認知症の母が破り捨てた無残なカレンダーの意味
母は、裏が白紙のチラシをスマートフォンサイズのメモ用紙にする習慣があります。暇さえあれば作るため、実家には大量のメモ用紙があります。
妹はその大量のメモ用紙の中からカレンダーを探し出し、パズルのように5月のカレンダーを組み合わせていきました。途中、カレンダーの一部が見つからず苦戦したようですが、最終的には5月のカレンダーすべて見つかり、セロハンテープでつなぎ合わせて修復し、事なきを得ました。
わたしの遠距離介護中にも同じ事件が起きたので、妹の写真を見て驚きはしなかったのですが、大量のメモ用紙の中から、カレンダーを見つける作業は骨が折れるものです。
電波時計の日付を理解しているはずの母が、なぜ当月のカレンダーまでめくってしまうのか、未だに理由は分かりません。しかし、同じような事件は今後も起こるだろうと、わたしも妹も思っています。
これからは同じデザインのカレンダーをもう1つ購入しておき、母がカレンダーを誤ってめくってしまったら、そちらのカレンダーに切り替えるという対処法で、このトラブルを乗り越えることにしました。
母がカレンダーを誤ってめくったとしても、カレンダーをめくる意識はまだ残っているので、母の行動を制限することなく、どんどんめくってもらいたいと思っています。
今日もしれっと、しれっと。
工藤広伸(くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)