普通のこと普通にできる住まいを目指す介護付有料老人ホーム<前編>
介護業界では慢性的な人手不足に悩んでいるところも多い。そのような状況下で、どのようにして厚い人材を確保しているのだろうか? 実は、人手を厚くすることが求人にもプラスに働いているとのこと。なぜなら入居者本位の介護が行えることが、熱意のある優秀な人材を引きつけているのだ。
入居者が散歩や外食、買い物などに行けること、そして、入居者一人ひとりに寄り添えることに働くスタッフもやりがいを感じ、離職率も低くなっている。優秀でやる気のあるスタッフが長く働くことは入居者にとってもプラスだ。長い期間を共に過ごすことによって、コミュニケーションが取りやすくなり、心身の状態の変化にも気づきやすい。
また、介護スタッフの約7割が介護福祉士の資格を持ち、会社としても資格取得やスキルアップを奨励金、取得費用の補助をするなどして支援している。10年間それをやり続けてきているので、人材の質と量に厚みがあるのだ。
「ホーム長が『普通のことを普通にやりましょう』とよく言っています。家にいたら普通にしていることを普通にしようと。例えば季節の行事や四季折々のこと。散歩も、自分の家に住んでいたら普通のこと。日課として自然に行っているので、職員は毎日の散歩をレクリエーションだとも思っていませんね」
居室で晩酌を楽しむことも自由
ここでは各階ごとのユニットケアで介護を行っている。職員も各階で担当が分かれているので、入居者の状態や家族、生活背景などをより詳しく知ることができる。また、入居者のほうも同じ職員が担当するので顔を覚えやすく、安心感を持ちやすい。各階の職員の事務室も開け放してあり、入居者がリハビリも兼ねてフロア内を回れるようにしてある。
自宅に住んでいれば普通であることを、手厚い職員配置によって実現させている大島ケアハートガーデン。運営側の都合に合わせるのではなく、入居者本位の姿勢が感じられた。
健康上の問題がなければ自室で晩酌を楽しむことも自由で、職員もそれを普通のこととして捉えている。いわゆるホテルライクな雰囲気とは逆の自宅のようなアットホームさがここの特徴だ。共用部のリビングで午後のひと時にテレビを見ている様子は自宅で過ごしているのと変わらない雰囲気だった。穏やかに安寧に過ごしたい人には、うってつけの住まいだといえよう。
撮影/津野貴生
【データ】
施設名:大島ケアハートガーデン
公式WEBサイト:http://www.mdlife.co.jp/personal/care/shisetsu_kanto/oojima/
所在地:東京都江東区大島5-34-23
最寄駅:都営新宿線「大島駅」から徒歩2分
類型:介護付有料老人ホーム
運営主体:三菱電機ライフサービス株式会社
敷地面積:1266.77平方メートル
延床面積:3373.14平方メートル
室数:60室(全室個室、定員60名)
入居要件:入居時要支援・要介護
構造:鉄筋コンクリート造・地上6階
開設年月日:2008年2月1日
料金:前払い家賃相当として前払金を支払う「前払金プラン」と前払金無しで家賃を毎月支払う「年間プラン」の2つ。
【1】前払金プラン
入居時に支払う前払金と月々の費用として月額利用料及び介護保険料、その他費用を負担する。
●83歳以下(想定居住期間6年)は前払金の合計額1740万円、84~92歳(想定居住期間5年)は前払金の合計額1450万円、93歳以上(想定居住期間4年)は前払金の合計額円1160万円
●1月当たり家賃相当額/19万3333円
●月額利用料(税込)/20万5200円(内訳は管理費7万5600円、食費6万4800円、上乗せ介護費6万4800円)
【2】年間プラン
契約期間を1年単位とした前払金無しのプラン。月々の費用として月額利用料及び介護保険料、その他費用を負担する。契約終了後の再契約も可能。
●月額利用料(家賃相当額のみ非課税)/39万8533円(内訳は管理費7万5600円、食費6万4800円、上乗せ介護費6万4800円、家賃相当額19万3333円)
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
【このシリーズのバックナンバー】
●医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<前編>
●医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<後編>
●木と人のぬくもりに包まれた介護付有料老人ホーム<前編>
●木と人のぬくもりに包まれた介護付有料老人ホーム<後編>
●一人ひとりに担当が付きチームでケアにあたる介護付有料老人ホーム<前編>
●一人ひとりに担当が付きチームでケアにあたる介護付有料老人ホーム<後編>