広がる「リモート介護」遠距離介護を支えるサービスから見守り機器まで専門家が解説
自治体による支援も活用したい。配食サービスや安否確認を、無料から低額で利用できる場合もある。
日常生活の支援はシルバー人材センターの生活支援サービスを推奨する。
「価格が手頃なので積極的に活用するのがおすすめです。私は草むしりや庭の手入れをメインでお願いしています。電球の交換、大掃除、話し相手など公的介護保険でカバーできない生活の困りごとはたいてい解決してくれます」
帰省にかかる出費も、工夫次第で抑えられる。
「新幹線のネット予約早期割引や、飛行機なら介護割引が使えます。急な体調不良などで手助けが必要となった場合は、自費ヘルパーをお願いした方が安価で済む場合もあります」
介護にかかるサービスは増やそうと思えば際限がないからこそ、予算の設定も欠かせない。帰省費用も含めた月額を決めてサービスを検討することが重要だ。
遠距離でも安心!主な「自治体・民間サービス」一覧
【1】緊急通報サービス(各自治体やセコムなど)
家庭内で急病や発作などを起こしたときにボタンを押すと、通知されるものや、看護師等の資格を持ったスタッフが自宅まで来て対応してくれるものなどさまざま。
[料金目安]無料~2000円程度/月
【2】介護帰省費割引
JALなどの航空会社では公的書類を提出すれば介護帰省割引が適用される。その他交通機関での実施はないものの、シニア割やネット予約による事前割引を利用すれば帰省費用を節約できる。
[料金目安]通常運賃から約10~50%引き
【3】配食サービス
買い物や調理が困難な場合、指定の曜日に食事を配達してくれる。自治体でサポートしている場合も多い。
[料金目安]1食につき300~700円ほど。
【4】外出・余暇付き添いサービス
ひとりでの外出に不安がある高齢者向けに冠婚葬祭やお墓参りなどのサポートをしてくれる。帰省費用よりは安価に済む場合も多い。
[料金目安]1時間2000~4000円/時間(交通費別途)
【5】通院介助サービス
介護保険サービス内の通院介助でサポートされていない病院内での付き添いや診察時の同席が可能。
[料金目安]1時間2000~4000円/時間(交通費別途)
【6】見守り訪問サービス
郵便局員や運送会社スタッフが自宅を直接訪問し、生活状況や写真付き報告書をメール等で報告してくれる。
[料金目安]2000円程度/月
施設の入居がゴールではない
どうしてもひとりで暮らすことが困難になり施設への入居を決めるケースもあるだろう。ただしそれは“介護のゴール”ではない。
「住み慣れた住居を離れることで新たな環境になじめず閉じこもりがちになったり、認知機能の低下が進んでしまうケースもあります。施設に入れば安心というわけではない。本人が自宅に居ることを希望するなら、食事がとれない、徘徊が重度になり事故の危険が高まるなど、命にかかわる状態にならない限りは、自宅に居ることの方が双方のためということもありえます」(太田さん)
重要なのは過干渉にならないこと。
「日々の生活はそれ自体がリハビリです。先回りしてできることを奪ってしまわないこと。自立した暮らしを見守り、介護はプロに任せるのがいい。そのためにケアマネジャーを含めた介護チームと連携し、必要なサービスを見極めることが大切です」(佐々木さん)
離れていても介護はできる。自分たちに合ったスタイルを見極めていきたい。
ひとり暮らしのための介護サービス活用例
公的介護保険サービスの費用は東京都千代田区をもとに試算。
【ケース1】A男さん83才(要介護3)
脳梗塞で左半身まひ。買い物、入浴、排泄全般に介助が必要(ポータブルトイレとトレーニングパンツを使用)。短い距離は杖で歩行可能だが、長い距離を移動する際には車椅子を使用。寝室に見守りセンサー、リビングに通話機能のあるスマートスピーカーを設置している。
●小規模多機能型居宅介護(訪問・通所介護、ショートステイ):5万円/月
●配食サービス(週4回):8000円/月
●生活支援サービス(掃除、洗濯、調理支援):1万8000円/月
●見守りセンサーレンタル費用:3500円/月
●スマートスピーカー用のWi-Fi通信料:4000円/月
(合計)8万3500円/月
【ケース2】B子さん78才(要支援2)
アルツハイマー型認知症。食事や排泄、入浴は自身で可能だが、掃除や火を扱う調理に不安あり。ガスをIHに変更後、慣れないIH調理の支援を訪問介護で補う。
●週3回の訪問介護(掃除と調理支援):5300円/月
●見守りカメラ用のWi-Fi通信料:3000円/月
(合計)8300円/月
写真/PIXTA
※女性セブン2026年5月21日・28日号
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