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健康

日本初「薬やめる科」外来の断薬専門医が教える降圧剤のやめ方・減らし方

 薬をやめたいと願っていても、実際にどうしたらやめられるかが分からず、服用し続けている人は多いはずだ。そんな悩みに特化した日本初の外来が「薬やめる科」である。同科を開設した断薬専門医によると、降圧剤の治療薬は、段階を踏むことで、減薬を目指すことができるケースもあるという。2026年を薬いらずで過ごすための断薬フローチャートを公開する。

教えてくれた人

松田史彦さん/医師・松田医院和漢堂院長、2012年に日本初「薬やめる科」を開設

多剤併用するよりも薬を減らす「引き算」が大事

「化学物質である薬には、効果効能とともに数えきれないほどの副作用リスクがあり、飲む薬の種類が多いほど、副作用のリスクは高まります」

 そう話すのは、2012年に日本で初めて「薬やめる科」を開設した松田史彦医師(松田医院和漢堂院長)だ。

「患者さんは症状に応じて循環器内科、糖尿病内科、泌尿器科、整形外科など専門分化した複数の診療科を受診して多くの薬を飲むことになるため、特に加齢で薬を代謝・排出する腎臓や肝臓の機能が低下する高齢者ほど副作用は出やすくなる。不調の原因が薬の副作用であることが見逃され、新たに薬を処方される悪循環に陥るケースも少なくありません」(以下、松田医師)

 松田医師が「薬やめる科」を立ち上げたのは、自身が麻酔科出身であることも影響している。

「ほぼ全ての診療科に関わる麻酔科医師として、医療を横断的に見てきました。症状に応じて薬が“足し算”され、多剤併用による副作用の弊害が問題視される医療の現状を前に、薬を減らす“引き算”の視点が大事だと考え『薬やめる科』を立ち上げたのです」

 現在は同科を訪れた患者に対して断薬・減薬指導に取り組んでいる。

 ある60代男性は、他院で処方された降圧剤5種類、脂質異常症治療薬1種類など1日10錠を服薬していた。頻脈の副作用が疑われたため、松田医師の指導により生活習慣の改善に取り組み徐々に減薬。2週間後に頻脈は消え、降圧剤を2種類(1日2錠)まで減らした後も血圧は基準値以下を維持しているという。

「いきなり『薬ゼロ』を目指す必要はありません。患者さんの症状や意向に応じて生活習慣の改善からアプローチし、ステップを踏んで薬の種類や量を減らすのが理想です」

 具体的に、どのように薬を「減らし」「やめる」ことができるのか。

薬をやめる3つのステップ

 まずは、治療中の患者数が1600万人以上(厚労省「患者調査」2023年)とされる高血圧。数値を下げるため、降圧剤の服用が長期にわたる患者は多いが、減薬や断薬は可能だという。

「降圧剤だけで3種類以上を飲むケースが少なくありません。しかし、副作用の影響を考えると、できれば1種類まで減らしたい。そのためには生活習慣の改善を含め、いくつかのステップを踏む必要があります」

 松田医師が減薬の大前提とするのが、「数値に振り回されない」こと。

「血圧は常に変動します。朝や寒い時に血圧が上がるのは当たり前。第1のステップは、1日に何度も血圧を測るのをやめることです。何度も血圧の数字を見て動揺するより、数値を忘れて好きなことをして過ごすほうが、リラックスして数値が落ちてくるはずです」

 第2のステップは「歩く」ことだ。

「可能ならウォーキングをはじめ毎日適度な有酸素運動をしましょう。運動で一酸化窒素(NO)が分泌され血管が拡がり、血圧が下がります。外出しない時は家事をしながら屈伸運動をするなど、生活にプラスアルファする程度で構いません」

 そうして数値が安定してきたら、薬の減量を検討し始める。ここで重要なのは、服用薬のなかで「やめやすい薬」を知ることだという。

「上(収縮期血圧)が『年齢+90』程度で長期間安定してきたら薬の減量・減薬に取り組みます。複数の降圧剤を服用している場合、効き目の高いカルシウム拮抗薬やARBを残し、効き目がマイルドなACE阻害薬、β遮断薬やサイアザイド系利尿薬をやめるといった選択肢を考えます」

 もともと服用する降圧剤が1種類の場合は、主治医に数値が落ち着いていることを伝え、相談のうえで「10mgの錠剤を5mgに、というように1回の服用量を減らす」減薬が選択肢になるという。

「最終ステップは断薬です。薬の効きすぎによる低血圧のリスクを避けるためにも、75才以上で上が『年齢+90未満』で長期間安定したら、主治医に相談のうえ降圧剤の服用自体をやめることを検討してもいいでしょう」

<降圧剤のやめ方、減らし方>フローチャート

【ステップ1】血圧を1日に何度も測るのをやめる

 血圧は朝と夜でも数値が変わる。何度も計測して数値に振り回されるのではなく、血圧を忘れる時間を作るほうが数値は安定する。

【ステップ2】有酸素運動で上(収縮期)が「年齢+90」程度に安定

 ウォーキングをはじめ適度な有酸素運動には血圧を下げる効果がある。室内で屈伸運動でもいい。上が「年齢+90」程度で安定してきたら減薬に入る。

【ステップ3】「やめやすい薬」から減らしていく

 3種類以上の降圧剤が処方されている場合は、まず1種類減らすことから始める。その際、「やめやすい薬」を把握することが大切。カルシウム拮抗薬やARBに比べ、ACE阻害薬やβ遮断薬、サイアザイド系利尿薬は効き目がマイルドでやめやすい。

降圧剤のやめ方、減らし方

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