ひざの痛みの原因とは?症状ごとに改善できる方法を名医が伝授
ひざの痛みを抱えていると、ついつい動くのがおっくうになりがち。だましだまし普段生活している方も多いのでは。
動き始めや歩き始めに痛みを感じ、階段は上るより下りる方がつらいひざ痛は、日常生活の動きが制限されてしまうため、生活の質を低下させるやっかいな痛みだ。
そこで、ひざの痛みの原因と、症状ごとに改善するための体操を紹介します。若いころのようにスッと歩けるようになりたいと思っている人は、ぜひ試してみて。
→慢性腰痛を改善する方法|腰痛患者の85%が改善した体操を名医が伝授
ひざ痛で要介護になるリスク、健康な人の約6倍
厚生労働省の調査によると、ひざ痛を自覚している人は約1000万人。潜在的な患者はその3倍いると考えられており、要介護になるリスクは、健康な人の約6倍も高いという報告がある。
ひざは、太ももの骨・大腿骨と、すねの骨・脛骨(けいこつ)をつなぐ関節で、歩行中にかかる体重の3~4倍もの負荷や衝撃を、ひざの関節軟骨が吸収し、半月板はクッションの役割を果たしている。
「加齢などにより、ひざの関節の軟骨がすり減り、関節を覆っている関節包にゆがみが生じると、変形性ひざ関節症を発症します。ひざに痛みやしびれがあり、特に動き始めに強く症状が出たり、ひざの曲げ伸ばしがしづらい場合は、この可能性が高いでしょう。大半はひざを曲げる、伸ばす、というどちらかの動きを行えば、多少なりとも痛みが和らぎ、動きやすくなるはずです。自分の痛みに合った体操を続ければ、痛みは軽減されます」
と、お茶の水整形外科 機能リハビリテーションクリニック院長の銅冶英雄さんは解説する
●腰椎の神経が圧迫されて股関節、ひざ、足首い痛みが出ることも
また、腰椎を通る神経が圧迫されると、神経の先にある股関節、ひざ、足首に痛みが出ることもあるという。腰痛ナビ&体操(→腰痛ナビ&体操の記事を読む)を行い、ひざ痛が軽減されると感じたら、その体操を積極的に行おう。
また、腰やひざの関節の体操で改善しない場合は、ひざの皿の周囲に原因があることも。皿の周辺を指で押してみて、ズンと響くような重い痛みを感じたら、左下のイラストを参照に、押圧体操を行うのがおすすめだ。
「ひざの関節はとても複雑な作りをしているので、原因が複数の場合もあります。それぞれの体操を組み合わせて行うのもいいですよ」(銅治さん、以下同)
女性は変形性ひざ関節症の発症率が高いので、痛みが軽いうちにメンテナンスを行い、日常生活に支障が出ないようにケアしよう。
●原因1:関節包のゆがみ、軟骨のすり減り
大腿骨・脛骨・膝蓋骨は、関節包という袋状の膜で包まれている。ここには神経が通っているため、ゆがむと即座に痛みが生じる。軟骨がすり減り、関節の変形も痛みの原因に。
●原因2:ひざの皿の動きの片寄り
歩き方にくせがある、姿勢が乱れているなどの場合、ひざの皿の部分が片寄り、周辺の組織がゆがんでしまう。ここにある関節包、筋肉、腱には神経が通っているため、この片寄りが原因で痛みが生じる。
●原因2の改善法
「痛む方のひざを軽く曲げ、皿のまわりをひざの中心に向けて(イラストの矢印を参照)押して確認。もっとも痛みを感じる圧痛点をグーッと押すと改善します」
椅子に座ってひざが痛む方の足を前に出し、かかとを床につけ、両手の親指で圧痛点を押す。グーッと押しながらひざの力を抜いて、かかとを支点につま先を上下に10回動かす。これを1日に2回行う。
こんなときは、体操の前に医療機関へ相談を!
関節リウマチや、人工ひざ関節手術を行った人、ステロイドホルモン剤を使用中の場合は、体操をする前に主治医に相談をしましょう。また、以下のような症状がある方は、骨折や靭帯の損傷などの可能性があるので、すぐに医療機関で診察してください。
●転倒やねんざをしてからひざが痛い
→靱帯損傷や半月板損傷、骨折の可能性がある
●皮膚の赤みを伴うひざ痛がある
→感染症の可能性がある
●ひざに腫瘍がある
→悪化する危険性がある
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