女性の足トラブル「1位は外反母趾」シニア世代の足の老化と靴選びを専門医が解説
加齢とともに「靴選びが難しくなる」と、感じていませんか。それは、「足のバランス」が崩れていくからだという。足の専門医が「老化と足トラブル」について解説してくれました。自分の足がどう変化していくのかを知ることで、元気に歩き続けるベース作りを。
女性の2割が悩む外反母趾! 悪化すると手術も必要
女性の抱える足トラブルナンバーワンは足の親指が変形する外反母趾。足のクリニック表参道 院長の桑原靖さんは説明する。
「母趾(足の親指)が曲がってしまい、付け根の関節が飛び出してしまうため、靴に当たって痛みや炎症を引き起こします。女性に多い悩みで加齢とともに外反母趾による痛みに悩む女性は増加します」(桑原さん、以下「」内同)。
かかと付近の腱膜に痛みが生じる足底腱膜炎や、親指の関節のかみ合わせが悪くて正しく踏み返せない制限母趾、爪が皮膚にくい込んで炎症を起こす陥入爪、中指外側とくすり指の内側が痛くなるモートン神経腫、など足先の痛みは悪化すれば手術も必要になるため、我慢せず早めに受診することが大切だ。
■女性の抱える足トラブル
第1位 外反母趾 20%
第2位 タコ・ウオノメ 18%
第3位 足底腱膜炎 11%
第4位 陥入爪 10%
第5位 制限母趾 9%
第6位 モートン神経腫 4%
(出典/「足のクリニック表参道」に来院した女性1万600人を対象とした調査)
足の痛みは「アーチの崩れ」が原因だった
足のトラブルの原因は、そのほとんどが骨格構造の崩れ。
「くるぶしから下の足を構成する骨の数は両足で56個。骨と骨を繋ぎとめるじん帯や筋肉の数はもっと多く、複雑な構造をしています。足の骨格構造が崩れて歪みが生じると、最も負荷がかかる部位に痛みや変形などの症状が現れます。外反母趾やタコ・ウオノメなどほとんどのトラブルは、骨格の崩れが関係しています」。
■足のトラブルが現れやすい場所
コロナ禍で足の老化が加速!?
足の老化は筋肉と関節を使わないことで加速する。
「コロナ禍でテレワークが増え、歩数が激減し機能低下が進んだ人は少なくありません」。
足の健康には1日8000歩のウォーキングが理想。
「足の機能が低下すると少し歩くだけで痛みが出やすくなり、歩くのが苦になって歩かなくなるという悪循環となるため、最初から8000歩は目指さずに、少しずつ負荷を上げましょう」。
男性よりも女性の足はトラブル多発
女性は男性に比べて骨格構造が弱いうえ、パンプスを履くシーンも多く、足のトラブルが起きやすい。
「高いヒールの靴を長時間履いていると、アキレス腱が縮んだ状態になり、かかとに痛みが生じやすい。前に重心がかかるので足指の変形も招きます」。
足のトラブルは遺伝も関係
足の骨格は遺伝が大きく影響するため、親が外反母趾だと子供もなりやすい。
「もともと骨格の弱い人が、悪い姿勢で歩いたり合わない靴を履いたりすることで、ますます足にトラブルが生じやすくなります」。