要介護者を地域で支える「介護コンビニ」は最高のケア施設になるか
要介護者と社会を繋ぐ取り組みについて、デイサービス「ツクイ草加」の施設管理者・斉藤かおるさんが語る。
「一般的に、要介護のお客様は、なかなか外に出る機会がないんです。ご自身で買い物に行く、となるとなおさらです。コンビニは明るくて商品も多く、イベントに参加した後お買い物もできるので、利用者のかたに“今日はコンビニでレクリエーションですよ”と言うと喜びます。
地域住民と交流できることもコンビニの強みです。ごく普通の店舗で、他のお客さんと一緒に過ごす。そうやって社会に溶け込む時間は要介護者にとっては何にも代えがたい貴重なものなのです」
相談とサロン利用は基本無料
2015年4月に川口市の1号店が誕生して以来、ケアローソンは現在全国に10店舗存在する。どの店も店内に介護相談窓口を併設し、サロンスペースを設ける。通常の商品に加えてシニアに配慮した介護用商品なども準備する。
ローソンのヘルスケア本部ライフケア推進部部長の林泰生さんが話す。
「一口に超高齢化社会といっても、要介護のかたや元気なアクティブシニアもいて、各々ニーズが異なります。そのなかでシニアやご家族のサポートを通じて地域全体のニーズに対応したいというのが、われわれの願いです」
利用してもらいやすいようさまざまな工夫も重ねた。相談窓口が壁で仕切られていると敷居が高くなるため、衝立や扉のないフラットな空間に窓口を設けた。込み入った内容の場合は、奥にある個室を使う。
「従来の介護事業所はマンションの2~3階などにあるケースもあり、入りにくいですが、ケアローソンの相談窓口はコンビニと自由に行き来できるので入室も相談もしやすい。サロンで友達とおしゃべりして、その“ついで”に介護の相談ができる気軽さも利用者に喜ばれています」(林さん)
相談やサロンの利用が無料であることも嬉しい。
「材料を使うようなイベントの時は実費をいただく場合もありますが、基本的には無料です。また、“有料の介護相談をやらせてください”という介護業者が現れても、弊社ではお断りします。普段の何気ないコミュニケーションが専門的な相談に繋がるケースも多いからです」(林さん)
ケアローソンは今年度末までに20~30店舗までの拡張をめざす。
コンビニがますます“マチの健康ステーション”になりそうだ。
※女性セブン2017年8月3日号
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