家の生前整理失敗しない4つの手順/すっきり片づく順序があった!
自分が死んだ後、残された家族に少しでも迷惑をかけないようにしたいものだが、 何から始めるべきかわからないという人もいるだろう。重要なのは“引き継ぎ”だ。
失敗しない生前整理のやり方をご紹介する。
* * *
【手順1】「財産」と「してほしいこと」の遺志を示す
「遺族が後でもめないようにするためにも、財産や、これだけはどうしても捨てないでほしいという物がなんなのか、どこにあるのかを伝えておくことが重要です。見られたくない物がある場合、“これだけは残して、それ以外の物は捨ててほしい”と伝え、業者に処分してもらう方が後腐れがありません。
引き継ぎ書として利用すべきは、終活の代表格『エンディングノート』。さまざまな項目があり、自分では気づかなかった引き継ぎ事項をカバーしてくれます。ぜひ活用を」(「日本デジタル終活協会」代表理事で終活弁護士の伊勢田篤史さん・以下同)
【手順2】スマホほか、ログインパス&IDを書き残す
近年重要度を増しているのが、パソコンやスマホの中にあるデータ類の「デジタル遺品」だ。
「特にスマホは、連絡先や写真のほか、あらゆる情報が詰まっている。しかし、ログインするためのパスワードがわからなければ操作すらできません。スマホやパソコンのパスワードのほか、併せて各種サービスのIDとパスワードも書き残しておきましょう。セキュリティーを考えると、パスワードの数字をそのまま書くよりも、“長男の誕生日”など、家族ならわかる数字の意味を書いておく手もあります」
【手順3】金品や証書はまとめて保管
へそくりや不動産の権利書といった貴重品は引き出しの奥などにしまいがちだが、見つからなくなる可能性も。
「より安全を期するなら、銀行の貸金庫にまとめて入れておく手が。費用はかかりますが、防犯だけでなく防災という面でも家よりは安心です。そのことを家族に伝えておけば、後で探す手間も省けます」
生命保険の証書など大きなお金が伴う書類ももれなく貸金庫に預けて、その旨を家族に伝えておけば万全だ。
【手順4】「捨てづらい物優先」で片づける
ここまでやったうえで実際に家を片づけるとき、どこから手をつけるべきか。
2000件を超える遺品整理の実績を持つ「遺品整理の埼玉中央」代表の内藤久さんが話す。
「基本は、玄関→廊下→トイレ→浴室→台所→リビング→寝室の順です。もし災害が起こったら、外に出る際に玄関に物が多いと危険ですし、それは廊下も同じ。まず安全な通り道を確保しましょう。リビングや寝室の押し入れなどは思い入れのある物が多く、どうしても時間がかかる。中途半端にやめないためには、一気に片づけようとしないことがコツです」
この順番で「自分しか判断できないもの」に焦点を当てて片づけていくのがポイント。
「捨てやすい物から片づけようとする人が多いですが、それは他人でも判断がつくので、死後、家族や業者任せにしても問題ない。それより写真やアルバムなど他人が捨てづらい物こそ、残してほしい物を選んで伝えておくべきです」(内藤さん)
生前に完璧に片づけておくのは不可能であることを肝に銘じ、「今日はここまで」と区切って自分のペースで最低限のことからやっていきたい。
教えてくれた人
伊勢田篤史さん/「日本デジタル終活協会」代表理事。終活弁護士。
内藤久さん/2000件を超える遺品整理の実績を持つ「遺品整理の埼玉中央」代表。
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号
https://josei7.com/
●終活トレンド最前線|棺桶準備、骨壺陶芸教室…。終活で人生が輝くことも