兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【第20回 認知症は世間話が上手?】
若年性認知症を患う兄と2人で暮らすライターのツガエマナミコさんが、巻き起こるハプニングや日常のあれこれを綴る連載エッセイ。
引越しを機に、病状は進んだように見える兄だが、世間の人には、うまく取り繕うこともあるようで…。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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何度も新鮮に同じ話をする兄
引越しを境に、わたくしは世帯主になりました。そのほうが今後は良いだろうと判断したからです。
そのきっかけはマンション売買でした。当時は兄が世帯主だったので、本来ならば兄が契約書類の数々に署名しなければならないのですが、住所を書くにも時間がかかるため、わたくしが代理人としてせっせと署名をいたしました。本人ならば1枚に1回住所氏名を書けばいいところを、世帯主の分、代理人の分、署名人の分として1枚に3回も同じことを書くという作業を何枚も繰り返したわたくし。お陰で新しい住所はあっという間に覚えました。覚えてほしいのは兄のほうなんですけれどもね…。
そんな契約書を交わす前、世帯主の兄が署名しない事情を説明するため、はじめて兄の病気のことを不動産屋の紳士にお伝えすると「え?まったく気づきませんでした」とリアクションされました。
多少