がんといかに哲学的につきあうか、笑いの絶えぬ講座
朗読【2】ゲノム時代の到来 人は宇宙を内包する(『がん哲学』P18-19) ヒトゲノムが解読されたといっても、遺伝子のすべてが解読されたわけではない。一個のアミノ酸を構成する四つの塩基(a・t・g・c)の配列が決定されたということである。四つの塩基を持っているということは、生きとし生けるもの皆同じであり、また、約三万あるといわれる遺伝子の数も、魚もネズミもヒトも同じである。では、なぜ魚であり、かたやネズミであるのか。何が人とチンバンジーとを異ならせているのだろうかという疑問が当然出てくる。(一部抜粋)
●受講者と樋野先生の対話
Q:「ヒトとチンパンジーの遺伝子は約98.8%は同じと言われている」、という先生の本の記述に驚きました! A そうですよね。遺伝子的には人間とチンパンジーはほとんど同じだと言えるんです。そして興味深いことに、遺伝子をすべて解析しても、種を変えることはできないんです。チンパンジーから人をつくることはできない。あるいは犬を猫にはできない。人間とチンパンジーの遺伝子の98.8%は同じで、残りの1.2%が違っていることはわかっても、どうしてそうなったのかは、まだわからない。。
こういうことを知ると、人間同士の違いなんて、たいしたことないと思えてくるでしょう。様々な人種がいて、いろんな個性はあるけれど、結局は同じ人間なんです。だから俯瞰的にものを見るというのは大事なんですね。人と比較しなくなるから。人と比較しなくなれば、人生はとてもラクになるし、ヒマになる(笑)。ヒマになると、不思議なことに、その人がやるべき役割が与えられるんですね。
さて唐突ですが、クリスマスですよね。クリスマスの知らせは最初、誰に来たか知っていますか? 聖書では羊飼いに来たんです。なぜでしょうか? それは牛飼いが一生懸命に自分の仕事をしていたからです。差別されても人と比較することなく、淡々と、全力で。仕事の内容や境遇、あるいは肩書き、そういうことに関係なく、与えられたことに力を尽くす、そういう人にこそ、良い知らせがくるというのがクリスマスのメッセージなのです。 遺伝子組み換え食品を食べても問題はない