「休まない仕事人間こそ怠惰」と作家・佐藤優さんが語る理由 何もしない時間をムダな時間にしない「瞑想」のすすめ
忙しい日々を送っていると「休む時間はもったいない」と考えてしまいがちだが、かつて外務省に勤務し、多忙な生活を送っていた作家の佐藤優さん(66歳)は、むしろ「休まない仕事人間こそ怠惰」だと話す。忙しい日々のなかで有意義に時間を使うためには、休養を取ることが有効だと語る理由やおすすめの休養方法について、佐藤さんの著書『残された時間の使い方』(クロスメディア・パブリッシング)から、一部抜粋、再構成してお届けする。
旧約聖書から見る「休養」の意味
旧約聖書を読むと、神は1日ごとに自分の仕事の成果に対して、「よしと言われた」とされています。1日ごとに自分の仕事を振り返り、満足しているわけです。その上で、最後の7日目にはしっかりと休んでいます。聖書にはとくに書かれていませんが、おそらく神は休むことで自らの仕事全体を振り返り、天地創造という仕事に大きな満足を感じ、納得したに違いありません。
振り返りの時間があってこそ、初めて働いた時間を意味づけし、価値づけすることができるといえるのではないでしょうか。休みとは、単に体を休めたり、レジャーを楽しむためのものではありません。1週間の仕事を振り返り、納得し、満足するためにある時間だということです。
区切りがあるからこそ、私たちはさまざまなことを振り返り、整理することができます。反省点や改善点が浮かび上がり、新たな課題が見えてくる。それが次の仕事のヒントやエネルギーになるのです。
ところがそれをしないまま、ただ仕事を続けている。つまり、働くことが一種の逃げとなっており、その意味で怠惰であるというわけです。
「休養」に瞑想を採り入れてみる
「何もしない時間」というとムダな時間と考えがちですが、必ずしもそうとは限りません。例えば瞑想のような時間はとても重要です。とくにインプットするわけでも、アウトプットするわけでもなく、目を閉じて気持ちを落ち着け、心を整えます。
ちなみに、ここで言う瞑想は、ブッダが始めた「完全に心を無にするもの」とは少し違うかもしれません。心を無にして、一切の雑念を取り払うというのは、実際はとても難しいことです。
その点、いま流行りの「マインドフルネス」であれば実行しやすいと考えます。目を閉じて気持ちを落ち着かせるのは、ブッダと同じですが、雑念が沸き起こってもそれを無理に消そうとするのではなく、「今自分はこんなことを考えているんだ」と受け入れます。この方がずっとやりやすく、現実的な方法だといえます。
いずれにしても、心を落ち着けて呼吸を整え、心身をリラックスさせます。こうすることで、日常生活の様々なノイズやストレスにさらされていた自分を解放し、落ち着きを取り戻し、集中力をアップさせることができます。毎日は難しくとも、1週間に2回でも3回でも続けていれば、ずいぶん効果が表れるはずです。
かつては、西欧であれば毎週、教会で礼拝をしていました。キリスト教だけでなく、イスラム教やユダヤ教でも、神に祈る時間というのが定められています。以前はこのような宗教習慣が、瞑想の役割を担っていたといえるでしょう。それが現代においては、宗教的な習慣や行事が日常から少なくなり、一心にお祈りをするというような時間も減りました。瞑想する場合は、自分でヨガ教室に行ったり、お寺の座禅や瞑想のようなものに参加してみるといいでしょう。
無心になれるという意味では、ジョギングなど体を動かすことも、瞑想に近い作用をもたらすと考えます。
いずれにしてもインプットもアウトプットもせず、心を落ち着け、無心に近い状態に自分を置いてみるのです。心身を整える時間が、現代生活においてますます重要になっていると考えます。
◆作家・佐藤優
さとう・まさる。元外務省主任分析官。同志社大学神学部卒業、同大大学院神学研究科修了後、外務省に入省。英国の陸軍語学学校でロシア語を学び、在ロシア日本大使館に勤務。北方領土問題など対ロシア外交で活躍。2002年、背任と偽計業務妨害容疑で逮捕。2009年、最高裁上告棄却。2013年、執行猶予期間を満了し刑の言い渡しが効力を失う。著書に『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて』(新潮社)、『残された時間の使い方』(クロスメディア・パブリッシング)など多数
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