退職後夫がボケる!?その前に妻がしておくべき4つのこと
長年勤め上げた会社を退職した夫は、やたらと私に小言を言うようになった――「やることがないのね」と邪険にせず、いまこそ“夫にしかできない生前整理”をしてもらうチャンスかも。夫がボケる前に、妻がやっておくべきことを専門家に徹底取材。
夫が認知症に…退職後に夫はボケる!?
夫に急に先立たれるのはもちろん困るが、元気であっても認知症になってしまうと、家族の負担ははかり知れない。
退職した夫が「かまって」とばかりに近寄ってきたら、あまり無下にしない方がいい。目白大学教授で『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)の著書がある小野寺敦子さんが話す。
「現役時代の夫の人間関係は、ほとんどが職場関係。退職でそれが切れると、一気に世界が狭くなります。
そして、失った人間関係を受け止めてくれる人がいないので、妻にその受け皿の役割を期待するようになりがちなのです。
私の義父は定年退職後『もうやりきった』と言ってあまり出歩かなくなり、その後すぐに認知症になってしまった。
義母はその世話に追われて大変だったようですが、嫁の私は遠方に住んでいて、助けられなかった。
男性は特に燃え尽きた感があると認知症になりやすいのではないかと実感しています」
しかし、妻には妻のやりたいことがあり、夫にばかりかまってはいられない。では、どうすればいいのだろうか?
→「親が認知症になったら…」毒蝮三太夫がズバリ!アドバイス【連載 第27回】
夫がボケる前に妻がすべき4つこと
「すでに人生100年時代。夫には退職後の20年間、自分をどうプロデュースするかを考えてもらっておくことが重要です」(小野寺さん・以下同)
1.自己実現できるものを見つける手助けを…
「たとえば、現役時代の仕事関連で独立したり、新たな資格を取得するなど、自己実現ができるものを見つけさせチャレンジできるよう手助けしてあげられるといいですね」
特に、お金を稼ぐことは世の中の役に立っている実感をもたらし、生きがいにもなる。できれば定年退職後も現役続行できるようサポートしよう。
2.夫婦で散歩に出かけ意識のズレを補正
とはいえ、このような支援も円満な夫婦関係があってこそ成り立つ。
「多くの夫が“妻はいまも自分を愛している“と信じているようですが、妻からすると実はそこまでではなく、友人関係の方が大事だということも少なくありません。こういった夫婦間の認識のズレは、きちんとコミュニケーションが取れていないからにほかなりません」
高齢になると、夫婦で交わす話題は子供や孫の話とテレビの内容くらいしかなく、乏しくなりがちだ。
「一緒に出掛けたり、散歩に行く程度でもいいので、意思疎通できる関係を維持することで、認識のズレを補正できます。同じ時間を過ごすことは、年を重ねるほどに重要になってくるのです」
3.ボランティアや地域のコミュニティに参加を
老後の生活を豊かにする意味において、趣味や地域のコミュニティーへの参加、ボランティア活動など、夫婦一緒に参加するのは意外と大事なことなのだ。
夫に先立たれてひとりになると、夫の実家との関係も少しずつ変わっていく。
多くの場合、夫の実家の親族とは夫の命日に会う程度になり、次第に希薄になっていくのが普通。ただし、希薄になるからこそ、トラブルは回避したい。
→老後ひとり暮らしのお付き合いマナー|おひとりさま向け3大サービスとは?
4.夫のきょぅだいと相続の話をしておいてもらう
「問題になりがちなのは、夫が夫の実家から受け継いだ不動産を、夫のきょうだいと共有名義で相続していたパターンです。
夫が亡くなれば、その財産は妻や子供が相続することになりますが、〝自分と子供が相続するつもりでいたら、夫のきょうだいが相続権を主張してきた〟など、どう分けるのかで思わぬトラブルになることもあります。夫が生きているうちに、きょうだいで話し合ってもらっておいた方がいいでしょう」
「わが家のお金の問題」と併せて、夫が実家から相続した財産についても忘れずに情報共有し、本人の意思確認をしておきたい。
→夫が死ぬ前に【相続】で確認すべき5つのこと|財産把握シート付き
もし、夫の死後も向こうのきょうだいが過剰に干渉してくるなら、「姻族関係終了届」を提出することで親戚関係を終わらせることも可能。
俗に〝死後離婚〟ともいわれるこれも、最後の手段として頭の隅に置いておこう。
教えてくれた人
小野寺敦子さん/目白大学人間学部教授(https://www.mejiro.ac.jp/graduate/voice/archive/012045/)。著書『女50代のやっかいな人間関係』(河出書房新社)。
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