耳の不調は“内臓”から整える。聞こえを改善する「腎×腸」エクササイズ4選
加齢に伴い衰える耳。聴力は40代から低下し、75才以上では半数が難聴とされる。音が聞こえづらくなると会話が困難になり、うつや認知症などを誘発することがわかっている。人生100年時代、少しでも長く健康に暮らすため、いまからできる運動法を紹介する。
教えてくれた人
今野清志さん/日本リバース院長、目と耳の美容室院長、目と耳の美容学院学院長。予防医学の重要性から中医学を学び、薬を使わない治療法の確立を目指す。主な監修本に『かんたん!もむだけで耳が若返る』(宝島社)ほか、著書も多数。
体内の「酸素不足」が聞こえにくさの原因に
「中医学によると、難聴の主な原因は酸素不足です」
と、目や耳の治療に特化した整体治療院「日本リバース」院長の今野清志さんは言う。酸素不足は血流の悪化で起こる。
「血の巡りが悪くなると、酸素を体の隅々まで届けられなくなります。特に耳への供給が不足すると、脳に情報を伝達しづらくなり、聞こえにくくなります」(今野さん・以下同)
血流の悪化は、肥満や飲酒、喫煙、ストレス、運動不足などで起こる。
「そもそも、50代以降は老化による呼吸筋(横隔膜や肋間筋など)の筋力低下などで酸素の摂取量が約35%減るので、血流の改善に努める必要があります。
食事面では、神経伝達物質の放出を促すカルシウムを意識して摂ることが大切。脳への情報伝達がスムーズになります。入浴などで体を温めるのも効果的です」
運動面ではエクササイズがおすすめだ。
「まず試してほしいのが『エアなわとび』。有酸素運動なので心肺機能が高まり、血行を促進。胃腸を上下に刺激することで自律神経のバランスも整います。心臓の強化につながる『ももあげ』と、呼吸筋が鍛えられる『ペットボトル呼吸法』も行いましょう」
酸素を取り込みやすい土台を作ったうえで、耳をさすって毛細血管の血流を促進することで、耳の機能は改善するという。まずは2週間、続けてみよう。
10点以上は軽度・中等度難聴の可能性も!<聞こえにくさチェックリストで自己診断>
【各質問の点数】
はい(4点)/時々(2点)/いいえ(0点)
※総得点が10点以上なら軽度・中等度難聴、24点以上なら高度難聴の可能性が高い。
【質問内容】
<1>初対面の人と話すとき、聞こえないことによって困ることがある
<2>家族との会話で聞こえないことによってストレスを感じる
<3>小さな声で話しかけられたときに困ることがある
<4>聞こえないことによって不利益を受けることがある
<5>友人や親類、近所の人と話していて聞き取れなくて困ることがある
<6>よく聞き取れないため、集会や会合に出るのをためらうことがある
<7>聞こえないことについて家族と話をすることがある
<8>ラジオやテレビの音が聞こえにくいことがある
<9>聞こえないことで、やりたいことが充分にできないと感じることがある
<10>レストランや食堂などで知人の話がよく聞き取れないと感じることがある
出典:HHIE-S/Identification of elderly people with hearing problems;Ventry IM,Weinstein BE:asha,25,1983より一部編集部で改変
どこか一部が劣化してもダメ!「聞こえ」の仕組みと難聴の種類
音が「聞こえる」のはなぜなのか。それは、外耳の耳介で音を集めて鼓膜に伝え、中耳で増幅。内耳で音の振動を電気信号に変えて脳に伝えているから。各部位が連携しているので、老化などで一部でも機能が衰えると聞こえにくくなる。
●伝音難聴
外耳や中耳の異常で音が内耳に伝わらない状態。手術で改善するケースも。
●感音難聴
内耳や蝸牛神経、脳の異常で音が感じにくい状態。補聴器の活用で改善。
●混合性難聴
伝音と感音が組み合わさった難聴。加齢による難聴の多くがこれに該当。
