美智子さま 27年間過ごされた思い出深き“我が家”を離れる感慨
上皇上皇后両陛下は、長い間お住まいだった皇居・吹上仙洞御所から、仮住まいとなる高輪皇族邸(東京・港区)へと引っ越される。作業は3月末までに終了するとされ、大詰めを迎えているという。
上皇陛下が即位されてから約5年後の1993年、上皇上皇后両陛下は赤坂御用地(東京・港区)から御所に移られた。当時、運び込まれた荷物は約120tといわれ、今回運び出される荷物はそれを超える量になるとみられている。
海外各国から贈られた品々、災害を忘れないための品々…
その一つひとつが美智子さまの半生を彩ってきた。
「イギリスのエリザベス女王から贈られたボウル、オランダのベアトリクス女王からの花瓶、ロシアのエリツィン大統領からの大理石の置物など、海外各国との交流を深められたなかで贈られた品々が相当な数あります。
さらに、雲仙・普賢岳の火砕流(1991年)や三宅島の噴火(2000年)、東日本大震災(2011年)などの災害を決して忘れないための“ゆかりの品”が飾られていたと聞いています。
国内外の戦地や被災地への訪問をされ、祈りの旅を続けてこられた美智子さまにとって、忘れがたい各地の情景が浮かぶ大切なものでしょう」(宮内庁関係者)
ほかにも、各地訪問の際に着られたお召し物、これまで読まれた大量の書籍など、思い出を彩る品々は尽きない。
皇居は美智子さまが家族とのかけがえのない時間を過ごされた場所でもある。
公務と切り離されたプライベートな空間・皇居での思い出
「御所では海外からのお客さまのおもてなしもされてきましたが、当然、プライベートの場でもありました。
末娘の清子さんを嫁ぎ先へと送り出すまで一緒に過ごされた場所でもあり、孫である真子さまや佳子さま、愛子さまや悠仁さまがたびたび訪れ、家族で団らんされた場所でもあります。上皇陛下とは時にお忍びで皇居外周を散策され、季節の移ろいも感じてこられました」(皇室ジャーナリスト)
上皇陛下は2016年8月、「皇居におけるタヌキの果実採食の長期変動」というタヌキの食性についての論文を出され、5年にわたって皇居内にいるタヌキの糞の調査を行っていたことが明かされた。また、陛下と美智子さまで皇居東御苑二の丸庭園の池にヒレナガニシキゴイの放流をされたこともあった。このコイは、皇太子時代の陛下のご提案でインドネシアと日本のコイを交配して誕生した種である。
「皇居はそうした動物たちとの触れ合いやご家族との団らんなどができる、外での公務と切り離された唯一のプライベート空間でもありました。時折、皇居で過ごされる美智子さまの写真が公開されましたが、その表情はとても穏やかでリラックスされたものだったように感じます。美智子さまの生活はつねに、皇居とともにありました」(前出・皇室ジャーナリスト)
美智子さまはもうすぐ、数々の思い出が詰まった皇居を離れられる。その感慨もひとしおだろう。
※女性セブン2020年3月26日・4月2日号
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