認知症の母が暮らす実家が停電!困った息子が暗闇の中で母と笑い合った夕食時「新たに購入を決心したアイテム」
岩手・盛岡で暮らす認知症の母を遠距離で介護している作家でブロガーの工藤広伸さん。帰省して母と過ごしていたある日、停電に…。寒さ厳しい盛岡の実家で暗闇の中、母のために夕食を準備することに…。改めて停電時の備えの必要性を感じたという。
冬のある日、実家が停電に
2025年11月。わたしと母は岩手の実家でこたつに入りながら、テレビを見ていました。すると突然テレビの画面が消え、照明が落ちました。すぐ復旧したと思ったら、1分も経たないうちに再び真っ暗になり、家じゅうの電化製品が動かなくなってしまったのです。
時計を見ると15時30分で、日没が近い時間の停電でした。母は認知症で、この状況を理解できずにいました。介護者であるわたしは、この停電をどう乗り越えたのでしょう。
過去の停電経験から便利なアプリを導入
過去に1度だけ、真冬の停電に遭遇しました。そのときわたしは東京にいて、母はデイサービスを利用中でした。
実家の停電に気づいたきっかけは、すべての見守りカメラが映らなくなり、遠隔操作しているエアコンや照明も反応しなくなったからです。
最初はインターネットの障害を疑い、NTT東日本の障害情報をチェックしましたが、異常ありませんでした。実家だけの問題かどうかを調べるために、Xで盛岡の情報を検索すると、広範囲で停電が発生していました。
真冬だったので、母が帰宅しても暖房器具は一切使えず、暗闇でひとり凍えながら過ごさなければなりません。復旧するまで、デイサービスで預かってもらうよう電話で頼みました。幸い、すぐ復旧して定時に帰宅できました。
この停電がきっかけで、停電にすぐ気づけるようにと、電力会社のアプリを導入しました。実家のある地域をアプリに登録しておけば、停電の発生日時、エリアと軒数、停電理由、復旧見通しの時間がすぐにスマホに通知されます。
認知症の母は停電を理解していない?
今回停電した直後、電力会社のアプリを確認したら、実家周辺と岩手県花巻市の約1000世帯で停電が発生していました。しかし、停電理由も復旧時間も不明。情報不足だったので、前回の停電と同様にXで検索してみたものの、新たな情報は得られませんでした。
日が沈みかけ、隣にいる母の表情も見えづらくなり、こたつが少しずつ冷たくなり始めていました。停電時の備えをしておくべきだったと後悔しながら、これから認知症の母とどう過ごすか、このまま電気が戻らなかったどうするかについて考え始めました。
停電が続くと、冷蔵庫の食材が傷むかもしれないし、冷凍庫の冷凍食品やアイスが溶けるかもしれません。給湯器の電源が入らないのでお湯が使えない、トイレの便座の暖房が切れて冷たいなど、電気のない生活の不便さに次々と気づきました。
介護の面では、母が暗闇で不安にならないか心配でしたが、わたしがそばにいたので、特に混乱することなく落ち着いていました。ただ母は、停電を理解できないためか、何度も居間の照明のヒモを引っ張って、電気をつけようとしていました。
停電の夜、母と一緒に食べた夕食
日が沈み、部屋が真っ暗になって、何もやることがなくなった母とわたし。このままだと母が眠ってしまい、夜眠れなくなる恐れがあったので、何かしようと思いついたのが、母のメイク落としでした。
暗闇でメイクがきちんと落ちたかわからなかったのですが、メイク落としシートの冷たさで母は目が覚めたようでした。続いて母が突然「ハハハ」と笑い出し、わたしもつられて笑ってしまいました。
もっと他にやるべきことがあるでしょうと、母は言いたかったのかもしれません。
停電から90分が経っても、復旧の時間はわかりません。これからどうしようと思っていたところ、「ギュルルー」という大きな音が。母はおなかが空いていたようです。
翌日帰京するので晩御飯はちょっと豪華な「すき焼き」にしようと思い、いつもより高級なお肉を用意していました。夕食にはまだ少し早かったのですが、暗闇の中ですき焼きの準備を始めました。
電気は使えませんが、ガスコンロは問題なく使えます。ただ、暗闇で食材が見えなかったので、仏壇からろうそくを2本持ってきて、火災に気をつけながらその灯りで調理し、なんとかすき焼きは完成。炊飯器は使えなかったので、ご飯のかわりに残っていたパンを食べることにしました。
改めて必要性を感じた「停電時の備え」
ろうそくを灯してすきやきを食べたのですが、母が食べづらそうにしていたので、わたしがスマホのライトで母の手元を照らしてサポートしました。
よほど空腹だったのでしょう。母は何度も「おいしい、おいしい」と言いながら食べ、こたつは冷えきっていましたが、体はすっかり温かくなっていました。洗い物をするために台所へ食器を持って行こうとしたとき、電気が復旧。停電は、2時間程度でした。
実は2025年の夏に、介護ポストセブンさんでポータブル電源(Jackery)の使用レポート記事のために、テストを行ったばかりでした。ポータブル電源は内臓バッテリーに電気をためておき、非常用電源として使えます。もしポータブル電源があったら、こたつは暖かいままでしたし、わたしが使ったポータブル電源にはLEDライトも搭載されていたので、その明るさですき焼きを食べられたでしょう。
2度の停電を経験して、今度こそポータブル電源を購入しようと心に決めました。
今日もしれっと、しれっと。
