猫が母になつきません 第325話「はいりにくい」
私は几帳面な性格で、テーブルの上のリモコンもまっすぐに置きたいタイプ。だから網戸が中途半端な位置にあるなんて気持ち悪くて耐えられません。毎日ぶつぶつ言いながらもせっせと端に寄せていました。最初は母が網戸を開けたあと元に戻さずに窓を閉めたのだと思っていましたが、家中の網戸という網戸が真ん中にあるという状態に至り、さすがにこれは何か意図があってわざとそうしているのだと気がつきました。母に理由を聞くと「その方が泥棒が入りにくいでしょ」と。たしかに鍵がある側に網戸をセットしておくとガラスを破る前に網戸を動かさなければならないから防犯になる、という方法はあるようです(ただし網戸は真ん中ではなく鍵側に寄せます)。母の理論は真ん中に網戸があれば、動かさなくてはならないから入りにくいというものですが、網戸がずっと中途半端な位置にあったら網戸の役割をなしません。ほかにも玄関にバリケードを築いたり(邪魔)、家中の引き戸につっかえ棒をしたり(外から)、極めて原始的かつ意味のない防犯対策をする母。まあ、一番意味ないのは寝室に置いている木刀ですけど。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。