安藤和津 「介護うつ」「ペットロス」を脱するまで
だが、立ち直ろうとした矢先に、再び安藤を悲劇が襲う。愛する“家族”がまた逝ったのだ。
安藤は動物好きで知られており、長年雑種犬1匹と猫2匹を飼っていた。
「愛犬の散歩は毎朝瑛二さんと交代でやっていたし、猫は茶と黒のトラ柄の子と白い毛つやのいい子で、3匹ともかわいがっていました。でもちょっと前に犬が亡くなってしまったんです。もう15年以上も連れ添った子だったから、和津さんの悲しみは深かった」(近所の住人)
介護うつに重なっただけに、安藤はふさぎ込んだ。
「テレビに出ても上の空で、エッセイの仕事があるのに、何も書けない状態になってしまって…。一時は仕事のオファーも断って、引きこもりに近い状態だったそうです」(前出・知人)
俗にいうペットロス状態に陥った安藤。ペットロスの心身的特徴は、睡眠障害、食欲減退、気力低下、めまいなどがあげられる。彼女もまた、これらの苦しみに苛まれていたのだという。
著名人にもペットロス経験者は多く、川島なお美(享年54)は生前、愛犬の死に打ちひしがれ、うつ状態になったことを告白している。
反町隆史(42才)も2005年、愛犬の死を悲しむあまり、撮影にも支障が出ていたと報じられており、2011年に離婚した三谷幸喜(55才)と小林聡美(51才)夫婦は、かすがいだった愛猫の死が夫婦仲に断絶を生んだ原因だったといわれている。
ペットロスを除いても、介護問題、肉親の別離、更年期特有の感情の揺れなど、60代女性のうつ病罹患率は高い。厚労省の調査結果(2014年10月発表)によれば、50代女性のうつ病患者が10・2万人なのに対し、60代は12・4万人に急増する。
「和津さんの場合、心の負担だけでなく、体力的にも過酷な日常を送っていました。朝の番組の収録があれば深夜2時に起きて、帰宅すれば庭仕事に台所、掃除、洗濯と休む暇もなく動いている。“背負い込み症候群”と自嘲していたくらいです。体力がガタッと落ちる60代後半でこの多忙さ。余裕はなくなり、うつになっても仕方ない日々だったんだと思います」(前出・知人)
厚労省は『こころの耳』と題したホームページを設置し、うつ病への理解と対策を掲げているが、最も大切なのは「家族の支え」だとしている。
【1】原因探しをしない
【2】過度に励まさない
【3】本人に決断を求めない
【4】そっと見守る
そんな大切なスタンスを、安藤の家族も理解していた。
「サクラさんも桃子さんも、よく実家に顔を出していました。2人の娘さんが祖母の遺品整理を手伝ってあげて、なんとか和津さんの負担を減らそうとね。瑛二さんも、気晴らしによく和津さんを連れて外食されてました。代々木の有名洋食店がお気に入りで。本当に仲睦まじい家族です。だからこそ、和津さんもやっと前を向けるようになったんでしょう」(前出・知人)
9月に入り、ようやくプライベートでも以前と変わらぬ笑顔が見られるようになったという安藤。
「娘と夫に救われた」
今は周囲にそう話している。
※女性セブン2016年10月20日号