“乗り鉄”の69歳オバ記者、新幹線で熱海へ 日帰りで行く“ちょっと遠い場所”での楽しみ方は?
ちょっとでも時間ができたら鉄道に揺られてどこかへ──。“乗り鉄”を自称するオバ記者ことライターの野原広子氏(69歳)が、仕事が一段落して新幹線でいざ熱海へ出発。何か特別なことをするでもない、オバ流“ちょっと遠い場所”での過ごし方は──。
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小学校の同級生が国会に
小学校からの同級生のグンちゃんが奥さまと親戚の人を連れて国会見学に来てくれた。グンちゃんはNHKの『のど自慢』でチャンピオンになったかと思えば、小学6年生のクラス会の幹事を長く続け、担任の先生を最後の最後までお世話をした人だ。
あれは私が母ちゃんの介護で帰省していた時のこと。「おばさん、わがっかよ」と言って、寝たきりの母ちゃんを見舞いに来てくれたの。すると「わがっとも。グンちゃんだっぺな」とたちまち生き生きしはじめて、昔話に花を咲かせていたっけ。
議員会館、国会議事堂、永田町というといかにも四角四面なイメージだけど、アルバイトの私から見たら、ちょっと変わった“停車場”なんだよね。月曜日に日本全国から国会議員が集まって金曜日の夕刻には地元に散っていく。その繰り返しだもの。
議員会館のエレベーターの中でも、むむむ、と耳がダンボになることがあるのよ。日本全国から国会見学や地元議員に陳情に来た人がお国の言葉で話すと、金のバッジをつけた国会議員もつられて方言が出たりしてね。
「故郷の訛なつかし停車場の〜」と、石川啄木の気分、なんて言ってるのは、はい、私がお気軽なアルバイトだからで、他の人はそれどころじゃないか。
仕事が落ち着いてきて…向かった先は
そんな私も4月に入ってからずっと、こちこちと原稿書きで、相当いっぱいいっぱいになっていたの。それがひと段落した。さて何する! まぁ、血気盛んだった昔はあんなことや、こんなこともしたけど69歳の私のしたいことは、決まっているの。
いま、お気に入りのコースは熱海まで約40分、新幹線で行って、温泉に入って、街をぶらつき、駅でぐだぐだして帰ってくること。まぁ、電車はただの移動手段だと思っている人からしたら、「気がしれない!」と呆れてられるけど、乗り鉄子の私からしたら、電車は遊具なの。
が、しかしよ。新幹線の中でのランチをしようとホームの売店で卵サンドを買ったら680円だって。さらにホームに設置されていたドリップコーヒーの自動販売機でコーヒーを買ったら400円。つまりパンとコーヒーで1000円超えって、どういうこと? しかもこのドリップコーヒーの自販機はボタンを押して出来上がるまでけっこうな時間がかかるんだわ。私の後ろに並んだお姉さんは、ジレて体を揺らしていたわよ! なんてね。ふふ、オバちゃんがひと通りの文句を言うのは、はしゃいでいる証拠なんだけどね。
熱海で釘付けになった光景
で、熱海に到着。温泉の前にちょっとした仕事を片付けようと熱海駅の4階のイタリアンカフェの窓際に座った。そこで窓の外に目が釘付けになったのよ。
平日とはいえ、熱海駅前の駐車場はいっぱいで空き待ちの1台が動けないでいるの。10分、15分。まだ動けない。やっと誘導員のおじさんに手招きされて駐車できるまで20分以上かかったのよ。ところがよ。次に来た車は3分も経たずにすいーっと停めた。その次の車なんか待たずにすいーっ。かと思えば次来た車はまたまた15分待ち。
さすがに運命とまでは言わないよ。でもいつ空きが出るかとジリジリ待つ人と、すいーっと停められる人との差ってなんなんだろうって、考えちゃうよね。
で、私は運がいいか、悪いのか。なんてことをあれこれ、ぼんやり考えるのにちょっと遠い駅はいいよ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
