猫が母になつきません 第241話「ご、はん!」
言ったんです。「ご、はん!」と。「ご、あんっ」だったかな。「ごっ、にゃっ」だったかも。いや、「ご、はん!」と言いました(笑)。もう一回言ってみてと、さびにごはんを出す前に何度も「ごはん」を連呼してみましたが、さびは早くちょうだいよという顔をするばかり。当然ですけど。動物は話さないからかわいいのだと思います。今何をしてほしいのかはだいたいわかるし、すりすりしたり、頭突きしてきたり、ごろごろいったり、話さなくてもコミュニケーションは濃密で、それで充分だと思えます。一方、母とのコミュニケーションはだいぶ怪しくなってきました。大事なことを説明しても、説明している途中でまた最初のほうで話したことを聞かれて一からやりなおし。次の日には白紙に戻っていて、また同じ劇を繰り返す。なまじ話せるので、わかってくれたのかと期待してしまう自分がまだいて、もうちょっと修行が必要です。もし話さなかったら動物みたいにかわいくなるのか…いや、それはない…。ご、はん!
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作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。