「1日500円で乗り放題」“都バス旅”の楽しみ方は? オバ記者が語る魅力「おすすめコース」「必需品」「味わい深いポイント」
年を重ねてきて、ある日何か趣味を始めてみようと思い立っても何をしていいかわからない…そんな人もいるかもしれない。オバ記者ことライターの野原広子氏(69歳)はひとり暮らし歴40年で、多くの趣味を経験してきた。手っ取り早くてお金のかからないのが「都バス旅」だという。その楽しみ方についてレポートする。
「寂しさは“頭の中で作る幻”」
ふと振り返るとひとり暮らし歴40年。70歳手前で、そうか、人生の大半をひとりで寝起きしてきたのかと思うと感慨深いものがある。なんでこうなったんだ?と思うことも2年、いや、1年に一度くらいはあるけれど、そのたびに答えはひとつ。「だってラクじゃん」。
まぁね。さすがに60を超えたら「ひとりで寂しくない?」と聞く人もいなくなったし、実際のところ、寂しいと本気で思ったらなんとかしたと思うのよ。50歳前半までは婚活をしていたしね。それに惨敗したから言うんじゃないけど、寂しいって何だ? とも思うんだわ。
結論。寂しさはお化けといっしょ。頭の中で作る幻で、ひとりぼっちなんてネガティブなイメージをかぶせるから、背筋が寒くなるんじゃないの? てかさ、ひとりは寂しいというなら、なんですかい? ひとりで買い物をしている人だらけのスーパーマーケットや、ひとりで通う歯科医院は寂しさスポットになるわけ?
自分を癒す“特効薬”は「都バス」
と、そんなことを本気で思っている私は、自分を癒す“特効薬”をいくつも持っているけど、その中でいちばん手っ取り早くてお金がかからないのが都バス旅なの。なんたって1日中乗り放題の1日券が500円だよ。東京中を乗り降りしながら、あっちに行き、こっちに行きは楽しいなんてもんじゃないって。
渋谷─新橋とか、新宿─品川とか、東京駅─有明とか、お気に入りのコースがいくつかあるんだけど、先日、またすごいコースを見つけちゃった。それは新橋から霞ヶ関、永田町を通って、番町、市ヶ谷、新大久保へ行く、いわば都心を下から上にズドンと貫くような路線よ。
このコースの面白いのは、官庁街や国会議事堂の“ザ、権威”というエリアから、江戸の昔のお屋敷街の坂道を楽しんで、都心の下町に抜け、リトル韓国の新大久保にいたること。江戸の歴史なんか知らなくても、車窓の変化が面白くてキョロキョロが止まらないよ。30分に1本は走ってるから、当てずっぽうに降りて散策をして、お茶してまた乗るにはちょうどいい感じ。リトル韓国でひとり焼肉したり、新大久保から東横キッズがいっぱいの新宿歌舞伎町をふらふらするのも刺激があっていいかもね。
で、都バスの特等席は文句なく前が見えて、人目を気にせずにいられる最前列だけど、最後尾の窓際もゆったりするにはいい席よ。
都バス旅の必需品は?
あと、都バス旅を楽しむために必携なのはスマホのイヤホン! 周囲の雑音をさえぎって好きな音楽を聴きながらバスの揺れに身をまかせていたら、たいがいのことはオッケー。しかも500円で「東京、好き勝手」って、こんな楽しい遊び、ほかにある?
そうそう。基本、都バスは電車が走っていない地域を走るから、ディープな街の表情が見られるのよ。これがまた味わい深くてねー。
なんて心の中でぶつぶつ言いながら、都バスを乗り継いでいたら、いつの間にか陽は落ちて、暗い道に団地が浮かびあがってる。あーあ、それぞれの明かりの数だけ人の幸不幸があるんだよなぁと思ったら、胸がキュンキュンしてきた。と、こういうのを旅情っていうんじゃないの?
と言いつつ、アンタ、いつまで余裕ぶっかましていられるんだ?という声もかすかに聞こえてくる。でも、楽しいと思えることはやったもん勝ち、という声もする、69歳の春の一コマでした。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
