「五大栄養素」が揃う大豆 内臓脂肪と中性脂肪を下げ腸内環境を整える効果も
肉に匹敵するほどのたんぱく質量。それでいて、食物繊維も豊富という、夢のような食材「大豆」。形状や食感が七変化する大豆の加工食品は、それによって栄養価まで変わってくる。たんぱく質が不足しがちなシニア世代は。とくにとりたい食材だ。
大豆が日本人に愛される理由
古くから日本の食卓に欠かせない食材の大豆は、豆腐や油揚げ、納豆といった加工食品となり、毎日のように食卓を彩る。そればかりか、しょうゆやみそといった和食ならではの調味料も、大豆から作られている。大豆とその加工食品が、これほどまで日本人に愛されてきたのは、なぜか。
その理由を「大豆食品の高い栄養価と同時に、変化のつけやすさにある」と『日本ソイフードマイスター協会』の講師で、管理栄養士の水谷俊江さんは説明する。
「大豆は『畑の肉』ともいわれるように、たんぱく質が豊富。肉食が禁じられた江戸時代の貴重なたんぱく源でした。また、豆腐の淡泊な味わいはさまざまな料理にアレンジしやすいのも魅力です。1782年には『豆腐百珍』という、豆腐料理を100種類集めた本も発刊されています。大豆は日本独自の食文化であり、いまも昔も、私たちの健康を支えてくれる食材といえます」(水谷さん)
また、大豆にはたんぱく質のほか、炭水化物と脂質、ビタミン、ミネラルも含まれ、五大栄養素のすべてが揃い、栄養価の高さには目を見張るものがある(下表参照)。
《大豆の主な栄養素と健康効果》
■オリゴ糖
善玉菌の中でも特にビフィズス菌のエサとなり、腸内環境を整える効果が。便秘の改善と同時に、腸の老化防止、美肌効果も期待できる。
■食物繊維
大豆には、食物繊維が多く含まれ、腸内環境を整えて便秘を改善。発がん性の物質の排泄作用も。血糖値やコレステロール値の上昇の抑制効果もある。
■たんぱく質
大豆のたんぱく質は100gあたり33.8gもあり、牛豚鶏の生肉や生魚より高い含有量を誇る。体内で合成できない必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、体作りに役立つ。
■カルシウム
大豆に含まれるカルシウムの吸収率は18%とやや低め。一方で、含有する大豆イソフラボンにカルシウムの流出を防ぐ働きがあり、骨粗しょう症予防に有効。
■ビタミン
糖質の代謝にかかわるビタミンB1、脂質の代謝にかかわるビタミンB2が含まれており、やせやすい体へと導く。抗酸化作用のあるビタミンEも豊富。
■イソフラボン
女性ホルモンに似た働きをし、更年期障害の症状の緩和、美肌効果が期待できる。1日の摂取目安量の上限は70~75mgで、納豆約2パック分に相当する。
■サポニン
大豆に含まれる苦みや渋みの成分で、体内で過酸化脂質の生成を抑え、代謝を促進する作用がある。高脂血症や肝機能障害の改善効果もある。
■レシチン
脂質の一部で、血中コレステロールを排泄して血液をサラサラにし、中性脂肪の低下作用もある。記憶力や集中力を高める効果も報告されている。
近年の研究により、内臓脂肪を排出する大豆サポニン、中性脂肪を減らす働きがある大豆レシチンが含まれ、ダイエット効果も期待できることがわかった。そのほか、女性ホルモンに似た物質で更年期障害の緩和が期待できる大豆イソフラボンも含まれる。
※女性セブン2020年8月20日・27日号
https://josei7.com/