連載
2019.08.29 06:00
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兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし「第4回 疑惑から確信へ」
ライターのツガエマナミコさんは、若年性認知症を患う兄と2人暮らしを続けている。病気が発覚するまでの兄の変化や家族の気持ち、その後の日常を綴る連載エッセイ。「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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住宅ローン問題勃発
父亡き後、認知症の母が次第に様子を変えていき、兄のことよりも母の介護で手いっぱいになりました。わたくしは仕事を少なめに続けさせてもらいながら、母と向き合う毎日。介護をしていたというより彼女の言動や行動にわたくしが勝手にムカつき、勝手に振り回されていたように思います。
そして父の死から1年半が経ち、母が寝たきりの要介護4になりかけた頃、兄がとんでもないことを言い出したのです。
「この家追い出されちゃうかもしれない」
仕事から帰った兄が、思いつめたようにテーブルに着き、そう言ったので「どういうこと?」といろいろ聞いてみると、銀行にお金がなくてローンが落ちなかったとのこと。
「じゃ、銀行にお金を入れればいいんじゃない? そんなに簡単に追い出されないから大丈夫」となだめたのですが、兄はどの銀行からローンが落ちている