シルバーカーの使い方や選び方を専門家が指南!人気のタイプ、おすすめは?
シルバーカーは、主にグリップ(バー・ハンドルともいう)を握って押す。車体下部にはキャスターが付いていて、ブレーキをかけて止める。さまざまなタイプがあるのでパーツ別に解説していく。
1.ハンドルは握りやすい?
シルバーカーの上層部に、手で握るグリップが付いている。ここを操作することで、行きたい方向を定めたり、止めたりなど指示ができる。自転車でいうと、ハンドルにあたるもの。ハンドルには以下のような2タイプあり、一般的にブレーキが付いている。
・グリップタイプ
グリップが左右に付いていて、それぞれブレーキを備えるタイプ。
このタイプは、左右の握力が大幅に異なる人の場合、片方のグリップに力が入りすぎてシルバーカーが回転してしまう恐れも。片方だけでブレーキがかかるタイプもあるので、そちらを選ぶといいだろう。
・バーハンドルタイプ
バー(グリップ)を両手で握るもの。片手でブレーキをかけられるタイプがある。
→高齢者の自転車の選び方|命を守るために気をつけたいポイント
2.ブレーキはかけやすい?
シルバーカーを止めるときには駐車ブレーキをかける。ブレーキの操作方法はタイプによって主に以下の4種類がある。
・レバーを下げるタイプ
押すときはグリップとブレーキレバーを握る。握る力を弱めてブレーキレバーを下ろすとブレーキがかかる(左上)。
・レバー式
片側についたレバーを上げ下げしてブレーキをかける(右上)。
・レバーロックタイプ
バーハンドルにフックが付いていて、ブレーキに引っかけて固定する(左下)。
・足操作式
車輪部分にブレーキペダルが付いていて足で上げたり下げたりする(右下)。
「 “足操作” で、ブレーキペダルを足で引っかけてあげるタイプのものは、歩行が不安定な人だとバランスを崩してしまうこともあるため、手でブレーキをかけられるタイプを選んだほうがいいでしょう」
3.キャスターは使いやすい?
シルバーカーには、荷物などを楽に運ぶためのキャスター(車輪)が付いている。前輪は、シングルキャスターとダブルキャスターがある。ダブルキャスターのほうが安定感はあるが、重量はやや重くなる。
また、キャスターは方向転換がしやすい回転式のものと、固定式のものがあり、固定式の場合は、方向転換するときにキャスターを持ち上げる必要がある。
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シルバーカーの大きさとメリット・デメリット
シルバーカーは、大きさ別に分けると、小型、中型、大型(標準)の3タイプがある。それぞれのメリット・デメリットは…。
・小型タイプ
小さなバックが付いているものもあり、コンパクトで軽く、扱いやすく小回りもきく。折りたたみ式は、コミュニティバスなどの乗降時に便利。シングルキャスターのものは、やや安定性に欠ける。
・中型タイプ
収納ボックスは、椅子としても使えるものもある。ほどよい安定感があり、扱いやすい。椅子として使う場合には座面がやや小ぶり。
・標準~大型タイプ
収納ボックスが椅子にも使用できるものと、幅広いワゴンタイプ(椅子にはならない)のものがある。荷物をたっぷり入れられて安定感がある反面、折りたたむときや運ぶときに少し力がいるものも。
「ちょっとした用事で近所に出かけたり、バスなどに乗降したりする人は折りたたみできる小型タイプを。
散歩でちょっと休憩したい人は椅子になるタイプを、スーパーでたくさん買い物する人には、かごの大きさにより中型~大型が使いやすいでしょう。
なお、電車やバスに乗る時は、必ず説明書どおりにたたんでください。折りたたまずにそのまま押して歩くのは大変危険です。
また、製品によりグリップの高さが異なるので確認が必要です。グリップはひじより少し下くらいの高さのものが押しやすいでしょう」
シルバーカー購入時の注意ポイント
シルバーカーは購入・レンタルともに介護保険の適用外となっているので、慎重に選びたい。
「販売店で本人が直接デモ機等に触れ、操作性などを確認しながら選ぶのがおすすめ。福祉用具専門相談員がいる店で相談し、高さ調整をしてもらってから購入するといいでしょう」
内閣府の調査※によると、65歳以上のシニアの多くが、「特に難しいと感じる活動」について、「少し重たい物を持ち上げたり運んだりすること」が難しいと感じるようになっているというデータも。
1位「難しさを感じることはない」(62.1%)
2位「少し重い物を持ち上げたり、運んだりすること」(25.3%)
3位「立ったり座ったりする」(14.6%)
※「平成29年高齢者の健康に関する調査(概要版)」(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/h29/gaiyo/pdf/sec_2_1.pdf
シルバーカーがあれば、重い物を運ぶことがラクになりそう。実際、料理が好きな記者の母(88歳)は、食材をスーパーに買いに行くことが日々の楽しみだ。愛用のシルバーカーには、大きなカゴが付いていて、1㎏のお米や箱買いのトマトまで運び、
「これがあるから私、買い物に行けるの!」と、いつも嬉しそうにしている。
お気に入りのシルバーカーで、いつまでも外出をしてアクティブライフを送ってほしい。
→『セレナ』福祉車両で家族一緒にお出かけ!広い・快適室内、ラクラク・安心装備を徹底紹介
シニアにおすすめのシルバーカー5選
今回取材したシルバーカー選びの内容を踏まえ、編集部で気になるシルバーカーをピックアップ。初めてのシルバーカー選びの参考にして欲しい。
※すべて価格は定価、税込み表記。
1.座面でひと休みもできる標準・大型タイプ
幸和製作所「テイコブST07」
ゆったり深く座れる座面と、溝などにはまりにくい幅広い後輪が人気のスタンダードタイプ。座面下には約23リットルとたっぷり収納でき、まとめ買いのときなどにも便利。
【データ】
商品名:テイコブST07
価格: 2万8050円
重量:5.7㎏
発売元・問い合わせ先:(株)幸和製作所 電話0120-508-058(フリーコール)
https://kowa-seisakusho.co.jp/
2.中身が見やすい標準・大型ワゴンタイプ
幸和製作所「テイコブワゴン」
多目的に使える大容量のシルバーカー。フレームで構成されたバスケットは、汚れてもお手入れが簡単。いろいろな荷物を運ぶことができ、最大積載荷重20kgと重い荷物を運ぶのにも便利。
【データ】
商品名:テイコブワゴン
価格:2万1780円
重量:5.1㎏
発売元・問い合わせ先:(株)幸和製作所 電話0120-508-058(フリーコール)
https://kowa-seisakusho.co.jp/
3. 折りたたみや高さ調整が簡単にできる中型タイプ
アロン化成「サンフィールS(ショッピング)」
ハンドルの高さが最低70cmから使え小柄な人にもオススメ。ワンタッチで高さ調節が可能。折りたたみもレバーを引くだけと便利。一回の買い物分がすっぽり収まるバッグ(容量8リットル)付き。
【データ】
商品名:シルバーカー サンフィールS(ショッピング)
価格:2万6950円
重量:約4.6㎏
発売元・問い合わせ先:アロン化成 ライフサポート事業部 お客様相談室 0120-86-7735
https://www.aronkasei.co.jp/anju/
4.保冷仕様バック付き小型タイプ
島製作所「モートプラス」
折りたたんでもバッグの形が変わらないので、荷物がつぶれにくい。バッグは保冷仕様で買い物に便利(完全保冷ではない)。暗い夜道で役立つ、取り付け簡単なセーフティーライト(LED)付き。
【データ】
商品名:モートプラス
価格:3万1680 円
重量:3.9㎏(メッシュキャメル)
発売元・問い合わせ先:島製作所 電話06-6793-0991
http://www.shima-seisakusyo.com/
5. 軽くて持ち運びしやすい小型タイプ
島製作所「サニーウォーカーSP(小)」
操作しやすいU字型ハンドルで安心。ブレーキレバーを握るとブレーキ、押し下げると駐車用ストッパとなる2WAYブレーキシステム。折りたためば自立し、コンパクトで持ち運びにも便利。
【データ】
商品名:サニーウォーカーSP(小)
価格:2万8050円
重量:4.8㎏
発売元・問い合わせ先:島製作所 電話06-6793-0991
http://www.shima-seisakusyo.com/
取材・文/本上夕貴
※図出典/「福祉機器 選び方・使い方 副読本 基本動作編/杖・歩行器等補助用品の選び方、利用のための基礎知識」(加島守/一般財団法人 保健福祉広報協会刊行) https://hcrjapan.org/
※同協会・全国社会福祉協議会主催によるオンライン「福祉機器Web2020」を開催中 https://www.hcr.or.jp/web2020
教えてくれた人
高齢者生活福祉研究所所長・理学療法士/加島守さん
越谷市立病院、武蔵野市立高齢者総合センター補助器具センター勤務を経て、平成16年10月高齢者生活福祉研究所を設立し、所長に就任。一般財団法人保健福祉広報協会評議員。「福祉機器Web2020」では、福祉機器の選び方・使い方セミナーの講師も務めている。
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