《アラ還世代の趣味》69歳ライターが語る「趣味事情」 パン、プリン、甘酒作り…一時ハマるも途中で飽きる「“好きかも”くらいのノリでだらだら」が続けるコツ?
趣味といっても長続きできる人とそうではない人がいるようだ。ライターを始めて48年になるオバ記者ことライターの野原広子氏(69歳)は、多くの趣味にハマってきたが、ほとんどものは短期間でやめ、次のことを始める、ということ繰り返してきた。野原氏がこれまでやってきた“趣味事情”からR60世代の趣味を考える。
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伯母には「“今が今”の性格」と
病院に「もの忘れ外来」ができたと聞いた10年前、「行こうかな」と笑っていたんだよね。当時の私は59歳。現実味がなかったんだと思う。それが最近、そろそろヤバいか?と思ったり、これって元来の性格?と思ったりでどうにも腰が落ち着かない。
というのも、子供のころから多動気味で、叔母は私を「“今が今”の性格」と言っていたっけ。「今が今」というのは今やりたいことは今すぐやらずにいられないという意味と、昨日、あれほど熱心に語っていたことが、今日になったら「ああ、あれねー」と気もそぞろ。昨日と今日が1本道でつながっていないんだわ。
そりゃあ、学校の成績が良くなるわけがないし、仕事も結婚生活も続くわけがないわと、69歳になってようやくわかったって遅いか。
そんなわけだから「恒例の」というのがないの。〇〇記念日というのもないし、自分の誕生日も祝わないし人の誕生日にも興味がない。ライターになったのが21歳だから、へぇ、48年も続けているんだと今、電卓を叩いたからわかったけど、明日になったら必ず忘れている。だから会社で創業◯年とか、歌手ならデビュー◯年の節目とかバチっと数字を公表して祝ったりする人はすごいなぁと感心するの。
「パン作り」は8か月続くも突然…
先日、友人のAちゃんが私が作ったパンが美味しかったと言い出した。「小麦を厳選してるって言ってたよね。だからすごくいい香りでね」とほめてくれたんだけど、えっ、何の話? というが正直な気持ち。「おからパウダーの食パンも美味しくてペロッと食べちゃった」と言われて、やっと台所の奥にあるホームベーカリーが目に浮かんだ。
ああ、思い出してきた。あれは7年前の夏、19年暮らした飼い猫の三四郎が亡くなったの。これもスマホの写真を検索したから亡くなった年がわかるんで、自力では絶対にムリだ。それはともかく猫の死があまりにつらくてね。1日3万歩動く倉庫のバイトをして肉体を酷使したりして足掻いたりしたけどどうにもならない。それで次に思いついたのが、パンの焼けるにおいで目覚めること。これぞ幸せの象徴ではないかとその時は思いこんだんのよ。それでホームベーカリーにパン種を仕込んで寝ると、ふふふ、思った通りに焼けるではないの!
それからは来る日も来る日も、種を変えては焼き、焼いては人に配るの繰り返し。田舎の道の駅に行っても目が探すのは“強力粉”よ。そうそう、なんでもやりだすと凝れるだけ凝るのも悪いクセだ。おかげでけっこう評判が良くてね。私も気を良くしてその頃には猫ロスの傷も癒えてきたのかどうかはわからない。とにかく1年はたってない。8か月くらいのある日、突然、パタリとパン焼きをする気がなくなったのよ。
プリン、甘酒、ヨーグルト作りにハマったが…
それで向かったのは電子レンジで作るプリン作り。これも牛乳に凝り、卵を選び、砂糖も何種類か試したところで、出し抜けに冷めた。そしてお次は甘酒作りとヨーグルト作り。
今、こうして書いているけど、実はこれを仲良しのAちゃんに「いっつもマイブームがあるよね」と指摘されるまで全部、きれいさっぱり忘れてたの。台所にはホームベーカリーも甘酒メーカーもヨーグルトメーカーも目に入るところにあるのよ。なのに「甘酒、どれだけ作ったの?」と聞かれて「甘酒って何?」と聞き返そうとした私。「そういえば」と記憶の底から何かが浮かび上がってくるまでのあの空白はなんなんだ?
ああ、わかった! 私の趣味はオモチャ箱をひっくり返したみたいにゴチャついてて自分でも収拾がつかないのよ。で、いまは料理、食べ物系の話をしたけど、その横には手芸系、旅系、音楽系がある。“多趣味”といえば聞こえはいいが、みんな続かなかったんだよね。自分の“好き”の限界にぶち当たっては引き返して、また次にいく。その繰り返し。
とはいえ並べてみると、私は趣味に人間関係を混ぜなかったのよ。ひとりで夢中になってひとりで冷める。脱会とか、離脱とかないから、誰にも迷惑かけてない。なんか文句ある?ってスタイル。
でもなぁ。それもいいけど、最近、人と楽しむ遊びもいいかなと思うようになってきたの。大好き!じゃなくて、軽く好きかも〜くらいのノリでだらだら続ける趣味。70目前でガチ趣味は疲れるって。
地元で花見を開催
先日、私の故郷の茨城県桜川市の桜の里、磯部神社の境内で花見をした。昨年に続いて2回目で、昨年と同じメンバー5人が東京と那須塩原から来てくれて私と弟の7人で、新緑の下にシートを広げて飲み食い。1か月前に57歳で急逝した義妹のNみは写真で参加だ。
弟を励ますような言葉は誰もかけないけれど、こうしていっしょに飲み食いしてくれるだけでどれほど慰められたか。
帰りしな、妻を失った弟は道の駅でお米を買った。自炊する気になったのよね。「恒例の」は苦手だけど、気がついたら来年の花見で何をしようか計画している私。年を取ると出来ないことも出来るようになるのかしら。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
