歩行困難だった高齢者がスタスタ歩けるように!正しい姿勢と呼吸法を身につける「ケアピラティス」って?
●正しい座り姿勢を覚える
真横から見ると、あごを引き、耳たぶ~肩~坐骨が一直線になっている姿が理想。骨盤が起き上がり、インナーマッスルが働きやすく、腰や背中に負担がかかっていない状態だ。
●正しい呼吸法を覚える
インナーマッスルを目覚めさせる「腹式呼吸」と、インナーマッスルを働かせたまま正しい呼吸を身につける「胸式呼吸」の2種がある。腹式呼吸はリラックスさせる効果もある。
椅子中心の現代生活は、骨盤底筋が緩みがち。
●骨盤が緩みがちな現代人が気をつけるべきことは?
「骨盤底筋が緩むと、姿勢が悪くなるだけでなく、尿漏れなども起こり、近年、低年齢化しています。特に女性は閉経後、女性ホルモン(エストロゲン)が低下すると骨盤底筋がさらに緩むため、より筋力強化に努めたいところです」(花岡さん・以下同)
座り姿勢では、「猫背に気をつけて背筋を伸ばしている」という人も、骨盤が倒れた状態で背筋だけ伸ばしていては腰痛のもと。「ジムで鍛えているから大丈夫」という筋肉自慢も、インナーマッスルが衰えたまま外側の筋肉だけを鍛えても、姿勢の悪化を助長するだけだ。さらに呼吸にも問題がある。
「肩こりの人は、肩で息をしていることが多い。横隔膜の動きが悪く、ろっ骨も広がりにくく、ろっ骨につながる背骨も硬くなるという悪循環に陥ります」
ケアピラティスは、腹式呼吸と胸式呼吸の2つを使い分ける。腹式呼吸では、息を吸うときにお腹をふくらませて横隔膜を下げ、腹横筋と骨盤底筋を広げ、吐くときに締めていく。一方の胸式呼吸は、お腹を引っこめ、ろっ骨を広げる呼吸法で、それぞれに使う筋肉が違う。
「初めに腹式呼吸でインナーマッスルを目覚めさせ、次に胸式呼吸でインナーマッスルを使った正しい呼吸を身につけていきます」
姿勢と呼吸は連動している。これらを正せば基礎体力もついてくるのだ。
STEP1 正しい座り姿勢を覚える
自粛期間中、座りっぱなしだったあなた、いま、きちんと座れますか?下の3つの姿勢になっていたら、あなたの体は歪んでいます! まずは、正しい座り方から学びましょう。
◆あたなはどのタイプ? 悪い姿勢の代表例
【A】猫背タイプ
骨盤が後ろに傾き、背中が丸くなり、首を前に突き出している。「この状態では交感神経が常に緊張してしまい、頭痛やめまいなどの不定愁訴が起きやすい」。
【B】反り腰タイプ
一見正しい姿勢に見えるものの、よく見ると骨盤を後ろに傾けたまま胸を張っているため、腰に負担がかかり、腰痛を引き起こす可能性がある。
【C】左右歪みタイプ
ほとんどの人は多少なりとも左右に歪みがあるという。「右利きは右のウエストが、左利きは左のウエストが縮む傾向にあります」。肩の高さが違う人は要注意。
基本の姿勢はこれ!
骨盤が起き、耳たぶ、肩、坐骨が一直線上にある。骨盤が起きているかのチェックは、お尻の下に手を置き、坐骨(お尻の先端の骨)が手にしっかりと当たればOK。
「パソコン作業の場合は、骨盤を起こした状態から股関節だけをほんの少し前に倒します」(花岡さん・以下同)
STEP2 正しい呼吸法を覚える
活動するのに必要な胸式呼吸を正しく身につけよう。
「腹式呼吸ばかりではインナーマッスルが緩み、体に痛みや不調が起こります」(花岡さん・以下同)。
●体を目覚めさせる「腹式呼吸」
腹式呼吸はお腹に手を当て、思いきりふくらませながらゆっくりと鼻から息を吸う。
次にお腹を凹ませ、お尻の穴を締めながら、口をすぼめて細く長く息を吐く。
●動ける体をつくる「胸式呼吸」
胸式呼吸はお腹とお尻の穴を締め、手を胸とろっ骨の下に当て、ゆっくりと鼻から息を吸う。
次に、胸を縮めながら口から細く長く息を吐く。
◇タオルを使うのがポイント
折りたたんだバスタオル2枚を足の間に挟むことで、内ももの筋肉を通して骨盤底筋に力が入り、骨盤が安定。
<解説>
慣れてきたら、腹式・胸式を交互に行う。「1、2、3、4、5」とゆっくり数えながら息を吸い、やや長めに息を吐く。これを3~5回行いながら、インナーマッスルの動きを感じよう。
教えてくれた人
花岡正敬さん/理学療法士、姿勢クリエイター。根本的に体の不調を治すため「ケアピラティス」を考案。スタジオ「アークラボ」を主宰し、パラリンピック選手や音楽家など10万人以上を指導。著書は『あらゆる不調は姿勢力で治せる!』(KKロングセラーズ)など。
撮影/黒石あみ
※女性セブン2020年7月16日号
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