精神科医・和田秀樹さんが本当に実践する13の健康法「肉食、ワイン、若い世代と交流」
著書『80歳の壁』シリーズで高齢者の道筋を照らした精神科医で老年医学の専門家の和田秀樹さん(62才)。執筆依頼が絶えず、目が回るような忙しさの中、還暦を過ぎてなお第一線で活躍し続ける”異端の医師”が実践している健康法とは?
精神科医・和田秀樹さんの健康法
「80歳の壁を越える方法は、嫌なことをがまんせず好きなことをすること」
平均寿命が大きく延びた現代を楽しく元気にサバイブするための術を伝授する異色の医師は、そう語る。
ストレスをためずに好き勝手に生きる──確かに魅力的な人生であることは間違いない。しかし、多くの人は仕事や家庭、固定観念に縛られ、そう簡単には実践できないのが現実だ。だが、和田さんはいまや年を重ねるほどに自由になれる時代だと指摘する。
「仕事や子育てなど、若いうちは多かれ少なかれ人生に対して“受け身”にならざるを得ない。しかし、ずっと“子供が主役”と家庭のために生きてきた女性でも、単身赴任で会社が決めた場所に住まなければならなかった男性でも、子供が巣立って定年を迎えたら、その先の人生を自分の意思で決めるチャンスが増えます。
ぼく自身、子供2人が結婚してから、夫婦がそれぞれ自立した生活を送るようになりました。年齢を重ねるほど、それまで受け身だった人生を能動的に変えられます。高齢の患者さんの中には『年をとってしまったら新しいことはできなくなる』と思い込んでいる人も多いですが、むしろその逆です」
しかも、いまのシニア層は昔と比較して圧倒的に若く、元気だと和田さんは続ける。
「たとえば現在の70代は、戦後、日本人の栄養状態が改善された頃に生まれており、それ以前の世代に比べて寿命が長く、体格もいい。ぼくは高齢者を長年診ていますが、30年前の70代が背中が曲がり、よぼよぼしていたのに比べて、いまの人たちは背筋がシャンとして、10才ほど若返った印象です。教育水準も高く、知的でおしゃれやぜいたくも経験してきた世代でもある。だからこれから先の人生についても自分の頭を使って、賢く選択できるはずです」
アンチエイジングを実践「サプリは10種類以上」
いま手にしている経験や若々しさをさらにブラッシュアップするために、和田さんが推奨するのはアンチエイジングを実践すること。
「ぼく自身、アンチエイジングにはかなり力を入れています。ジャッキー・チェンの主治医としても知られる抗加齢化医学の大家で、30年以上アンチエイジングを追究しているクロード・ショーシャ氏の教えのもと、サプリメントを取り入れています。尿検査の結果をもとに、一人ひとり違う種類のサプリが処方され、ぼくはたんぱく質の分解を助けるビタミンB6や血流を促すDHAなど10種類以上のんでいます。
日本人は新しいものが好きですぐ新薬に飛びつきますが、本当に信頼できるのは、何十年にもわたって使われてきた薬やサプリメント。ぼくのクリニックでもサプリによる抗加齢化医学を取り入れて、“いまよりも老けない”をテーマにアンチエイジングに取り組んでいます」
和田秀樹さんが「本当にやっている健康法」一覧
行動|理由
スパイスヨーグルト|スパイスの力で血管を拡張して心肥大を防ぐ。
卵|卵が含有しているたんぱく質やコレステロールは重要なエネルギー源。
ワイン|ワインをよく飲むフランスやポルトガル、スペインは健康寿命が長いという調査が。
肉食|健康で長生きする人の共通点は「肉好き」。免疫機能を高め、意欲や筋力のもとになる男性ホルモンを増やす作用がある。
節制しすぎない|栄養が余ることで生じる害よりも足りないことで起きる害の方がはるかに大きい。エネルギーが足りなければ元気が出ないのは動物として当然のこと。
朝の運動習慣 |「シックスパッド」「振動マシン」「スクワット」の3つを習慣づけている。
30分ウオーキング|1日のうち、何度かに分散して30分歩くことで下肢の筋肉を鍛える。目的を作るため、あえて食料の「買いだめ」をしないのもポイント。
降圧剤|薬は極力避けているが、血圧は別。200mmHgあった血圧を、降圧剤によって和田さんにとっては"適正"の170まで下げた。
ストレスをためない|ストレスやがまんは免疫力を低下させてがんリスクを上げる原因に。
アンチエイジング|いまのシニア世代は圧倒的に若い。それを保ち、さらにブラッシュアップするためにはサプリメントや前頭葉を鍛えること。心身ともにアンチエイジングを心がけている。
若い世代との交流|意識して若い世代とつきあうことで脳が刺激される。和田さんも一回り以上下の若手と積極的に交流を持っている。
バラエティー 豊かな仕事|ルーティンワークや毎日決まった行動は脳を衰えさせる"感情の劣化"につながる。和田さんは医療から映画監督までさまざまな分野の仕事を並行して行ってきた。
肩書より名前|どんなにいい肩書を持っていても、それは一過性のもの。偉くなるよりも自分の名前で生きて周囲に受け入れられる方が幸せで健康な老後を過ごすことができる。
脳を若々しく保つこと
アンチエイジングが必要なのは外見だけではない。和田さんは、脳を若々しく保つことはさらに大事だと指摘する。
「人間の脳は年齢を重ねると前頭葉が萎縮し、意欲や好奇心が低下します。そうした“感情の劣化”が起きると、新規の発想や創造ができなくなり、新しい物事に取り組むことが苦手になります。すると体を動かさなくなったり、頭を働かせなくなったりして、見た目も中身もすべて衰えてしまいます」
行きつけの店にしか行かなくなったり、似たような著者の本ばかり読むようになったら危険のサインだという。
「感情の劣化を避けるには、前頭葉を使うことが大切です。何でもいいから自分のやりたいことを見つけて、なるべく普段とは違う体験をすることがおすすめ。
ぼく自身、医師としての仕事に加え、執筆や映画監督、中学受験の指導など、日々まったく異なった仕事をこなしてきました。これは、子供の頃から注意欠陥多動性障害(ADHD)の傾向があって、じっと座って同じことをし続けるのが大の苦手だから仕方ない、という面もあるのですが、年を重ねてからはこうした仕事の仕方の方が脳の活性化にいい。
女性なら髪形や服装を変えて、おしゃれに気を配ることも脳を活性化します。コロナの制約はありますが、いろいろな人と会って話をすることも効果的です。特に自分より若い世代とつきあうと脳への刺激が大きくなります」
若い世代と交流する
和田さん自身、意識して年下の世代とつきあっている。
「『エンジン01』という文化人の集いに参加して、メンバーの落合陽一さんや古市憲寿さんら一回り以上下の世代と交流したり、最近はぼくの著書を読んで東大に入ったという、長崎県出身の若手投資家とも仲よくしています。若い人から慕われるのは大きな活力になる。地位とか肩書は一過性で価値がなく、偉くなるよりも人から好かれる方が幸せな老後を送ることができます」
肩書が立派でも幸せに見えない
大切なのは偉くなることではなく、人に好かれること。和田さんにそれを気づかせたのは若くして赴任した“セレブ病院”での経験だった。
「医学部卒業後、そのまま医局に残って教授の言うことを聞き、おとなしく研究すれば医学部教授の肩書がもらえたかもしれないけれど、自分にはそれが苦痛で、高齢者医療を専門的に行う浴風会病院の医師になりました」
灘中、灘高を経て現役で東大医学部に合格し、典型的なエリートコースを歩みながらも、大学病院という「白い巨塔」に背を向けたのだ。
「患者さんには元大臣や社長などセレブが多い病院でしたが、肩書が立派でも、幸せに見えない人もたくさんいた。地位や肩書は一過性のものでしかなく、年を重ねたときに周囲から受け入れてもらえなければ、みじめな人生になるのだと悟った。地位や肩書ではなく、“和田秀樹”という名前で生きていくことが何より大事だということに気づきました」
『80歳の壁』シリーズで高齢者の道筋を照らした和田さんだが、いま取り組んでいるのは若年層に向けた『15歳の壁』の執筆だ。
「これから先も生きている限りは執筆も医療も、新しいことにどんどん挑戦したい。能動的に動けば人生は必ず切り開けるし、脳の老化も防げます」
非凡な医師の“実験”はまだまだ続く。
※女性セブン2022年9月22日号
https://josei7.com/
●75才の壁を元気に超えるメソッド 健康寿命を伸ばす7つの習慣を医師が提案!