精神科医Tomyの元気の出る金言【第22回 自分には価値があるのかと悩む人へ】
何もしなくても
人はいるだけで価値がある。
笑ったり、眠ったり、
日常を味わってね。
* * *
「生きている以上は、自分の時間があるから価値がある」
おはようございます。精神科医のTomyです。冬の冷たい空気って気分が引き締まるわね。風邪をひかない服装で過ごしてくださいね。
今回は、「自分には価値がある。世の中の役に立っている」そう確認したい気持ちについて取り上げます。
高齢になると「自分は、子供たちや周りの人の邪魔になっている」と悩む人もいるみたい。絶対そんなことないんだけど、「周りに悪いな、心苦しいな」と思う気持ちがあるから難しいわよね。
またもTomy流で失礼しますね。アテクシの考えでは「生きている以上は、自分の時間があるから価値がある」と思っていますよ。仕事もプライベートも大変なことだらけで、心がヘトヘトになっちゃった経験があるんですが、その時の結論なの。
「空気を吸っているし、風が吹くのも感じているし、いろんな感情も湧くんだから、まだ人生を楽しめる。自分には価値があるわ!」と気づいた時に、目の前が開けたのよ。
自分でできないことが増えてくる高齢の人は、本人がつらいのもあると思います。アテクシも同じ立場になったら、「周りの世話になってて悪いな」って思っちゃいそうよ。とはいえ、自分が周りを支えていた時期があり、やがて自分を周りの人が支えてくれるようになるのよね。その順番で昔から繋がっているんだから、オールOKじゃないかしら。
ここはお互いに、何かしてもらったら「ありがとう」と感謝を伝えたり、「これおいしいね」「お花がキレイだね」と気持ちを伝え合えば、それでいいんじゃないかなと思います。
アテクシや看護師さんなど、医療の現場の人たちもね、「ありがとう」がうれしいの。言われ慣れていて、何とも思わないなんてないのよ。介護に関わる皆さんも同じだと思うから、みんなで感謝やプラスの言葉を掛け合いましょうよ。
さて、別の角度の話ですが、たまにこういった相談を受けることがあるわ。
「今、介護が生きがいになっているので、自分の先々が心配なんです。状況が変わったら、抜け殻のようになってしまいそうで」。
こういう時、いつも「しっかり介護していてすごいわ!」と思うし、言葉でもそう伝えています。介護を通してご本人も充実して成立しているのなら、何の問題もないと思うんです。確かに、状況が変わった時、茫然と過ごす時期はあるかもしれない。でも、なんとかなります。わちゃわちゃしながらもそのうち、そこそこの感じで必ず落ち着きます。介護中に「自分の時間がもう少しほしいな」と思ったのなら、工夫できるよう周りにも相談してみてください。そして、体を大切にしないとダメですよ。
どんな人もいるだけで価値がある。日常を味わえるユルさを持って、考えすぎずにのびのびした気分で過ごしましょうね。
プロフィール
精神科医Tomyさん/1978年生まれ。国立大学医学部卒業後、精神科クリニックに勤務。診察する中で言葉の力に気づき、自身のつらい経験も生かして温かいアドバイスをツイッターで発信。たちまち話題になり、フォロワー現在、25万人を突破。作家・エッセイストとしても活動しながら、悩み多き人々に寄り添い続けている。近著に『精神科医Tomyが教える 1秒で元気が湧き出る言葉』(ダイヤモンド社)。2022年1月12日(水)発売の新著『精神科医Tomyが教える 心の荷物の手放し方』(ダイヤモンド社)はTwitter発信のスピンオフとして生まれた、著者初の小説。
ツイッター:『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』 @PdoctorTomy
取材・文/永田玲香