息子の嫁による介護 男性なら長生き、女性なら短命のデータ
生まれ持った体の強さ、弱さのほかに、日常生活や環境も長生きできるか否かに影響を与えることになる。実際、長生きするにはどんな風に過ごしたらいいのだろうか。
高齢化社会を迎えている日本。多くの人がいつかは介護を受けることになるわけだが、誰に介護を受けるかが、長生きできるかどうかに影響を与えるというデータがある。
介護を受ける場合、男性は、“息子の嫁から”が最も長生きでき、次が実の娘、そして妻に介護されるのがいちばん短命になるという研究データが、米・ハーバード大学の博士・西晃弘さん(現・イェール大)により発表された。
2001年から2006年にかけて、介護を受けている191人の日本人高齢者を対象に行った調査で、反対に女性は夫に介護を受けると最も長生きし、“息子の嫁から”が最も短命だという。
自身も父親の介護経験がある婦人科医師の松村圭子さんはこう話す。
「男性は、妻や娘など、近しい人から介護を受けると、ストレスになる傾向があるようです。それは、元気な時に威厳を示していたにもかかわらず、寝たきりとなって気弱な姿を見せるのがストレスになるからだったり、近しい相手だからと遠慮なく口に出してけんかになり、互いにイライラしてしまうからかも。むしろ“息子の嫁”というほどよい距離感が、波風を立てず、ちょうどいいのかもしれません」
在宅医療の施設を運営する長尾和宏さんは、男性が妻の介護者になる場合について、こう分析する。
「夫は妻に、今までの感謝や罪滅ぼしとして、手厚い介護をする人が多いようです。ただし、一般的には女性の方が長寿なため、男性が介護することは相対的に数が少ないといえるでしょう」
つづいて、人間にとって大きな癒やしとなるペットはどうだろうか。犬や猫が高齢者の健康に良い影響を与えるということも少なくない。さらに、あるデータでは猫より犬のほうがより好影響を与えるという結果もあった。
一般社団法人ペットフード協会の『平成27年度 全国犬・猫飼育実態調査』では、「血圧が安定した」「健康的になった」など高齢者のペット飼育の効能で、猫よりも犬の飼い主の方が、健康状態の向上が見られた。
「犬は散歩をする必要がありますから、人間にとっては散歩仲間ができて生きがいになったり、運動量が増えて健康的になるという部分もあるといえます。それに、犬の場合は人間が話しかけると、まるで返事をしているかのような反応をすることが多く、会話が成り立ちます。
一方、猫に声をかけても無反応なことが多く、コミュニケーションが一方通行になりがち。そういった面で、犬の方が寂しさを紛らわせてくれるといえるでしょう」(動物学者の今泉忠明さん)
もともと、人間は話をすることが重要な生き物であると、今泉さんは言う。犬が癒しという以上の存在になるのだろう。
※女性セブン2016年9月29日・10月6日号