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健康

そのダイエット、老け見えの原因かも?肥満・糖尿病専門医が教える60代からの正しい体重管理術

 年齢とともに代謝が落ち、太りやすくやせにくくなる。自然なこととはいえ、体形が気になるのが女心。なかには健康のためにやせないといけないケースもある。そんなとき、注意しないといけないのがダイエット方法。若者と同じやり方では体を壊すことがある。シニア世代の正しいダイエット法を専門家に聞いた。

教えてくれた人

田中智洋さん/内科医、名古屋市立大学病院 肥満症治療センター副センター長。専門分野は肥満症学、糖尿病学、内分泌学、生活習慣病診療など。講演活動も行う。

減量が必要かどうかは腹囲で判断。ウエスト90センチ以上は注意が必要

「生活習慣も食事量も変えていないのになぜか太る」

 こうした悩みを抱える50代以上の女性は多いと、内科医の田中智洋さんは言う。

「女性ホルモンのエストロゲンには、内臓脂肪の蓄積を防ぐ働きがあります。そのため、閉経でエストロゲンの分泌が激減すると、内臓脂肪がたまりやすくなるのです。

 加えて、加齢による筋肉量の減少で基礎代謝(※)も低下。若い頃と同じような生活を続けていては、脂肪がつきやすい体になってしまいます」(田中さん・以下同)

 ダイエットが必要かどうか、見極める方法があるという。

「まずは腹囲(ウエスト)を確認。90cm以上なら内臓脂肪の蓄積が考えられます」

 もともとやせていた人では、腹囲77cm以上でも注意が必要だという。

「内臓脂肪は、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病や動脈硬化、心臓病などのリスクを高めます。ですから、腹囲が大きい、あるいは若い頃より大幅に大きくなったという人はダイエットが必要です。

 腹囲が大きく、しかも、人間ドックや健康診断などで、血圧や血糖値、コレステロール値、尿酸値などに異常が認められた場合は特にダイエットが重要です」

 ただし、若い頃と同じような「体重を減らすだけ」のダイエットはしてはいけないという。激しい運動で足腰を痛めることになりかねないからだ。また、「体重が減りやすい食品しか食べない」といった偏った食事制限をすると余計に内臓脂肪を増やし、血糖値などの数値を悪くする可能性がある。

(※基礎代謝)安静にしている状態でも、呼吸や心臓の鼓動、体温調節などに使われる、生命維持に必要な最低限のエネルギー消費のこと。

閉経後の女性は体重の減少よりウエストのサイズダウンを

 体重が減ると、体が細くなったように見えるが、実は筋肉だけが減り、内臓脂肪は減っていない可能性がある。「体重は減ったのにお腹はポッコリしたまま」というケースがいい例だ。こうしたやせ方こそ危ないと田中さんは指摘する。

「閉経以降の女性のダイエットは、筋肉量はできるだけ減らさず、内臓脂肪を減らすのがポイント。重視したいのは体重の減少より腹囲のサイズダウンです」

 筋肉量が減れば、それに比例して基礎代謝も落ちる。さらに、筋肉では体内のブドウ糖の6~7割が消費されるので、筋肉が減ると余分なブドウ糖が血液中にあふれ出し、血糖値が上がって動脈硬化などを引き起こす恐れがある。

 急激なダイエットでは特にたんぱく質が不足したり、栄養の摂取をサプリメント頼りにしたりしても、こうした事態に陥りやすい。

「極端に食事の量を減らすと、筋肉がエネルギーに分解されて減ってしまいます。ですから、たんぱく質をきちんと摂り、筋肉に効く運動を取り入れながらやせましょう。ペースはゆっくりでよく、体重は1か月に1kg減くらいで充分。最終的に、体重3kg減、ウエスト3cm減を目指しましょう。これで血糖値などの数値がかなり変わります」

 具体的な食事法や運動法はを下記で詳述する。

まずは3か月挑戦!「60代からの正しいダイエットルール」

 体が変わる「3か月」をひと区切りとすること。さらに減量が必要ならもう3か月挑戦する。とにかく続けることが大切だ。

【ルール1】「健康のため」など、ダイエットの目的を明確にする。

【ルール2】体重より体脂肪率の変化をチェック。

【ルール3】腹囲(ウエスト)のサイズダウンを目指す。

【ルール4】筋肉を刺激する運動をする。

【ルール5】3回の食事のたびに必ず「たんぱく質」を摂る

【ルール6】3か月で体重-3kg、ウエスト-3cmを目指す

無理なく続ける健康習慣のための【食事法】

 60代女性の場合、何もしなければ筋肉量は年に約1%ずつ減少する。それを防ぐのが食事と運動だ。無理のない範囲で、ゆっくり長く続けよう。

朝食のたんぱく質が筋肉量を増やす

 ダイエットというと、食事制限を思い浮かべる人が多いかもしれないが、大切なのは制限ではなく、3食ともたんぱく質をしっかり摂ることだ。60代女性の場合、1食20~25gに分け、1日60~75g摂るのが望ましい。

「特に朝食時にたんぱく質をしっかり摂ると筋肉が増えるという研究報告もあります。朝食をトーストとコーヒーだけで済ますのではなく、卵やヨーグルトなどを加えましょう」(田中さん・以下同)

 昼食は簡単に、うどんやそばというなら、野菜やきのこ類、納豆などをトッピングしたり、ゆで卵や魚肉ソーセージなどを別で食べるといい。

「日本人は糖質を摂りすぎる傾向にあるので、炭水化物は少し減らし、ご飯はお茶碗に八分目、食パンなら8枚切りを1枚。食事時間にも注意が必要で、特に夕食は19時には食べ終えるのが理想的です」

いつもの食事にチョイ足しで「たんぱく質」を摂取!

<朝食>

トースト、コーヒー

(ちょい足しにおすすめ!)

目玉焼き、ベーコンエッグ、ヨーグルトなど

<昼食>

そうめんやうどん、そば

(ちょい足しにおすすめ!)

野菜、きのこ類、サラダチキン、納豆、豆腐など

<夕食>

ご飯、野菜の煮物、みそ汁

(ちょい足しにおすすめ!)

鶏のささ身や胸肉、豚肉や牛肉の赤身、魚料理など

無理なく続け、健康的に適正体重を目指す【運動法】

筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動を

 運動は、筋肉量を効率的に増やす方法を選ぼう。

「運動には、ウォーキングなどの有酸素運動、スクワットなどの筋肉に負荷をかけるレジスタンス運動、片足立ちなどのバランス運動があります。効率的に筋肉量が増やせるのはレジスタンス運動、いわゆる筋トレ。60代以上の女性にはこれがおすすめです」

 とはいえ、必ずしもジムでトレーニングをするといったことではない。間違った方法で筋トレをすると、関節を痛める可能性もある。

「おすすめは、5秒かけて座り、5秒かけて立ち上がる運動。これを毎日10セット、2か月続け、筋肉量が増えたというデータもあります」

 そのほか、水中歩行や自転車こぎなども効率的。

「腰やひざ、股関節が痛んで運動ができない人は、上半身のレジスタンス運動だけでも効果はあります」

 たとえば、ペットボトルの上げ下げだ。

「水を入れた500mlのペットボトル1本を片手で持ち、腕の上げ下げをします。回数は決めず、テレビを1時間視聴する間に行うなどのやり方がおすすめ。大切なのは、日常生活の中に自然に取り入れられて、続けやすい方法です」

「どんどん老ける」NGなダイエット方法6選

●短期間で急激に体重を減らそうとする。

●いきなりランニングなどの激しい運動を行う。

●カロリー制限。

●油や炭水化物抜きなど、栄養面の偏った食事法。

●肉を食べない。

●栄養をサプリメントに頼る。

取材・文/上村久留美 イラスト/ico. 写真/Getty Images

※女性セブン2026年6月18日号

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