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健康

日本人初・米ハーバード大卒歯科医が教える【口と歯の健康】を守る10のメソッド「老化は口から始まる」

 食事から会話まで、人体で特に生活に根ざしている部位が歯、目、耳だ。これらの機能が衰えると、QOL(生活の質)が大きく低下する。「もう年だから……」と諦めている人は多いが、実はいくつになっても機能改善が可能だという。今回は100才まで噛める生活を実現するための知恵を名医が解説する。

教えてくれた人

室井一辰さん/医療経済ジャーナリスト

大岡洋さん/大岡歯科医院院長・著書に『「歯みがき」するから歯は抜ける』(現代書林)

幸福感にも直結する「歯・目・耳」の機能維持

 健康診断や人間ドックでは血液検査やX線、心電図の結果など重病の予兆になりうる項目ばかり気にしがちだ。

 しかし、健康寿命をより直接的に左右するのは“日常生活と密接に関わる”部位だと医療経済ジャーナリストの室井一辰さんは言う。

「すなわち食べるための『歯』、見るための『目』、聞くための『耳』です。人間は1日のなかの大半をこの3つの機能を使って過ごしており、胃腸や腎臓などの臓器よりも機能低下がQOLに直結しやすい。できないことが増えることで精神的な豊かさや幸福感も失われやすくなります。歯、目、耳の機能維持や改善こそが健康長寿の柱だと言えます」

 室井さんによれば、歯、目、耳の衰えは「別の病気」の重大リスクにつながることが世界各国の研究で明らかになっているという。

「東京科学大学の研究グループが今年2月に発表した“歯と老化”に関する研究報告があります。50才以上の1889人のデータを分析したところ、歯をすべて失った高齢者は、歯が残っている人に比べて『生物学的年齢』が平均0.82才高かったのです」

 生物学的年齢とは、暦年齢ではなく臓器や生理機能の状態を反映した年齢で、老化の指標とされている。

「つまり歯を失うことは全身の老化や健康寿命に関係する可能性があるということです。例えば歯周病が糖尿病のリスクを高め、糖尿病も歯周病のリスクになるという相互関係が複数の研究で裏づけられています」(室井さん)

 さらに怖いのが認知症だ。「難聴と認知症の関係」について、米コロンビア大学の研究グループが25年4月、最新のエビデンスを発表した。

「2946人の米国人(平均年齢74.9才)を分析したところ、認知症の最大32%は難聴によって発症している可能性があると報告しています」

 目の病気と認知症の関係性を示す研究結果も出されている。

「米ペンシルベニア大学の研究グループは2025年9月、約4万7000人分の電子カルテデータを分析した結果、緑内障患者はアルツハイマー型認知症のリスクが60%増加していたと報告しています」(同前)

 こうした観点から、欧米では歯、目、耳の健康への意識が高いと室井さんは話す。

「欧米では予防歯科が進んでおり、自宅でのセルフケアも歯科医院で学ぶのが一般的です。また欧米人にサングラスをしている人が多いのも、ファッションではなく紫外線から目を守るのが目的です。耳の衰えにも敏感で、難聴による不都合を減らす対策として、補聴器の普及率が日本に比べて圧倒的に高く、機能も進化しています」

 健康長寿の鍵となる歯、目、耳だが、機能を維持・改善する方法もまた多数あることが分かってきた。日常のなかでできる歯の対策を見ていこう。

老化は口から始まる。口腔機能低下から誤嚥性肺炎を招く

 何才になっても食べたいものを食べたいーー健康長寿を目指す多くの人の願いだが、そのために重視すべきが「口と歯の健康」だ。日本人歯科医師として初めて米ハーバード大学歯学部・公衆衛生学部大学院(予防歯科学)を修了し、『「歯みがき」するから歯は抜ける』(現代書林)の著書がある大岡洋さん(大岡歯科医院院長)はこう言う。

「運動機能が落ちるロコモティブシンドロームのように、最近では『オーラルフレイル』や『口腔機能低下症』という概念が注目されています。老化の兆候はまず『口から』現われるという考え方で、滑舌が悪くなったり、口の中が乾いたり、飲み込みがうまくできなくなったりする症状が出たら、危険信号です」

 口腔機能低下の脅威が、日本人の死因第6位を占める「誤嚥性肺炎」だ。

「誤嚥は飲み込む力が衰え、食べ物や唾液が気管や肺に入ることで生じます。その時、口腔内の細菌が肺に侵入することで致命的な誤嚥性肺炎を引き起こしてしまう。つまり、口の中をいかに清潔に保つかが誤嚥性肺炎の予防、ひいては命を守ることにつながるのです」(大岡さん。以下「」内同)

「痛くないから大丈夫」が危ない。心筋梗塞や脳梗塞のリスクも高める歯周病

 口内の健康を保つカギは「むし歯」や「歯周病」の治療や予防だが、なかでも歯周病は命に関わる重大疾患と言える。

「歯周病は細菌が歯肉に炎症を起こし、進行すれば顎の骨まで溶かしてしまう『骨の病気』で、その影響は口の中だけにとどまりません。歯周病の原因菌が歯肉の血管を通って全身を巡り、動脈硬化を招いて心筋梗塞や脳梗塞のリスクを高めたり、糖尿病を悪化させたりすることが研究で明らかになっています」

 歯周病が厄介なのは、進行すれば激しい痛みを生じるむし歯と違い、自覚症状がないまま進行してしまうことだ。日本人の成人の8割が歯周病に罹患しているとされる。

「『むし歯ゼロ』イコール『歯周病ゼロ』では決してありません。歯周病は15年から20年かけてゆっくり進行し、末期まで痛みや歯がしみるなどの自覚症状がないため、『むし歯がないから歯医者に行ったことがない』という人ほど要注意。歯石が付着し歯がグラグラで歯肉も腫れ上がった重度の歯周病患者でも、長い期間をかけて徐々に進行するために、本人が異常を感じられないケースも実際にあります」

 日米の歯科治療に精通する大岡さんは、日本で歯周病が放置されがちなのは、「セルフケア意識の低さ」があるからだと言う。

「高額な医療費がかかる米国と違い、日本は手軽に治療が受けられるため、『症状が出たら受診すればいい』との考え方から、歯周病予防への関心が低い現実があります」

 定期的な受診に加え、大岡さんが歯周病対策で最も重要だと強調するのが、歯周病菌のエサとなる汚れの除去。つまり“ブラッシング”だ。食後の歯磨きを欠かさない、という人でも油断はできない。

「最大の問題は、『歯みがき』の言葉のイメージに縛られ、歯の表面ばかり磨くケースが多いことです。歯周病を防ぐには、歯と歯肉の境目の『歯周ポケット周辺』に溜まった汚れを正しいブラッシングで落とし切れるかどうかがポイントです」

 大岡さんが推奨する歯周病予防のための正しいブラッシングでは、まず歯ブラシのネック部分を親指と人差し指、中指の3本で鉛筆のように握る。その握りで歯ブラシの毛先が歯周ポケットに入るように当て、小刻みに動かすのがコツだ。

「力を入れる必要は全くなく、歯肉を適度にマッサージすることで血流が改善し、歯肉に溜まった炎症の原因物質をなくすことができます。そもそも歯肉は皮膚の約3倍の早さで新陳代謝を繰り返す“老化しない”稀有な組織。重要なのは、『歯肉のケア』『歯肉のマッサージ』としての“ブラッシング”です。適切なケアを行なえば生涯自分の歯を守ることが可能です」

ブラッシングは就寝前に15分程度をかけ徹底的にケア

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