新型エアコンで注目の「見守り機能」離れて暮らす高齢の親世帯におすすめの使い方や選び方を家電のプロが解説
地域によっては既に猛暑が始まっている今。これから迎えるさらなる酷暑では、エアコンをつけずに過ごす高齢者は室内での熱中症の危険も。そこで注目なのが「見守り機能」を搭載した最新のエアコンだ。機能や選び方のポイントを家電ライターの田中真紀子さんに教えていただいた。
教えてくれた人
田中真紀子さん / 家電ライター
家電ライター/家電を生活者目線で分析し、雑誌やウェブで紹介する家電のスペシャリスト。特に白物家電・美容家電に詳しい。自宅には最新家電を中心に200以上を所有し、年間300以上の記事執筆・監修に携わる。テレビ・ラジオにも多数出演。公式HP https://makiko-beautifullife.com/
新型エアコン注目の「見守り機能」
エアコンの「見守り」機能とは、どのようなものなのか。田中さんは、主に3種類あると話す。
室内の気温に応じて運転を自動開始(本体に搭載)
まず注目したいのは、部屋の温度に応じて自動で冷暖房を運転してくれる機能だ。
「見守り設定をオンにすることで、運転停止中でも、室温が28℃など一定の気温に達すると、自動で運転を開始してくれます。まだ数は少ないですが、エアコンの中でもハイエンドモデル、いわゆる最上位機種の本体に搭載されています」(田中さん・以下同)
熱中症リスクが高まると音声でお知らせ(本体に搭載)
音声で冷房の使用をアナウンスしてくれる機能もある。
「部屋の温湿度が上がり熱中症リスクが高まると、『お部屋の温度が高いので冷房運転を開始してください』などと、エアコン本体が音声でアナウンス。ご高齢で暑さを感じにくくなっている人やエアコンを入れ忘れてしまう人などにおすすめの機能です」
出先からエアコンの使用状況などをチェック(スマホのアプリで操作)
エアコンと連携したアプリをダウンロードすることで、スマホから室内の状況をチェックできるものもある。
「IoTと呼ばれる、家電製品などのモノをインターネットに接続する機能を搭載したエアコンです。IoTは有線ケーブルでつなぐことができないので、無線Wi-Fi環境を整えることが必須になります。
その上で、専用アプリをダウンロードすれば、外出先からスマホの画面でエアコンの使用状況や設置環境の温湿度、部屋に人がいるかいないかなどを確認できます。
離れて暮らす家族は、国内であればどんなに遠距離に住んでいても、高齢の親が今どのような環境で過ごしているか、エアコンをちゃんと使っているかを確認できます」
現在使用中のエアコンで「見守り機能」を使うには?
高度な見守り機能が本体に搭載されているエアコンは、最上位機種なのでその分、お値段も高め。スマホから室内の状況を確認できるものはエントリーモデルからミドルモデルに搭載されていることが多いが、それでも気軽に買い替えられないという人もいるだろう。買い替えずに遠隔から見守る術はないだろうか?
「IoTを搭載した温湿度計を別途購入することで、対策できます。これはスマホやパソコンなどから、リアルタイムで部屋の温度と湿度をチェックすることができるんです」
ただし、離れて暮らす家族がこのように「見守る」場合、注意が必要だと田中さんは続ける。
「エアコンに限らず、さまざまな形で見守りができる家電がありますが、高齢者の中には『監視されている』と感じる人もいるそうです。見守り機能を使う場合、伝え方に配慮する必要がありますね。
『今エアコンつけていないでしょ?』『室温が上がっているから冷房をつけて!』など、いかにもエアコンの使用状況を把握しているといった伝え方は避けたほうがいいでしょう。
『このあと気温が高くなるからエアコンをつけてね』など、さりげなくエアコンの使用を促してみてはいかがでしょうか」
高齢者におすすめのエアコン「+α」の機能
いくらエアコン冷房の使用を呼び掛けても、『電気代が高くなる』『体が冷える』などの理由で、どうしても使うことに抵抗がある高齢者もいるようだ。
田中さんは「今のエアコンは省エネ化が進んでいるため、10年以上前のものに比べると消費電力は格段に下がっています」としたうえで、高齢者が安心して使える機能を挙げてくれた。
その人にとって最適な温湿度に自動調整
まずは、「冷えすぎ」防止する機能だ。
「エアコンをつけるたびに、自分にとって快適な室温と湿度に調整している人も多いと思いますが、近年のエアコンはAIを活用し、自動で調整してくれるものもあります。
また、エアコンの風が苦手という高齢者には、温度や風量を極端に変えず、自然界の風のような風量に調整してくれるものなら、違和感なく使えるかもしれません」
自動フィルターお掃除でお手入れをお任せ
次に、お手入れのわずらわしさを解消する機能だ。
「エアコンのフィルターは掃除をしないとホコリや油汚れなどで目詰まりを起こし、運転効率が下がって電気代が高くなってしまいます。できれば2週間に1度はお手入れをしたいところですが、エアコンは高い場所にあるため、お手入れのために踏み台に乗ったり、両手をあげて作業したりするのは危険ですよね。
その点、フィルターの自動お掃除機能があれば、手間を軽減することができます。その方法は製品によって異なりますが、一例を挙げると、冷房なら冷房運転を止めた後に、フィルターについたホコリや汚れを自動でお掃除し、清潔な状態を保ってくれるものがあります。
内部洗浄や、ダストボックスに溜まったホコリの除去など、お手入れがゼロになるわけではありませんが、日常的なお手入れが軽減されるのは大きなポイントです」
音声案内で誤操作防止
目が見えづらい人や誤操作が気になる人には、音声で運転状況をお知らせしてくれる機能があると心強い。
「リモコンのボタンが見えにくかったり、操作を間違えたりした場合に、『温度が28℃に設定されました』など音声でお知らせしてくれる機能です。高齢者の中には、冷房のつもりで『暖房』運転をしていて熱中症になったという人も。音声でお知らせしてくれることで、誤操作に気づけるのは安心ですね」
リモコンは表示が大きく光るボタンなど分かりやすいものを
同様に、リモコンもわかりやすく操作しやすいものを選ぼう。
「例えば、リモコンのボタンや液晶画面の文字表示が大きい、色分けされている、操作時は液晶だけでなくボタンも光る、といった工夫がされていると使いやすいでしょう」
以上を踏まえ、高齢者におすすめのエアコンを2点、教えてもらった。
注目の見守り機能を搭載した新型エアコン2選
※価格は6月19日時点、税込価格。