兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第108回 認知症になった者が勝ちなのか?】
若年性認知症を患う兄の症状は進行し、記憶力の減退で日常生活にも支障をきたしています。一緒に暮らす妹でライターのツガエマナミコさんは、そんな兄の様子を冷静に受け止めたいと心がけてはいるものの、気持ちは複雑で…。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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理不尽への怒りと達観する気持ちと
朝、ご飯を食べていたら、兄が急に「羽田は2~3本先?」という謎の暗号を投げかけてまいりました。ちょうどテレビで空港の映像が流れていたからだと思ったのですが、その手振りと口振りから「ウチから道2~3本挟んだところが羽田空港だっけ?」と解読できました。この住宅地にそんなものがあるわけないのに、真顔でおっしゃるおちゃめな兄と2人暮らしのツガエでございます。
デイケアに週1で通うようになって2か月半が経ちました。目に見えて変わったことは何もございません。
「ワンちゃんのところに行く日だからね」のひと言で「オッケー」とすべてを理解してくれたことに一度は歓喜しましたけれども、その翌週には「ふ~ん。ワンちゃん?」と逆戻りしておりました。なかなか記憶が定着しないのがこの病気。覚える力より忘れる力の方が強いので仕方がありません。一歩進んで二歩さがる~。ナポレオ