猫が母になつきません 第225話「メモをはる」
長年連れ添った夫婦じゃないけど、長く母娘二人だけで暮らしていると会話はどんどん減っていきます。話さなくてもだいたいわかるというのも事実ですし、話す気にもならないというのも事実。言葉を交わすのはだいたい「〜して」か「〜しないで」という要望系。母が私に要望することはたいてい叶えられますが、私から母への要望はほぼ「〜しないで」オンリーなのにもかかわらず、たいてい忘れられるか無視されます。忘れたふりして無視されることも多々あり。私はかなり過敏な《ほこりアレルギー》で、ちょっと大きめの空気清浄機を部屋に設置しているのですが、しょっちゅう電源を切られてしまいます。母からすれば電化製品がつけっぱなしなんてもったいないという気持ちしかない。「電源いれっぱなしでも必要ないときは動いていないから」と説明してもたぶん信じていないし。スイッチの上に「消さない」のメモを貼るとやっと消さなくなりました。禁止事項は「気づかなかった」と言われないために太マジックで大きく書くのがポイント。老老介護になるころには家中メモだらけかもしれません。
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。