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好きを公言するタレントも続々!女性が“サウナ”にハマる理由 歴史から海外式までその魅力

 女優の北川景子や広瀬すず、天海祐希などがサウナ好きを公言するなど、ここ数年、サウナが女性の間でもブームになっている。以前は“オヤジのたまり場”のようなイメージだったが、女性専用サウナや個室サウナが誕生し、数か月先まで予約が取れない状況だという。どうして彼女たちはサウナに行くのか、一体サウナの何がどう変わったのか―その謎に迫る!

海外のサウナ入浴法を体験し価値観が180度変わった

「これまでのサウナは、ただ熱いだけでした。特にドライサウナは室内が乾燥していて、肌がじりじり焼けるよう。入っているのがつらかったのですが、友達と“ロウリュ”を体験したら、サウナの価値観が180度変わりました。アロマの香りがする蒸気を浴びるのが気持ちよくて、お肌もしっとり。リラックスできて、すっかりハマってしまいました」

 と話してくれたのは、42才の主婦Tさんだ。週末は欠かさずサウナに通って、もう3年になるという。

 「ロウリュ」とは、熱したサウナストーンに水をかけて水蒸気を発生させるフィンランド由来のサウナ入浴法の1つ。サウナストーンにかける水には、アロマオイルなどが加えられているため、香りも楽しめ、女性にも人気が高い。

 さらに、ロウリュで立ち上った蒸気をタオルやうちわなどであおいで攪拌(かくはん)させることを「アウフグース(熱波)」といい、こちらはドイツ発祥の入浴法だ。

 コロナ禍になってから、健康のためにサウナに通い始めたという48才のパート主婦Mさんはこう話す。

「私がよく行くサウナでは、葉付きの枝で“ウィスク”をしてくれます。この葉には、ミネラルやビタミンなどが含まれていて、この葉で肌を叩かれると新陳代謝が促進されるのだとか。そのおかげか、冷えと肩こりが解消し、肌つやがよくなったように思います」

 「ウィスク」とは、サウナで温まった体を、白樺の枝の束などで叩いて刺激し、さらに血行をよくするというフィンランドのサウナ入浴法のことだ。Mさんはこう続ける。

「コロナ禍でどこにも行けないけれど、近所のサウナで海外に行ったような“非日常”を楽しみつつ、美容と健康を整えています」

 現在のサウナブームは、こういったイベント性が高く、美容や健康効果をうたった海外のサウナ入浴法が女性にも受け入れられたことで、一気に広まったともいえる。

実は江戸時代までの“風呂”はサウナが主流だった

 そもそも日本には、大陸の文化的影響を受けてサウナ文化が受け入れられやすい歴史的土壌があったと、日本温泉地域学会会長の石川理夫さんは言う(「」内、以下同)。

「香川県さぬき市にある『塚原(つかはら)のから風呂』は、奈良時代の高僧・行基(ぎょうき)が庶民のために造ったとされています。つまり、1300年ほど前には、すでにサウナのような熱気浴・蒸気浴が利用されていたことがわかります」

●奈良県・法華寺

 奈良県にある法華寺は、聖武天皇の妻である光明皇后が8世紀に建立したもので、ここには「浴室(から風呂)」が現存し、国の重要有形民俗文化財に指定されている。床下にある丸窯でヒノキを焚いて蒸気を発生させ、それを浴びる。

 当時のサウナは、「石(いわ)風呂」や「から風呂」、「かま風呂」などと呼ばれ、特に西日本を中心に多くの史跡が残る。

「風呂というと、現代は湯船につかることを意味しますが、江戸時代までの“風呂”とは、蒸気や熱風を浴びる、いわばサウナが主流でした」

 湯船につかる入浴法は“湯”と呼ばれて区別され、江戸時代初期までは、ひざ下あたりの深さの湯船に湯を満たし、着衣のまま足だけつかって室内の蒸気を浴びるスタイルだったという。

「“風呂”は、岩山をくりぬいた洞窟や、窯のようにこしらえた石室(いしむろ)が多く、その中で枯れ葉などを焚(た)きます。室内温度が上がったら、床にむしろやショウブなどの薬草を敷いて塩水や海水をまき、その結果たち昇った薬効のある蒸気を浴びます。体の汚れを落とすためというよりも、けがの治療や心身の疲れを癒すために利用されてきました」

 仏教寺院に造られた浴堂・温室も蒸し風呂が主だった。日本のサウナ文化は古くから仏教とともに僧侶によって広められたという。実際に「塚原のから風呂」に入った、薬草サウナトラベラーのLicoさんは、そのときの経験をこう語る。

香川県にある日本最古の“サウナ”「塚原のから風呂」。

「このから風呂が普通のサウナと違うのは、長袖・長ズボンのうえ、草履をはき頭巾をかぶって入ること。これは、仏教の作法であるのと、石壁が高温のため、やけどをしないようにという目的もあります。長寿の効能があるとされる松葉の香りで満たされた石室内は狭く、大人が2~3人入ればいっぱいに。5~6分入ったら休憩するのですが、汗だくの体で瀬戸内海からの潮風にあたると、何とも言えない爽快感があります」

 こういった薬草を使った蒸気浴は、いまブームのフィンランド式サウナや薬草スチームサウナに近い入浴法だ。つまり、このサウナブームは“新しい”というより、日本古来の入浴法の“ルネサンス”といえるかもしれない。

教えてくれた人

石川理夫さん/日本温泉地域学会・会長、Licoさん/薬草サウナトラベラー

取材・文/前川亜紀

※女性セブン2021年10月28日号
https://josei7.com/

●自宅で手軽にサウナを楽しむ方法|美容家が教える「おうちスパ」で整う

●鶴瓶も愛するサウナがボケ防止に!? 「認知症リスクが66%減」のデータも

●疲労回復、快眠、美肌…目的別・入浴テクニック5選|お風呂の専門家が指南

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