整形外科医が教える、ひざを痛めない歩き方と簡単トレーニング「階段の下りは要注意」
ひざを守るためにはトレーニングも欠かせない。戸田医師が考案したのが、太ももの前側にあり、ひざを伸ばす重要な役割を果たす大腿四頭筋を鍛えられる「壁もたれスクワット」だ。
背中全体を壁につけてもたれかかり、両足をひざより少し前に出した状態でひざを閉じる。そこから、かかとをつけたまま股関節を外側に開き、5秒キープ。かかとをつけたままひざを閉じて元の体勢に戻る。1セット5回で、1日3セット。
「1日5分、日常生活の隙間時間にできる効果的な『ひざトレ』です。できれば起床後、昼食後、夜寝る前の1日3回行ないましょう」
ひざを深く曲げるスクワットのほうが効果は高いように思えるが、それは逆だと戸田医師は言う。
「通常のスクワットではひざがつま先より前に出てしまうため負担が大きく、かえってひざを痛めてしまいかねない。ひざを前に出さず壁に体重を預けることで、ひざを守りながら大腿四頭筋を鍛えることができます」
横向きに寝て片手の肘下と片足だけで体を支え、反対側の手と足を上げるサイドブリッジは腰痛にもひざ痛にも効果的だが、この姿勢をキープするのは難しい。5秒以上は無理という人は、より実践しやすい「壁ドン!サイドブリッジ」を取り入れよう。
「太ももの外側の筋肉(外転筋)を鍛え、歩く時のひざの横揺れを防ぐ効果があります。壁に片方の肘を突いて立ち、反対側の脚を少し横に開いてつま先立ちになるだけでOK。左右20秒ずつ行ないましょう」
大腿四頭筋を鍛える「壁もたれスクワット」
【1】背中全体をつけて壁にもたれかかり、両手の甲を壁につける。両足のかかとはつけ、ひざは閉じる。両足はひざより少し前に出す。
【2】かかとをつけたまま、股関節を外側に開いていく。
【3】開いたらそのまま5秒キープ。ひざを伸ばしながら元のように閉じる。これを繰り返して1セット5回×1日3セット。
<ポイント>
安全で滑りにくい場所で行なう。体重を壁に預けることで安定感が増す。起床後、昼食後、寝る前の1日3回実施が理想。
外転筋を鍛える「壁ドン!サイドブリッジ」
【1】つま先立ちの状態で、同じ側の腕(肘から先)を壁に密着。反対側の足を開いて伸ばす。同じ動作を左右各20秒ずつ、1日2セット行なう。
<ポイント>
太ももの外転筋を鍛えてひざの痛み予防になる。
ストレッチでひざまわりの筋肉の凝りを解消
ひざトレの後は、ストレッチでひざまわりの筋肉の凝りを解消することも大切だ。
ひざの裏側の筋肉の凝りをとり、ひざをまっすぐ伸ばしやすくするのが「かかと押しストレッチ」。片方のひざの内側を反対側の足のかかとで押していく。ひざ裏あたりから斜め前に向かって押すことで、横に飛び出した半月板の破片を押し戻す効果も期待できる。
「かかとは丸みを帯びていて、手を使うより強い力をかけられます。ひざを押し込む際に力を入れるので、同時にかかと側の足の筋トレにもなる。このストレッチは週に3回、朝は起床前に寝床でひざを目一杯伸ばした状態で押してください。昼は椅子に浅く腰掛けた状態で、夜はお風呂で浴槽に浸かった状態で縁に足を乗せれば、ひざが伸びて筋肉をしっかりほぐすことができます」
就寝前に手軽にできる「かかと押しストレッチ」
【ベッドの上で行なう場合】
押される側の足はできるだけひざを伸ばす。
【お風呂で行なう場合】
押される側の足のひざを伸ばすために、浴槽の縁に足を乗せる。
<ポイント>
●ひざまわりの筋肉がほぐれて、こり由来の痛みが和らぐ。
●痛みの原因となる飛び出した半月板を押し戻す効果も期待できる。
●自分の足のかかとで押すことで押す側の脚の筋トレにもなる。
ひざの痛みを自力で改善する「お風呂正座」
ひざを守る日常生活の習慣も知っておきたい。意外にも、ひざにいちばん負担をかけない座り方は「正座」だという。
「よく伸びるひざは、よく曲がるひざでもある。正座はひざをしっかり曲げるいい訓練になります。痛くてできないという人は、入浴時に水の浮力を利用しましょう。浴槽の縁に両手をつき、ゆっくり体重を縁にのせながらひざを曲げて腰を落とし、10秒キープ。それからゆっくり腰を上げて立ち上がるのを2~3回繰り返します」
椅子に座る時は、高さに注意。椅子が低いと立ち上がる時も座る時も体が前かがみになるので、ひざに大きな負担がかかるからだ。
「重い荷物を片手で持って歩くなど、重心を体の片側にかけて歩くとひざを痛めやすくなります。歩く時は肩掛けのショルダーバッグではなくリュックに。また、歩くたびにかかとがパタパタ開くサンダルは、着地の時に踏ん張りがきかないため、ひざに負担がかかります。これはスリッパも同様です。できれば室内でもスリッパは履かないほうがいいでしょう」
イラスト/タナカデザイン
※週刊ポスト2026年5月29日号
●ひざ関節を専門とする整形外科医が解説する「変形性膝関節症」 “ひざの軟骨は再生する”と考えるその理由
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●日常のほんのわずかな衝撃で起こる腰椎圧迫骨折に注意!気づかず悪化することも。早期発見と正しい治療が大切と専門医「NG行動と推奨食物とは」
