人には言えない女性のおしりトラブル解決法|痔の種類、便秘の悩みズバッと解決
「子育てもひと段落したし、これからは、趣味や仕事に全力投球するぞ!」なんて気持ちは目いっぱい前向きなのに、足をひっぱるのはが、更年期前後で起こるシモのトラブル。ちょっとデリケートなだけに、誰にも言えずに悩んでいませんか?
おしり回りのお悩みをズバっと解決します!
肛門トラブル
ひと言で痔といっても、【1】いぼ痔 【2】切れ痔 【3】あな痔の3種類が存在する。
【1】いぼ痔
「男女ともにいちばん多い痔の疾患。特に中高年によく見られます。原因としては、妊娠・出産や便秘や下痢でのいきみなど。繰り返すうちに肛門内の粘膜にうっ血が起こり、皮膚がいぼ状(内痔核)に膨らんだ状態です」(大腸肛門専門医の山田麻子さん・以下同)
軽度の場合は肛門の中に引っ込んでいるため、自覚症状はないが、実はいぼ痔になっている可能性がある。
進行するにつれ、いぼが大きくなり、排便時に肛門の外に飛び出し(外痔核)、違和感を生じるようになる。
「違和感が強い、下着が汚れる、出血が多いなどの場合は、外科的治療が必要です。一度できたいぼはなくなりませんが、自然に肛門内に戻るうちは軟膏や座薬で改善させることはできます。
入浴後、手袋をするか、指サックを装着し、軟膏を塗ったガーゼを患部に当てながら、ぐっと押し上げるようにいぼを入れてください。
ただし、長びく場合は、加齢による筋力の低下によって、肛門括約筋も緩んでしまいます。早めの治療を心がけて」
以前はいぼを根元から切除する手術が一般的だったが、最近ではいぼに注射をして固めて縮小させ、粘膜に固定する画期的な治療法も登場。
「切除するより痛みも少なく、日帰りないし、1日入院程度で終わります」
【2】切れ痔
2番目に多いのが、トイレットペーパーに少量の血がついたり、排便時に激しい痛みを伴う“切れ痔”だ。
「便が硬い、または下痢気味だったりすると起こる切れ痔には、“急性裂肛”と“慢性裂肛”があり、前者は数日で自然回復しますが、後者の場合は痛みが持続します。肛門の内側にポリープができたり、外側にいぼのようなものを形成することがあり、排便時に痛むのが特徴。痛みをがまんしてしまうと便秘になり、ますます悪化させてしまう悪循環に陥ります」
切れ痔の予防はズバリ、便秘や下痢にならないこと。
「いきみなどで肛門に負担をかけないことが大切です。便秘がちの人は便意を促すために適度な運動を習慣づけ、食物繊維をバランスよく摂りましょう。お腹が張りやすい、下痢をしやすい人は消化のよい食物を心がけて」
【3】あな痔(痔瘻)
肛門と直腸の境目あたりに膿がたまり(肛門周囲膿瘍)、それが自壊した後、膿を排出するためにトンネル状の穴が皮膚に開いてしまう病気。
「膿瘍は、大腸菌などの細菌が肛門に入り込んでできるため、肛門周囲が腫れて痛みや発熱を伴います。下痢を繰り返すうちにできることが多く、放っておくとアリの巣状にいくつも穴が開き、そこから便などがモレてしまいます」
発病した場合は、細菌感染を防ぐために患部を清潔に保つことが大切だ。
「市販薬では治せません。適切な治療をしなければ、括約筋の機能的な障害も併発し、最悪の場合は人工肛門ということになるので早期治療を」
●痔にならないために心がけること
●下半身を冷やさない
体が冷えると血行が悪くなり痔も悪化する。便秘にもつながるため、冷房の効いた場所などでは腰やお尻を冷やさないようなアイテムを。
●食物繊維を多く摂る
食物繊維は2種類ある。便のカサを増やすいもや野菜など不溶性のものと、便をやわらかくする海藻や果物など。どちらもバランスよく!
●アルコールや辛いものを控える
酒は一時的に血行を促進させるが、数時間で血管を収縮させてしまうので注意。スパイシーな香辛料も肛門を刺激するのでがまんしよう。
●排便時にはいきまない
便座に座って5分経っても排便の兆しがないときは無理せず次の便意を待つようにする。長時間いきんでしまうとますます悪化する。
便秘
便秘には個人差がある。2~3日周期の排便でも、不快感なくスムーズなサイクルであれば問題ない。
「毎日出ていても、お腹の張りや痛み、残便感、気分不快などの症状があれば便秘です。また、年を取ると腸の動きが弱まる上、筋力も衰えるので便秘になりやすいんです」
理想的な便は、黄褐色か茶褐色でバナナ状。硬さは練り歯磨き程度のやわらかさだ。
「改善するには、1日、約1.5~2リットルの水分を摂ることと、食物繊維豊富な食品をバランスよく摂取すること。オリーブオイルは小腸で吸収されにくく、大腸まで到達するのでおすすめ。1日大さじ2杯を直接飲むとスムーズな排便を促します」
また、下のマッサージやツボ押しも効果的だ。
下腹部刺激マッサージ
【1】右下腹部に手を重ねて置き、指が3~5㎝沈むくらいの圧をかけながら、便の流れる方向に押していく(2周程度)。
【2】便秘の時に便がたまりやすいか所が右イラストにあるS状結腸。念入りに20回程度押すと効果的。
背中のツボ
【大腸愈】
腰骨の高さで背骨から指幅2本分外側のところにある。拳をつくり、いちばんとがったところを当てて数回動かす。仰向けの姿勢やトイレに座りながら押すのも効果あり。
【便秘点】
肋骨のいちばん下から指幅2本下、背骨から指幅分4本外側のところにある。ウエストのくびれに手を置き、親指でツボを押しながら上体を左右にひねる。数回でOK。
今は女性外来専門の肛門科もあり、女性医師も増えている。不安なことがあれば、恥ずかしがらず、気軽に相談に行ってほしい。
教えてくれた人
山田麻子さん/『アイビー大腸肛門クリニック』院長。女性専門外来があり、スタッフも全員女医政という安心が人気。
イラスト/うえだのぶ
※女性セブン2018年9月27日号
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