内館牧子さんインタビュー 「年を重ねたからこそ」
’88年に脚本家デビューして以来、数々のヒット作を世に送り出してきた内館さんは、’00年から約10年、女性で唯一の横綱審議委員も務めていたことでも知られる。多忙を極めていた’03年、突如休筆して「相撲史を学びたい」と54才で東北大学大学院に進学。その後も國學院大学の科目等履修生として、「神道」を学んでいる。約30年ぶりにリスタートを切った、内館流キャンパスライフとはどんなものだったのか?
社会人は一番前の席を陣取る
「いずれ博士課程まで進んで相撲を研究しようと、東北大大学院に行きました。修士課程を終えた後、神道の知識がもっと必要だと思ったんですよ。でも仕事もあるし、大病もした(’08年、心臓弁膜症で手術入院)し、東北大のある仙台に行くのはちょっと難しかった。そんな時、都内には國學院があるじゃないか!と」
そうして、’14年から國學院大学の科目等履修生となった。
科目等履修生とは、その大学の学部生以外で、授業科目ごとに履修(単位取得)できる制度。入学試験も不要で、週に1回、授業の時間に行くというもの。
「席はいつも一番前(笑い)。社会人はみんな本気だから、一番前を陣取っちゃう(笑い)。それでそのおばさん連中でみんな仲良くなるんです(笑い)。群馬から通ってきている人や新潟から新幹線で通っている人もいました。今でも時々集まってご飯を食べたりしています」
内館さんの“ご学友”は幅広い。大学院時代は、イケメン男子学生をはべらせていた。
エッチなテレフォンカードでイケメン男子学生を
「私はパソコンも携帯も持ってないんです。でもいまどきの大学は、履修科目がウェブで出されるんですよね。入学早々、教務課に行って“紙でください”って言ったらびっくりされたくらい(苦笑)。で、その時に、ここでの学生生活は、若い人にいろいろ協力してもらわないとだめだなと思って、男の子ばかり、顔が良くて頭がよさそうな子を数人、仕事の関係でもらっていたエッチなテレフォンカードで釣ったんです(笑い)」
温めると写真の女性の着ている服が消えてヌードになる細工に、男子大学生たちは「うそだろー!」と大興奮。我さきにと教室のストーブにテレフォンカードをかざしては喜んでいた。
「“そのかわりあなたたちは私のために働くのよ”って。たまに学食で“好きなだけ食べなさい”ってごちそうしてたけど、それだって社会人にしたらたかが知れている金額でしたから」
「年を取ることはいまいましい」けれど