かったが、具体的にどんなことに負担を感じているのだろうか。
1位は「ニオイが気になり、精神的なストレスを感じるから」(48.6%)だった。ニオイの感じ方は人それぞれだが、苦手なニオイがストレスの原因になっているかもしれない。
2位は「作業時間や頻度が増え、業務負担が大きいから」(45.9%)と、時間的な負担を抱えている人も多い。また、3位は「入居者やそのご家族からニオイについて指摘を受けたことがあるから」(44.6%)、4位は「何度も繰り返し対策をする必要があるから」(37.8%)だった。
施設のニオイ対策の1位は「こまめな換気」
では、ニオイを消すためにどのような対策をしているのだろうか。
1位は「こまめに換気をしている」(62.3%)だった。空間に漂うニオイなどには換気が最も有効といえそうだ。2位は「市販の消臭スプレーや芳香剤を使用している」(47.2%)、3位は「拭き掃除の頻度を増やしている」(35.8%)、4位は「専用の業務用洗剤で清掃している」(34.0%)、5位は「空気清浄機や脱臭機を設置している」(30.2%)、6位は「ゴミやオムツの処理を頻繁に行っている」(25.5%)だった。こまめな掃除や対策を求められていることが伺える。
どんな「ニオイ」に負担を感じるのか?
施設の中で気になる「ニオイの種類と場所」についての質問では、1位は「トイレの排泄物」(60.4%)となった。2位は「居室内のニオイ」(50.0%)で、入居者が長時間過ごす場所でもニオイに悩まされていることがわかった。3位「オムツ処理室のニオイ」(44.3%)、4位「ゴミ置き場のニオイ」(28.3%)と、使用後のオムツの処分にまつわるニオイに悩む人も多いようだ。
このほかの調査では、ニオイ対策をしているがその効果に満足していない人も4割いることが判明。その理由は「ニオイの素を断つことができていない」と感じている人が6割と最多だった。また、「金銭面や手間が負担になっている」「解決するための製品を見つけられない」といった悩みも多いようだ。
介護施設の「清掃・ニオイ対策の負担」の課題【まとめ】
調査の結果から、介護職員が清掃やニオイ対策に対して精神的・肉体的・時間的な負担になっていることがわかった。こうした負担から、本来のケア業務に割く時間が取れていないという問題も明らかになった。
介護職員の仕事は、清掃業務のほかにも食事や排せつ介助、入浴など多岐にわたる。さらに入居者とのコミュニケーションも求められる。待ったなしのニオイ対策だが、適切なアイテムやテクノロジーを導入し、職員の負担軽減と業務効率化を計る必要性がありあそうだ。
【データ】
「介護施設の清掃業務の実態と課題に関する実態調査」
<調査概要>
調査対象:介護・福祉施設に勤務し、日常的に清掃業務を担当している職員
調査時期:2025年11月18日~11月25日
調査方法:インターネット調査
調査人数:106名
調査主体:プラス https://www.plus.co.jp/
モニター・調査提供元:IDEATECHが提供するリサーチマーケティング「リサピ(R)
出典元:「スマート介護」https://www.smartkaigo.jp/
※プラスの発表したプレスリリース(2025年12月10日)を元に記事を作成。
図表/プラス提供 構成・文/西谷友里加
