睡眠と食、生活の継続性にこだわった介護付有料老人ホーム<後編>
ソナーレ浦和
「ソナーレ浦和」は今年5月、JR浦和駅から徒歩7分のところにオープンした。ソニー・ライフケア株式会社の100%子会社であるライフケアデザイン株式会社が、祖師ヶ谷大蔵に昨年オープンしたホームの知見が充分活かされており、できたばかりだが安心感は抜群だ。
前編では、睡眠の質を向上させる取り組み「スリープマネジメント」を中心に紹介した。今回の後編では、もう1つの特徴である食事への取り組みと「ライフマネージャー」という職種を作った狙いについて紹介する。
充実した食事と「ケアフード」に込められた思い
ソナーレ浦和は睡眠だけではなく、食事にもこだわっている。食事そのもの、そして食事の場であるダイニングが入居者のために工夫されているのだ。食材は地元・埼玉の新鮮なものを中心に使っていて、特に野菜は味がよく好評とのこと。ホーム内の厨房で調理しているので、できたての温かい食事を楽しめるのもうれしい。
高齢になると、口腔内や身体の健康状態によって、通常の食事を取れなくなってくることも多い。噛む力、飲み込む力が弱くなってくると、刻み食やソフト食に移行するケースもある。刻み食は言葉通り、食べやすいように小さく刻んだものだ。ただ刻むだけではなく、水分を加えたり、とろみをつけたりと、飲み込みやすくする。一方、ソフト食はミキサーにかけて、水分を加えるなどしてやわらかくしたものだ。
ソナーレ浦和では、メニューの一部に「ケアフード」を取り入れている。ケアフードとは、フランス料理で伝統的に使われているピューレやジュレなどの調理法を活用したもので、のどごしがよく、見た目にもこだわった食事のこと。
例えば、肉じゃがであれば、肉、じゃがいも、玉ねぎの具材を全てまとめてミキサーにかけるのではなくて、それぞれをミキサーにかけてやわらかくし、盛り付ける。そうするだけで、風味が全く違うのだ。香り豊かで味が濃い。また、通常のソフト食は、作る際に出汁などでのばしていくため、どうしても風味が失われる。ケアフードでは、肉汁を戻しながらミキサーにかけるなど工夫されているので、風味、味はほぼ肉のまま。見た目も味も楽しめるのが特長だ。
1階のグランドダイニングは広く、庭の大きな桜の樹と蔵を眺めながら、落ち着いた空間で食事を楽しめるようになっている。2階にもダイニングがあり、コミュニケーションの場としても機能しているという。オープンな空間になっており、すぐ近くにスタッフキャビンもあるので、自然と会話が生まれる。またそこにはテレビもあって、理学療法士監修のリハビリプログラムの配信サービスが放映されており、多くの入居者が取り組んでいるという。太極拳やヨガなど内容もバラエティに富んでいて、椅子に座ったままできるものもある。そして、一通り体を動かし、運動後のお茶を飲むという流れを楽しんでいるのだそうだ。