白内障手術を経験した53歳記者の実録|視力0.5→1.2に…視界が明るくなった!
50代の約50%の人が発症するという白内障。「半年前から視力が落ち、老眼かも…」と放置していた53歳の記者が、実は白内障だった! 白内障手術の実体験を赤裸々にレポートする。
【目次】
見えない原因は白内障だった!記者の手術体験記
●兆候「天気のよい日に、視界が一瞬まっ白に…」
半年前から視力が落ちてきた。天気のよい日に、視界が一瞬まっ白になったり、数字の3が8に見える。新しい老眼鏡を作りに眼鏡店に行くと、視力検査で左目だけが見えない。「すぐに眼科での診察を」とすすめられ、眼科を受診することに。
●診察「左目の前嚢下に強い白内障が発覚」
病院で視力検査や眼圧検査などを受けた結果、左目の前嚢下(ぜんのうか)に強い白内障があることが発覚した。高齢者がかかる病気だとばかり思っていた記者は愕然。これ以上進行すれば、職業柄、差し障りがある。思い切って手術することを決断した。
●術前検査「検査・抗菌の点眼薬と内服薬を処方」
手術の1週間前。眼内レンズの度数を設定するための屈折力検査(記者は遠くに合わせる単焦点レンズを選択)、糖尿病や感染症などの合併症がないか調べる血液検査を受け、術前から使用する抗菌の点眼薬と内服薬を処方してもらう。
●手術前日「術後に備え買い物や白髪染めを…」
術後1週間は、目に力を加えたりして傷口が開かぬよう、重い物を持つことが禁止される。そのため、当面の生活に必要なペットボトル飲料や米、洗剤などをスーパーで買っておく。洗髪もできなくなるので、白髪染めも済ませておいた。
●手術「痛みもなく5分で終了…緊張した!」
いよいよ手術。点眼麻酔後は消毒液がややしみた程度で痛みもなく、約5分で手術は終了。眼球を動かさずに1点を見ていなければならず、緊張した。術後に靴を履くとき、紐靴は下を向くので傷口が開く可能性があり、よくなかった。
●手術当日の夜「外出時と就寝時は医療用ゴーグル眼鏡を着用」
術後は眼帯をして、病院の送迎車で帰宅。この日は安静にして早めに床に就く。翌朝の診察で眼帯は外れ、外出時と就寝時は医療用ゴーグル眼鏡を着用することに。すぐによく見えるかと思ったが、まだ視界はぼやけた感じでハッキリと見えない。
●術後1週間「術後1週間は洗顔・洗髪がNG」
目に水が入って細菌感染する可能性があるため、術後1週間は洗顔・洗髪がNG。首から下のシャワーのみで、顔や目のまわりは固く絞ったタオルで拭う。デスクワークや家事、調理などは、術後2日目から通常どおり行えるようになった。
●術後7日目「視力が0.5から1.2にアップ!」
視界が明るくなり、信号や看板がくっきりとよく見えるように。視力検査では矯正視力(眼鏡をかけたときの視力)が0.5から1.2にアップ。
手術体験後記「視界は確実に明るくなった!」
当初は目の手術と想像しただけで怖くてビビりまくっていたが、そうした不安よりも不便さをなんとか解消したいという気持ちの方が勝った。何より背中を押したのが、「私もずいぶん前に受けたのよ。おかげでこの年になっても目には不自由しないわ」と言うご近所に暮らす80代女性のにこやかな笑顔だった。
手術中は眼球を動かさないよう、気を楽にすることに全集中。痛みもなく、万華鏡の中を見ている感じであっという間に終わり、ホッとした。
目下のところ(術後7日目)、視力がまだ安定しておらず、手術した左目と未執刀の右目とのバランスがうまく取れないのがちょっと難点。片目だけの手術ではなく、同時に両目を手術した方がよかったかも。
だが、視界は確実に明るくなった。暗さを感じて取り替え時期かと思っていた電球も煌々と照っている。これまで老眼鏡をかけても二重に見えていたスマホの文字もクリアによく見えるようになり、いちいち目を細めることもなくなった。私の場合は、“手術をして正解”だった。
→50代の50%が白内障!? 若者にも増えている4つのタイプと手術法|専門医が解説
手術前のレンズ選びは慎重に
白内障手術では、水晶体の代わりに移植する眼内レンズを選ぶ。眼科医の赤星隆幸さんが解説する。
「眼内レンズには、近くか遠くか、どちらか一方に焦点の合う単焦点レンズと、遠近両用の多焦点レンズがあります。単焦点レンズでは術後に必ず眼鏡が必要ですが、多焦点レンズでは老眼も治るので眼鏡なしの生活が可能となります」
自分のライフスタイルに合わせた最適の見え方を選ぶためにも、医師としっかり話し合って決める必要がある。
※記者が手術を受けたのは、赤星さんの執刀するクリニックではありません。
■単焦点レンズと多焦点レンズ、それぞれの特徴は?
■単焦点レンズの見え方
遠方に焦点を合わせた場合、裸眼で遠くのテレビや中間のパソコンは見えるが、手元のスマホは老眼鏡が必要。
近くに焦点を合わせた場合、手元のスマホはくっきり見えるが、遠くのテレビや中間のパソコンは眼鏡が必要。
■多焦点レンズの見え方
裸眼で、手元のスマホから、遠方のテレビ、中間のパソコンまですべてが自然な見え方でピントが合う。
※見え方はすべて乱視のない場合。
教えてくれた人
赤星隆幸さん/日本国内では「秋葉原白内障クリニック」をはじめ、海外でも年間1万件近くを執刀する白内障手術の専門医。著書に『白内障手術のすべて』(KADOKAWA)ほか。
取材・文/加藤みのり イラスト/ドナ
※女性セブン2021年3月25日号
https://josei7.com/