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【江戸川区】注目の介護付有料老人ホームとデイサービス【まとめ】

 評判の高い高齢者施設や老人ホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。

 東京23区の東の端に位置する東京都江戸川区。古川親水公園や葛西海浜公園など公園が多く、都心への交通の便も比較的良いため子育て世帯も増えているが、高齢化率は20%を超え、今後も増加が予想されている。今回は、江戸川区にある介護付有料老人ホームとデイサービスを紹介する。

施設長はレクの専門家!笑顔が溢れる介護付有料老人ホーム「サンライズ・ヴィラ西葛西」

「ライクケアネクスト人物伝」と表紙に書かれた手作りの冊子。表紙をめくると、ライクケアネクスト株式会社の施設長22人が1ページに1人ずつ紹介されている。育った環境や介護に関わるようになったきっかけ、そして施設長としての思いや取り組んでいることがインタビューを交えて丁寧に書かれている。そう、ライクケアネクストの売りは施設長なのだ。

 サンライズ・ヴィラ西葛西で施設長を務める和氣俊也さんは、青少年団体でレクリエーションの普及に尽力し、専門書の出版までしているレクリエーションの専門家。レクリエーションを主体とするセクションの立ち上げのために、ある老人ホームで仕事をするようになったのが介護に関わるようになったきっかけだという。

 ここでは原則として1日1回のレクリエーションが行われ、近隣への外出にも積極的に取り組んでいるという。レクリエーションには健康ヨガや書道、寄席など様々なジャンルのものを用意。週に1回行われている健康ヨガの先生は看護師と保育士で、それぞれの専門性も活かしながら入居者にヨガを教えているそうだ。回を重ねるごとに参加者も増え、車椅子の入居者が床に敷いたヨガマットでの動きに挑戦したり、男性の参加者が増えるなど変化が出てきているという。

「ご入居者が日中所在なく過ごすことがないように、体や頭、心を動かせるようなプログラムを考えています。ご入居者の皆さん同士でコミュニケーションを取っていただくことも重視しています」(サンライズ・ヴィラ西葛西施設長の和氣さん。以下「」は同)

 レクリエーションの専門家である和氣さんには、大切にしていることがある。それは子供だましのような内容にならないように、その道のプロに講師を限定し、謝礼を支払うことだ。高齢者施設で行われるレクリエーションは、ややもすれば訪問する側の発表会の場になってしまったり、一方的な思いによる慰問のような雰囲気になりがち。そうならないように、和氣さん自ら講師を探し、依頼をすることも多いという。

 入居者の家族とのコミュニケーションを大切にしているという和氣さん。笑顔を絶やさず、積極的に会話を交わす和氣さんに、訪問する家族も信頼を寄せているようだ。

「ご入居者のご家族と顔を合わせてお話をすることも大切なことだと考えています。私はできるだけ玄関でお出迎え、お見送りをするように心がけています。そして、お叱りも含めて率直になんでもおっしゃってほしいと思っています。『わざわざ出てこなくてもいいのに』とおっしゃってくださる方も多いですが、日頃からのコミュニケーションを大事にしています」

「『ここに来て良かった』と言われるホームにしよう。『ここに来て良かった』と思われる介護をしよう」が和氣さんの口癖。来訪者に気持ちの良い挨拶をするスタッフの姿を見ていると、明るい言葉を口にするように心がけているという和氣さんの思いが全体に浸透しているのが分かる。

→施設長はレクの専門家!笑顔が溢れる介護付有料老人ホーム<前編>
→米国仕込み!リハビリに力を入れる介護付有料老人ホーム<後編>

地域に開かれた運営を実践する介護付有料老人ホーム「杜の癒しハウスひらい」

 JR総武線平井駅から徒歩3分の恵まれた場所にある「杜の癒しハウスひらい」。2分ほど歩くとお惣菜や飲食店などが立ち並ぶ平井親和商店街があり、親しみある下町の雰囲気を漂わせている。平井公園や護岸の整備された旧中川などちょっとした散歩にピッタリのスポットもあり、落ち着いた暮らしができる環境が整っている。

「杜の癒しハウスひらい」を運営する社会福祉法人「三幸福祉会」は、介護・保育施設事業の他、専門学校・大学・短期大学・高等学校などを運営する学校事業、生涯教育事業など6つの角度から事業展開している三幸グループの一員。医療・介護系の専門学校の卒業生は、介護福祉士など専門性を身につけて活躍している。

 館内の案内をしてくれた施設長の山田渡さんも三幸グループの学校の卒業生。30歳で施設長を任された山田さんが大切にしていることの一つは地域に開かれた運営だという。

「社会福祉法人として当たり前かもしれませんが、地域に開かれた運営を目指しています。地域のお祭りの神酒所(みきしょ)にしていただいたり、お神輿(みこし)を担いだりと積極的に関わりを持っています。お餅つき大会の会場に使っていただくなど、年5回以上、地域の方々にロビーや駐車場をお貸ししています」(杜の癒しハウスひらい施設長の山田さん 以下「」は山田さん)

「杜の癒しハウスひらい」のエントランスを入ると、広々としたスペースが確保されたラウンジが広がる。2面がガラス張りになっていて、日当たりもよく、開放感のある空間は入居者の憩いのスペースとなっている。食堂は各階にあるので、ここは交流を目的とした共有スペースとして主に利用されているという。スタッフルームがラウンジに隣接されているので、入居者と職員がお互いに声をかけやすい。こちらでは入居者のことを“ファミリー”と呼んでいるが、地域の住民や子ども、ボランティアなどが一体となってファミリーとの交流を楽しみ、見守っているそうだ。

 こちらの施設には、日中の時間帯に365日看護師が配置されているという。病院に行かなければならないような急な体調変化だけではなく、日々の健康管理のサポートもしてくれる。また、夜間は各フロアの夜勤スタッフに加えて、緊急対応ができるように宿直のスタッフを1名配置しているという。そのため、緊急対応が必要になっても、他の入居者へのサービスが低下することはない。これも単純な人員配置の数字だけを見ていると分からないポイントだ。

「今後はより地域にオープンな施設にしていきたいと思っています。介護人材が足りないと言われていますが、今の1:1.7の比率はキープしてご利用者様に手厚い介護を目指していきたいと思います」

 入居者、そして家族の助けとなるサービスを介護の基本に忠実に行い、地域との交流に積極的に取り組んでいる「杜の癒しハウスひらい」。「サポートが必要な毎日でも、自分らしい暮らしがしたい」「体調が優れない時も、快適に過ごしたい」といった願いを叶えてくれそうだ。

→お祭りでは神酒所に!地域に開かれた運営を実践する介護付有料老人ホーム<前編>
→職員が20代が中心で意欲的!“三つの幸せ”が理念の介護付有料老人ホーム<後編>

デイサービス併設のセラピー犬がいる「SOMPOケア ラヴィーレ船堀」

 都営新宿線の船堀駅からバスに4分ほど乗り、数分歩くと「SOMPOケア ラヴィーレ船堀」がある。まず目に飛び込んでくるのはその外観だ。

「江戸川区景観まちづくり賞」を受賞しており、周囲に馴染む落ち着いた色合いながら存在感がある。総武線の新小岩駅、東西線の葛西駅からもアクセスができるこのホームには、吹き抜けと大きな窓があり、明るく心地良い。

 吹き抜けは部分は団らんスペースになっていて、ゆったりと過ごすことができる。入居者同士はもちろん、来訪者と会うスペースとしても自由に使用できるそうだ。訪れた日はやや雲が多かったが、照明がいらないほど明るかった。ガラスをうまく使っていて、解放的な気分を味わえる。

 ホームを設計した建築士が、家族の入居しているホームを暗いと感じたことがあり、陽が降り注ぐ設計にしたという。そのため館内は全体的に解放感があり、とにかく明るい。外の天気を感じるなど刺激のある生活を送ることが認知症にもプラスの影響を与えるそうだ。

「SOMPOケア ラヴィーレ船堀」は入居者の快適な生活にとことんこだわっている。その一つが、「癒し担当スタッフ」の二匹の犬だ。みわちゃんとすみれちゃんは決められたスペースを自由に行き来し、入居者やスタッフと戯れる。1階のスタッフルームにも自由に出入りし、愛嬌を振りまいていた。スタッフに抱っこされたかと思うと、今度は吹き抜けのスペースで新聞を読んでいる入居者の膝の上で寝転んだりと自由気ままに動き回っている。

 二匹はセラピー犬として入居者の生活を豊かなものにしているという。導入前は、動物が苦手な人やアレルギーがある人への影響を心配していたそうだが、問題なく入居者にかわいがられているそうだ。ペットではなく、『癒し担当スタッフ』と呼ばれていて、スタッフの癒やしにもなっているという。

「SOMPOケア ラヴィーレ船堀」の目の前には、デイサービス「SOMPOケア ハッピーデイズ船堀」がある。こちらは、江戸川区、墨田区、江東区、葛飾区、市川市、浦安市の一部(概ね車で20分以内の地区)に通所介護、介護予防通所介護のサービスを提供している施設だ。

 食堂ではレストランのようなこだわりのメニューが用意され、本格的な料理を楽しめる。オープンキッチンになっているので、五感を刺激し、食欲を増す効果があるそうだ。

「SOMPOケア ハッピーデイズ船堀」では、手先を使って楽しめる小物作りやフラワーアレンジメント、ストレス解消にもなるカラオケなど、ニーズに合わせたプログラムが用意されている。他にも、マシンを使用した運動のほか、理学療法士が監修した体操などが提供されているそうだ。食事の前には口腔体操を行い、高齢者に起こりがちな食事中のトラブルを予防しているという。

 介護付有料老人ホームとデイサービスが隣接していることには多くの利点がある。例えば、デイケアに来た人がショートステイでホームを利用することもあるという。また、両方の施設のスタッフがお互いの知恵を出しあったり、情報共有をして、利用者がより快適に過ごせるように取り組んでいるそうだ。

→デイサービス併設のセラピー犬がいる介護付有料老人ホーム<前編>
→デイサービス併設のセラピー犬がいる介護付有料老人ホーム<後編>

 「えどがわ熟年者応援サイト」を作り、介護予防や介護保険などの発信を強化するなど、高齢化に向けた対応を行っている江戸川区。緊急事態宣言が解除され、以前のように見学に行ける状態になることに備えて、気になる施設をピックアップし始めてみてはいかがだろうか。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。

→このシリーズのバックナンバーを見る

●特養に早く入所する裏ワザ|判定会議で優先順位を上げる方法や狙い目

●施設内「感染リスク」の高い危ない老人ホームの見分け方

●新型コロナで要介護認定はどうなる? 要介護申請の流れをおさらい

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