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高木ブーが語る相棒・ウクレレへの想いとその音色の秘密「連載 第21回」

「こんな時期だからこそ、ウクレレにできることは多い」と高木ブーさんは言う。15歳のときから人生をともに歩んできた“相棒”とは、70年を超える付き合いになる。コロナ禍でみんなの気持ちが落ち着かない今、「癒しの楽器」と言われるウクレレの音色は何を伝えられるのか、何を伝えてくれるのか。高木さんの想いを聞いた。(聞き手・石原壮一郎)

ウクレレの音色には「アロハ」が詰まっている

 7月のはじめに健康状態を調べる検査をしてもらいました。いつもは2ヵ月ごとなんだけど、自粛期間があったりして4ヵ月ぶりに。しばらく家でじっとしてたから、悪い結果が出たら嫌だなって心配だったんだよね。そしたら、先生が「どの数値も、まったく問題ありません。60代の身体です」って言ってくれた。娘のかおるに「私よりいい数値じゃない。どういうこと!」って悔しがられて、気持ちよかったな。

 以前は中性脂肪とか、いくつか高めなのもあったんだけど、ステイホームしているうちに健康になっちゃった。出かけないから外食もしないで、家で規則正しくご飯を食べていたのがよかったのかな。いつも娘がけっこう手をかけて作ってくれるんだけど、栄養のバランスも考えてるらしい。感染リスクを抑えるためにワンプレートで出してくれて、あとで聞いたら「食べ過ぎはよくないと思って、ご飯を前より少なめにしてたの」だって。茶碗じゃないから気が付かなかったんだよね。

 ステイホームのあいだに始めたYouTubeは、ありがたいことにたくさんの人に見てもらってます。嬉しかったのは「ブーさんのYouTubeを見て、ウクレレを買いました」「押し入れから引っ張り出してきました」っていう声がたくさんあったこと。NHKの『外出自粛の夜に~ウクレレでリレー音楽会~』も好評だったみたいだし、ウクレレの音色が今の雰囲気に合うのかな。「癒しの楽器」っていう別名もあるもんね。

 家にいる時間がいつもより長い人も多いと思うけど、よかったらウクレレに挑戦してみてください。弦が4本だから、弦が6本のギターより始めやすいと思うよ。YouTubeでも3回連続で「【WithBOO】雷様のウクレレ レッスン」をやりました。元宝塚トップスターの音月桂ちゃんと、女優でバカ殿の腰元もやってた土井悠ちゃんが生徒でね。

 ふたりともウクレレはまったくの初心者で、まず持ち方から教えたんだけど、一生懸命にやってくれて飲み込みも早かった。教えてすぐに、3人で「かえるの合唱」の輪唱ができたもんね。ウクレレを教えるのは久しぶりだったけど、どんどん上達していく様子を見るのはやっぱり楽しい。ふたりの生徒がとってもかわいかったから、なおさらかな。

 ウクレレっていうと「ハワイの楽器」っていうイメージだけど、その原型はポルトガルの「ブラギーニャ」っていう民族楽器だって話は、前にもしたっけ。19世紀後半にポルトガルからの移民がハワイに持ち込んで、同じ船でやってきた家具職人がハワイの木材のコアで似た楽器を作って、ハワイ独自の「ウクレレ」が生まれたんだって。

 それから、わりとあっという間にハワイを代表する楽器になった。ハワイの王様がウクレレを気に入って、毎晩のように宮廷の晩餐会で演奏させたおかげで広まったって話もあるけど、そもそもウクレレのやさしい音色がハワイの空気や文化と相性がよかったんだろうね。ああ、こんな話してたら、ハワイの空の下でウクレレ弾きたくなってきちゃった。早くコロナが収まって、またハワイに行けますように。

 ウクレレを弾くときは、ハワイに行ったことがある人はもちろんだけど、行ったことがない人も、ハワイの空と海をイメージして弾くのがオススメです。やっぱり音色が変わるから。楽器の演奏って、音を出しているだけじゃない。その楽器が持っている“魂”に触れることでもあると思う。聞くときもそうだよね。こんな時期だからこそなおさら、聞く人が頭の中にハワイをイメージして、晴れやかな気持ちで顔を上げてもらえるといいな。

 ウクレレは「心臓にいちばん近い楽器」とも言われてる。ハワイ語の「アロハ」には相手に真心を伝えるっていう意味合いもあるんだけど、心臓の近くで弾くから、音にのせて「アロハ」って呼びかけている気になれるし、聞くほうも「アロハ」って呼びかけられている気になれる。そういうところも、ハワイでウクレレが広まった理由かもしれない。

 まあ、それは僕の勝手な解釈なんだけどね。でも、いつもウクレレを弾くときは、ハワイのやさしくてあったかい「アロハ」の精神を音にのせているつもりです。みなさんもウクレレの演奏を聴くときは、そっと目を閉じて、ハワイから吹いてくるあったかい風を受け止めてみてください。

「僕が弾くウクレレの音色で、みなさんがほっとした気持ちになってくれたら嬉しいです」

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高木ブー(たかぎ・ぶー)

933年東京生まれ。中央大学経済学部卒。いくつかのバンドを経て、1964年にザ・ドリフターズに加入。超人気テレビ番組『8時だョ!全員集合』などで、国民的な人気者となる。1990年代後半以降はウクレレ奏者として活躍し、日本にウクレレブーム、ハワイアンブームをもたらした。CD『美女とYABOO!~ハワイアンサウンドによる昭和歌謡名曲集~』『Life is Boo-tiful ~高木ブーベストコレクション』(http://www.110107.com/s/oto/discography/DQCL-566?ima=1025)など多数。著書に『第5の男 どこにでもいる僕』(朝日新聞社)など。毎週日曜日午前11時に新番組がアップされるYouTube「【WithBOO】雷様のウクレレ レッスン」(イザワオフィス公式チャンネル内 )https://www.youtube.com/channel/UCcEUYzjrepHbAe0ytBqKFDAも大好評!7月15日、22日にNHKラジオ第1「ラジオ深夜便」で23時台に放送される「私の終いの極意」に出演。テーマは「人生はウクレレとともに」。

取材・文/石原壮一郎(いしはら・そういちろう)

1963年三重県生まれ。コラムニスト。「大人養成講座」「大人力検定」など著書多数。最新刊は「恥をかかない コミュマスター養成ドリル」。この連載ではブーさんの言葉を通じて、高齢者が幸せに暮らすためのヒントを探求している。

●毒蝮三太夫提唱!介護を円満にするために避けたい3つの“いじ”「連載 第21回」

●親の言動に困ったらどう対処するのが正解?|“コミュマスター”が伝授する5のコツ

●『半沢直樹』新シリーズ目前!「特別総集編」で7年ぶりの半沢にグっときた理由

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