非常口への誘導灯、背景が緑と白2種類あるのを知っていますか?違いは?
いつ起こるかわからない災害。もし、それが地下街や地下通路にいるときだったら…。慌てて、やみくもに避難するのではなく、知っておいたら、落ちついて判断できることもあるはず。いざというときに役立つ知識を専門かが伝授します。
地下は地上より地震の影響を受けにくい
「地下街や地下通路で被災しても、慌てて地上へ逃げる必要はありません。なぜなら、地下は地上よりも地震による影響を受けにくいからです」
と語るのは、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんだ。
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地面が揺れた場合、地上にある建物は地面とは逆方向に力が働くために大きく揺れるが、地下の構造物は地面と同じ方向に力が作用するので、揺れが大幅に減衰するのだという。
東日本大震災のときも、地上のJR仙台駅では新幹線ホームの天井板や電光掲示板が落下するなどの被害が出たが、仙台駅前の地下通路は少量の漏水が発生した程度でほとんど無傷だった(※)。
※国土交通省「地下街等の被災状況等について」資料より(https://www.mlit.go.jp/common/001021689.pdf)
非常口の誘導灯を目印に地上を目指す
「地下にいるときに地震が起きたり、緊急地震速報が鳴ったら、まずは壁際や柱に身を寄せて安全を確保しましょう。揺れが収まったら、非常口マークの誘導灯を目印に、壁づたいに移動して地上を目指します」(和田さん・以下同)
法律上、地下街では60mごとに非常口の設置が義務付けられている。そして必ず、非常口の場所がわかりやすいよう、非常口マークの誘導灯が設置されている。 
しかしこの非常口マーク、背景の色が緑と白の2種類があることをご存じだろうか。
「背景が白の誘導灯は、正式には“通路誘導灯”と呼びます。廊下や通路の曲がり角などに設置されているケースが多く、これは矢印の方向に非常口があることを示しています。つまり、この誘導灯がある場所に非常口があるわけではありません」
非常口そのものを示しているのは、背景が緑色の誘導灯で、正式名は“避難口誘導灯”と呼ぶ。外部に通じる扉や地上に続く階段など、緊急事態の際、逃げるための出入口に設置されている。
ちなみに背景の色が緑色なのは、火事の際、赤い炎の中でも見つけやすい色だから。
「消防法で、地下街などの誘導灯は、停電しても60分以上点灯し続けられるよう義務付けられているため、誘導灯本体に電池が内蔵されています。地震が起きても真っ暗になることはないので、慌てず、揺れが収まってから地上に出て、地域の避難場所に移動しましょう」
普段よく利用する地下街や地下通路では、あらかじめ非常口の位置などを確認しておくこともおすすめだ。
まとめ
●地下は地上より地震の影響を受けにくい。
●警報が鳴ったら、壁際や柱に身を寄せて安全確保。
●揺れが収まったら、非常口への誘導を目印に地上を目指す。
●誘導灯、背景が白のものは、矢印方向に非常口があることを示すもの。
●誘導灯、背景が緑のものは、非常口そのものを示している。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
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