もしもの時に備えて【自分情報をまとめる方法】|書き残しておきたい項目10選「100円ショップの整理ノートも便利」
親やパートナーに何かあったとき、暗証番号やパスワードなどがわからず困ったという声は多い。「終活」の手始めとして「もしもの時、家族が手続きや対応に困らないように、自分自身の情報を整理しておくことが大切です」と、家事アドバイザーで防災士の資格も持つ矢野きくのさん。手軽に始められる「自分情報のまとめ方」と便利なアイテムを教えてもらった。
この記事を執筆した専門家
節約・家事アドバイザー・矢野きくのさん
家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/
もしもに備えて自分情報をまとめておく
「終活」という単語が使われるようになって久しいですが、実際に自信を持って「自分はしっかり終活できている」というかたは、意外と少ないものです。
また、終活は年齢を重ねてから必要と思われがちですが、人生いつなにが起こるか分からないもの。突然の不幸が起こると、残された人がさまざまな処理に苦労することになってしまいます。
今回は今日からやっておきたい、自分情報のまとめについてご紹介します。後述しますが、まとめた情報は最重要なものとして、大切に保管するようにしてください。
整理してまとめておきたい自分情報
【1】 銀行口座の一覧 (銀行名・支店・口座番号をまとめる
残された家族が預金や定期の存在を把握できないと、払い戻しや解約が遅れ、場合によっては休眠口座になってしまいます。また、複数の銀行に口座を持っている場合、押入れの奥などにしまい込み、発見が遅れると、利息や運用状況が不明になり損失につながることも。
銀行名・支店名・口座種類・番号、印鑑を一覧化し、通帳やカードの保管場所も明記しておくことで、相続手続きがスムーズに進みます。
現在は、マイナポータル(行政手続きのオンライン窓口)で「預貯金口座の付番」を生前にやっておくと、口座にマイナンバーが紐づけられ、相続時など簡単な手続きで故人の銀行口座情報を把握することも可能です。
【2】 クレジットカード情報
クレジットカードは使わなくても年会費が発生する場合があり、契約が分からないと不要な引き落としが続いてしまいます。カード会社名や番号、有効期限、連絡先をまとめておくことで、解約やポイントの精算が迅速に行えます。
また、現在は犯罪としての不正利用も多いので、不正利用を防ぐためにも使っていないクレジットカードは早めに解約しておきましょう。カードの保管場所とともに一覧化して残すことも必要です。
【3】本籍地の確認と最新の戸籍謄本を保管
亡くなった方のさまざまな手続きで、戸籍謄本が必要になることがあります。本籍地が分からないと証明書を取得できません。意外と現住所とまったく違う場所に本籍地があるという方も多いものです。
特に引っ越しや結婚で変更している場合、本人以外が探すのは困難。本籍地の住所や、過去の戸籍の有無を記録し、最新の戸籍謄本を保管しておくと、相続手続きがスムーズに行えます。
【4】保険契約の情報 生命・医療・火災など
保険契約が分からないと、保険金の請求漏れが起こる恐れがあります。保険会社名、契約番号、契約内容、担当者の連絡先をまとめておきましょう。また、保険証券や契約書の保管場所も明記がするのが重要です。
【5】 年金関係の情報
年金手続きは速やかに行わないと支給が停止されたり、遺族年金の受給漏れが発生する恐れがあります。基礎年金番号や年金手帳の保管場所、受給している年金の種類、担当の年金事務所名などを記載しておきましょう。必要書類の所在も合わせて明示すると安心です。
【6】不動産の権利証・固定資産情報
不動産の存在や所在地が分からないと、相続登記ができず、将来の売却や管理が困難になります。権利証(登記識別情報)や固定資産税納税通知書の保管場所、物件の住所や種類を記録しておきましょう。登記漏れのままだと名義変更ができず、後々家族に負担がかかります。
【7】借入・ローン契約の詳細
借入やローンが残っている場合、残高や返済条件が不明だと、返済遅延や不要な利息が発生します。契約先、契約番号、残高、返済口座、連絡先をまとめ、契約書の保管場所も記しておきましょう。相続放棄や清算判断にも必要な情報です。
【8】 大切な人への連絡先一覧
急な訃報時、家族が誰に連絡すべきか分からないと、葬儀や諸手続きに支障が出ます。親族や友人、勤務先や所属団体など、連絡が必要な人の氏名・電話番号・関係性を一覧化しておきましょう。スマホ連絡帳だけに頼らず、紙で残すとより安心です。
【9】 動画配信やサブスクリプション契約一覧
NetflixやAmazon Primeなどの動画配信や、新聞やアプリの有料サービスなど、デジタル契約は紙の請求書がないことが多く、家族が把握できないまま継続課金される恐れがあります。契約サービス名、ログイン情報、解約方法をまとめておくことで、不要な出費を防ぎ、解約もスムーズに。特にスマホアプリ内課金は見落としやすいので注意が必要です。
【10】 SNS・メール・スマホのログイン情報
デジタル遺品は放置すると情報流出や不正利用の危険があります。主要なSNS、メール、スマホのロック解除方法、IDやパスワードを安全な方法で保管しておきましょう。生前にアカウント削除やデータ整理の希望も併せて残すと、家族が対応しやすくなります。
どのように整理するのが良い?
ここまでご紹介した10の自分情報はあくまで代表的なものです。生活スタイルは人それぞれ。そのため必要となる情報も人それぞれです。自分がまとめておくべき情報によって、使いやすい手段で残しておくと良いでしょう。
今は100円ショップや本屋でも、さまざまなタイプの情報整理ノートがあります。このようなものを利用して、足らない部分だけ紙に書いたものを挟んで保管しておく等でも良いでしょう。
とくにデジタルデータに関しては、最近の方であればかなり多くの契約がありますので、IDやパスワードを整理するために一覧表を自分で好きなスタイルで作ってみるのもおすすめです。
いずれの場合も、これらは重要な情報なので保管場所には十分に注意をしてください。