コメント日|2023.09.24
よかったですー(=^ェ^=)♪ 素直にうれしい。安心します。 そうですね、脱臼は一見不運でしたが、問題あるであろう…
猫が母になつきません 第374話「整形外科ふたたび」
日々の買い物や病院の送迎など介護中は“車”が必要になることが多い。介護が必要な高齢者を乗せるなら、どんな車が便利なのか。介護しやすい車とは? 車いすを乗せるなら…。
福祉車輌取扱士スペシャリストの資格を持つモータージャーナリストの竹岡圭さんが語る、車と介護にまつわるお話。今回のテーマは“福祉車両”だ。
こんにちは、竹岡圭です。
私はモータージャーナリストとして車の記事を執筆したり、テレビに出演したり、プロではないですが、モータースポーツにもチャレンジしています。
そんな私が福祉車両に興味を抱いたのは、2006年から末期の肺がんだった父の介護をし、車に乗せる体験をしたこと。そしてもうひとつが、私自身がもしかすると運転ができなくなるかもという病気を経験したことでした。
2017年から全日本ラリー選手権に参戦し、まさに全国を走り回っていたのですが、実は2015年ごろから股関節がすり減って痛みが生じる、変形性股関節症を抱えていました。
高齢者に多いといわれている病ですが、私は40代で罹患。度重なる激痛で歩けなくなることもあり、竹岡圭の車人生もはやこれまでかと絶望しかけた――というのは大げさな話で、「足が動かないのなら福祉車両を手で運転したっていいさ」と思い立ち、福祉車両の世界について学び、福祉車輌取扱士の資格を取得しました。
調子に乗ってさらに講習を受け、福祉車輌取扱士スペシャリストという上位資格も取ってみました。
そんなわけで、この経験をもとに今回は介護で役立つ車について紹介していきます。変形性股関節症がどうなったのか…それは追ってお話ししますね。
福祉車両とは、体が思うように動かない高齢者など介護が必要な人や障害を抱える人のために開発された車のことです。
福祉車両には、大きく分けて、
1.介護車と、2.自操車の2種類があります。
介護しやすい車とは、乗り降りしやすいようにシートが回転したり動いたり、車椅子のまま乗せられたりと特別な装備をしてある車のこと。そういった装備を最初から搭載している車を、福祉車両と呼びます。
ちなみに、私は、当時末期がんだった父を車に乗せて病院と自宅を行き来していたのですが、180㎝もある長身の父を車に乗せるのにとても苦労しました。
体の大きな父をよっこいしょと抱え、車椅子から助手席へと乗せかえるとき、腰に負担がかかるんですよ。シートがうまいこと動いたらいいのになぁと思っていました。1年あまりの介護で父は他界したのですが、私が当時から乗っていたのはプジョー307CCというオープンカーとBMWのMINI。介護には向いてなかったですよね…。
→車で移動中に大きな地震がきたら…運転手が知っておくべきポイント
「もしも足に障害を負ったら手で運転しよう」。私がそんな風に考えたように、体が思うように動かせない人や障害をもつ人が、自ら運転する車を福祉車両の中でも自操車と呼びます。
介護車も自操車も国産自動車メーカーで“福祉車両”として販売されています。福祉車両の愛称を、トヨタでは“ウェルキャブ”、日産自動車は“ライフケアビークル”、ダイハツは“フレンドシップ”など、メーカーで呼び名がバラバラなのは気になりますが…。
高齢化社会がどんどん進むわけだし、介護に必要な車“福祉車両”が各社共通のカッコいい呼び名になったらもっと広まるのになぁと思っています。
今回は、介護が必要な親などを乗せるための介護車を中心に解説します。
私が福祉車両について学んだ日本福祉車輛協会のマニュアルによると、福祉車両(介護車)の定義は以下のようになっています。
1.助手席回転シート車
2.助手席リフトアップシート車
3.サイドリフトアップシート車
4.リフトタイプ車
5.スロープタイプ車
以下で、それぞれの特徴と、どんな人に向いているのかを解説していきましょう。
助手席回転シート車とは、文字通り、助手席だけがくるりと回転し、乗り降りしやすいようになっているもの。回転した後に座面が傾くタイプもあります。これは和服で乗り降りするとか、動作が制限されてしまうような服装のときにも便利なものです。
ただし、助手席が回るときに膝を曲げたり足を上げたりしなければならなかったり、乗り降りのときに車のドアがあるので車の前方からは介助しにくかったりといったデメリットも。
★こんな人におすすめ
・杖なしで歩ける人
・車椅子からの移乗に介助が不要
助手席リフトアップシート車とは、助手席が回転したあと、車外にせり出しながら降りてくるタイプ。回転だけは手動でリフトは電動のものや、すべて電動のタイプもあります。1と同様に助手席のドアがジャマをして乗り降りのときに介助しにくいというケースもあります。
★こんな人におすすめ
・つかまり歩きできる人
・車の乗り降りで足腰に負担を感じている人
サイドリフトアップシート車とは、2列目など後席が回転してせり出す仕組みになっている車。ミニバンなど大きなタイプの車に多く、シートがそのまま車いすとして使える福祉車両もあります。足や膝の大きな曲げ伸ばしもなく、スライドドアであればどちら側からも介助しやすいのが特徴です。
★こんな人におすすめ
・運転する人のほかに介護する人が同乗することが多い
・ひざの曲げ伸ばしがつらい
・車の前側から介助したい
スロープタイプ車とは、荷室にスロープが収納されていて、車の後方からスロープを使って車椅子のまま車に乗り込めるタイプの車。スロープは折り畳み式やスライドタイプなどさまざまですが、軽自動車で採用されているコンパクトに収納できるタイプもあります。
ただし、車いすのまま長距離を走るのは体に負担が大きく、40分くらいが限界だと思います。近くの病院の送迎や買い物といった短距離を走る人向きといえるでしょう。
★こんな人におすすめ
・車椅子ごと乗り込みたい
・通院など短距離移動が多い
・軽などコンパクトな車を好む
リフトタイプ車とは、車体後部に取り付けられたリフト装置が車外にせり出し、車椅子を乗せて自動で昇降させられるもの。施設などで利用する大型車が多く、一般の人が乗るには選べる車種が少ないかもしれません。
★こんな人におすすめ
・介助で体力に不安がある
・車椅子のままの移動が多い
・施設の送迎車として使いたい
回転シートやリフトなどさまざまな装備がついている福祉車両は高そう…と思う人も多いと思います。選ぶ車種や住んでいる自治体にもよるのですが、福祉車両は購入時に助成金や補助金が使えたり、装備によって非課税となったりする場合もあります。購入時、販売店にしっかり確認しておきましょう。
たとえば、シートが昇降する装置がついている福祉車両の場合、車いすを固定するベルトを装着することで、自動車税と自動車取得税が非課税となります。
→介護のお金|頼れる制度やサービスは案外ある。不安を軽減する方法
足腰が弱ってくるとつかまるものが必要になるので、持ち手につり革のようなハンドルをつけたり、乗り降りのためのステップを後付けで装着したりできる車もあります。
また、販売店のほか、架装といって車に特殊な装置を取り付けるための専門業者もあるので、そういった業者に相談する方法もありますね。
たとえば、ぜったい介護はメルセデスベンツで受けたい!とか、車種を限定する場合は後から車椅子のリフトを取り付けるなど、介護車として改造するという需要にも対応できます。
→認知症の介護をラクにする言葉がけ|「運転をやめさせたい」の対処法
車椅子の高齢の親を乗せるなら。まだ歩けるけど膝が痛い親には…目的やニーズに合わせて介護しやすい車を選ぶといいですね。さらに、介護が終わったあとも自分が運転しやすい車を選んでおくのがいいでしょう。
『ヤリス』(先代まで日本名は『ヴィッツ』)は、助手席が回転しながら、さらに座面が降りやすいように傾く“助手席ターンチルトシート”をラインアップ。ひとつのレバーで簡単に操作できるのが特徴。運転席にも同じ仕組みを装備できるため、高齢ドライバーにもやさしい車。後席に車いす収納の装備も選べます。
【データ】
TOYOTAヤリス 助手席ターンチルト 1.5X(2WD)車いす収納装置付車“タイプⅠ”
車両価格:156万9000円~
https://toyota.jp/yaris/welcab/p_turntilt/
『シエンタ』の福祉車両は、助手席ターンチルトのほか、荷室はスロープタイプや車いす用収納装置など、さまざまな仕様を選べます。写真は、電動で車いすを吊り上げる装置がついたタイプ。車いすを荷室に収納し、介助者は後席にも座れます。
【データ】
TOYOTAシエンタ
車両価格:191万4000円~
https://toyota.jp/sienta/welcab/tilt_p_kaiten/
車高が高めのSUVは介護には不向きと思われがちですが、『エクストレイル』なら福祉車両が選べます。電動のスライドアップシートで乗り降りがしやすくなっています。介護のためだけではなく、自分が乗って楽しいと思う車を選ぶというのもポイントです。
【データ】
NISSANエクストレイル 助手席スライドアップシート
車両価格:327万9000円~
https://lv.nissan.co.jp/LVCAR/X-TRAIL/SIDESEAT/
背が高めで人気の軽自動車『N-BOX』の福祉車両。ラゲッジに装着されたスロープは、車椅子を搭載しない時は、ラゲッジの棚としても使えます。車椅子は、専用ベルトで車いすの引き上げをサポートする仕組み。スロープは車いすだけでなく、自転車を積んだり、ベビーカーを載せたりするときも便利。
【データ】
N-BOX G・スロープL Honda SENSING
車両価格:157万5640円~
https://www.honda.co.jp/welfare/nbox/wheelchair/
Bピラーと呼ばれる車の真ん中の構造をドアにビルトインすることで、柱を取り払ったダイハツの『タント』。足を置くステップもついている助手席シートがくるりと回転して外へせり出します。間口が大きく開くから乗り降りも介助も圧倒的に楽です。助手席がターンしたとき目の前に”グリップ”があるのも乗り降りがしやすいポイント。
DAIHATSU タントウェルカムターンシートリフト
154万5000円~
https://www.daihatsu.co.jp/lineup/friend_tanto_w/
介護の悩みに合わせた車両を選ぶことで介護の負担は軽減できるはず。そして介護が終わったあとには自分が快適に運転できる車を選ぶことも大事です。
ちなみに、私の変形性股関節症がどうなったのかというと…。もし障害を負ったとして、福祉車両を運転するとしたら――。そんなことを考えながら過ごしていた2019年末、いよいよ痛みが本格化して手術を決行。かくして私は両足ともに人工股関節となりました。
でもね、最新の医療と人工口股関節の進化はすごいんです。リハビリ期間を経て、現在は以前と変わらず歩き、走り、運転もできる…やれなくなったことはない状態。全日本ラリー選手権、サーキットレースといったモータースポーツにも参戦中なのでした。
そんなわけで、福祉車両がとても身近になり、自ら運転してみたい車とも出会いましたので、その話はまた別の機会に!
モータージャーナリスト・福祉車輌取扱士スペシャリスト 竹岡圭さん
日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)副会長、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。車の試乗レポートをはじめ、テレビ・雑誌等メディアで活躍。『なかなか日本!~高速道路DRIVE1バン旅~』(TVK他、毎週水曜日21時55分~)にレギュラー出演。そのほかラジオにもレギュラー番組を持つ。福祉車輌取扱士スペシャリストの資格を取得し、介護に役立つ車のインプレッションを福祉車両メディア『ビリーヴ』にて配信中。2017年から全日本ラリー選手権にも参戦している。YouTubeチャンネル『圭Tube』、オフィシャルブログ『竹岡圭の晴れ女ブログ』
協力/ビリーヴ https://believejapan.com/
構成・文/介護ポストセブン編集部
●高木ブーが免許返納を決めた深イイ話 【第5回 運転免許証の返納】
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はじめまして、、。介助車両の投稿は大変参考になりました。現在スロープタイプの車両検討しています。高齢者の乗車の際に二人がかりで乗車させていますが、他の投稿でスロープ車両の固定ベルト金具等が車椅子の車輪が当たり乗せにくいとの事です。車椅子持参にて試乗が良いのですが田舎ですので実車無いのが現状です。