「自宅での死」に必要な手続き|看取り医師がいないと警察の事情聴取に!
容体が悪化した時点でかかりつけ医が駆けつけられれば、医師に看取ってもらうことができる。ただ、医師を呼ぶ間もなく急変して息を引き取ったり、家族が寝ている間に亡くなっていたというケースも少なくない。
「自宅死の場合、死後すみやかに『死亡診断書』を医師によって作成されることが不可欠です。もし在宅医が臨終に間に合わなかったとしても、急いで自宅に来てもらい、死亡診断書を作ってもらわなければなりません」(原田さん)
気をつけるべきなのは、「遺体に触らないこと」だという。
「風呂場などベッド以外の場所で亡くなっても、医師が到着するまでは遺体に触れたり、遺体の場所を変えてはいけません。死因の特定が妨げられ、正確な死亡診断が出せないこともあるからです」(介護評論家の佐藤恒伯さん)
●警察を呼ばない
もう1つ注意したいのが「警察を呼ばないこと」だ。
「警察が来ると、死因が特定できない場合などに、司法解剖に回される可能性があります」(原田さん)
かかりつけ医がいない場合は警察に連絡せざるを得ない。警察はまず事件性を疑うので、遺族に対する事情聴取や現場検証が行われる。その後、警察が用意した医師が遺体を調べ、死亡診断書と同じ内容の「死体検案書」が発行されるが、大幅に時間と手間が取られることは避けられない。
次は死亡届の提出だ。死亡届は死亡診断書とともに、死後7日以内に役所に提出する決まりになっている。
「死亡届を提出しないと『火葬許可証』がもらえず、葬儀手続きに移れないので注意が必要です」(佐藤さん)
葬儀会社が代行して提出するケースも多く、死亡診断書を受け取ったら、葬儀会社に連絡するのが一般的だ。病院で死亡した場合は、遺体は病院の安置室に置かれ、病院とつながりのある葬儀会社が駆けつける。
「自宅で亡くなった場合、ドライアイスなどの保全措置を葬儀社が行うまで、遺体はそのまま安置するのが一般的です。棺桶の入るスペースを確保し、しばらくベッドに寝かしておくこともあります」(別の医療ジャーナリスト)
そして、同時進行で親族への連絡と葬儀の準備へと移る。
「葬儀費用は故人の口座から引き出すことも可能です。これまでは遺産分割協議が終わるまで、故人の口座は凍結されるのが原則でした。ですが、昨年7月に相続法が改正され150万円までなら引き出せるようになりました。そうした仕組みも活用するといいでしょう」(佐藤さん)
大切な人の「自宅で死にたい」という意思を尊重するためにも、いま一度事前準備を行ってはどうだろうか。
→「自宅で看とり」がよくわかる 優しく描いた実話マンガに共感多数
※女性セブン2020年7月2日号
https://josei7.com/
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