《何回やっても見られない…》TVerの登録に苦戦する林家ペーさん(84歳) 元マネジャーが感じた「ネットを使いこなす高齢者と使いこなせない高齢者」の違い
高齢者でもスマホを使いこなしてさまざまなアプリを活用している人もいれば、スマホは通話しか使わない(使えない)人もいる。両者の違いの背景にはどんなことが考えられるのか? TVerの登録に苦戦する林家ペーさん(84歳)のケースから、元マネジャーでライターのオバ記者こと野原広子氏(68歳)が綴る。
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何回やっても動画が見られない…
「あの、すみません。悪いねぇ。あのね、何回やっても動画が見られないのよ」いきなり例のハスキーボイスというか、浪速節声で私に電話をかけてくるのはご存じ、林家ぺーさんだ。
ぺーさんが出演している番組『相席食堂 ピンク相席』が面白いよと友人からLINEが来たので、もしかしてぺーさんは観てないかもと転送したのが運のツキ。冒頭の電話になったわけ。「ヨシッ」と気合を入れてTVerのアプリをインストールするところからLINEで説明する。
「まずは上の文字をポチして、『開く』をポチしてください」とメッセージを送ると、「開くという意味がわからなくて困ってます」とLINEが来る。さらに「ポチの意味もわかりません」とも。てことは、それから先の「登録をする」となると、ああ、私の言語力の限界。LINEで説明するのは不可能だ。
自らの動画を次々と!
というわけで『まねきねこ』というカラオケボックスでミーティングとなった。その時に1998年のお正月、イチローと共演したNISSANの初売りのCMなど、過去の動画もタブレットに仕込んで持参した。
「わぁ~、なんでこんなのが見られるの?」とぺーさんはいきなり不思議そうに見入っている。ぺーさんのスマホを操作して見せたら、さすが84歳で現役芸人よ。すぐにスマホで動画を見るはどうしたらいいか理解しちゃったの。「わぁ、すごいねぇ。こんなのも見られるの!」と自分が出ている動画を、次々と開きだしたんだわ。その時の「あっ」「うそっ!」って言う目のキラキラといったらない。これならすぐにAIやチャットGPTを使いだすかもね。
高齢者によって違うネットとの付き合い方
と、それで私は考えたの。ぺーさんは週に何本もXの投稿をしている。YouTubeも人手を借りてではあるけど、定期的に配信している。なのになぜ、ネットで動画を見る手段を知らなかったのか。TVerの登録方法を知らなかったのか。答えはひとつ。誤解を恐れずに言えば私みたいなおせっかい人間が近くにいなかったのよ。根っからの芸人のぺーさんは、話していることすべてが芸だ。「余談よ」「余談だけどね」から始まるマシンガントークがあまりにおかしくて、って、これがまずいのよ。なかなか会話、やり取りにならないの。
私だって「ちょっとぺーさん、聞いて!」と話を中断させるまで、けっこうな修行をしたもんね(笑)。
と、それはぺーさんの特殊事情だけど、ぺーさん以外の高齢者、いや、高齢者じゃなくて中年でもネットをどう使いこなしているかは人によって違う。スマホを持っていても電話とLINEしか使わない人もけっこういるしね。で、そんな人から「◯◯まで行きたいんだけどどうすればいいかな」と聞いてきたら、たちどころに何種類かの交通手段を伝えて見せると、「へぇ~、すご~い」と尊敬の眼差しで見られる。
「◯駅の近くで個室のある居酒屋で集まれたらいいけど、店がわからない」と言われたら「ほいっ」とスマホに5、6点投げる。ここでも「へぇ~、すご~い」と大拍手。
同性代よりZ世代から学べることがある
で、この先が分かれ道なの。「どうやったらいいの?」と聞いてきたら、その時からネット世界の一員になるけど、「私はムリ」と決めつけたら旧世代人のままだ。そしてネットで調べたら数秒でわかることを人に聞いて、「また?」という目で見られなくても、なんとなくの引け目ができるんじゃないかしら。
そうはなりたくない私は何をしているかというと、ものすごくカンタンでね。ひたすら若者にコビを売る。そして会話の数を増やして、彼、彼女たちがどんな風にネットを利用しているか、聞き出す。ここだけの話、同世代以上のうるさ方から学ぶことより、Z世代から学べることの方が何百倍もあるんだもの。
旧世代の人から「なによ、偉そうに!」と白い目で見られてもいい。それでも私は現代人の端っこにつかまっていたいのですよ。
最近驚いたのは新宿駅。埼京線で新宿に出て外に出たのだから新宿駅前なのは明白だけど、まさか東口がこんなに変わっているとは! 新宿駅周辺の変化は気づいていたけど、一年見ないうちにどこかわからなくなる。この変化に置いていかれないように、私はしたい。
動かざるもの山の如しというけれど、故郷の筑波山だって視点が変われば違う山に見えるんだよね。下妻市から見た筑波山もなかなかの絶景だ。
◆ライター・オバ記者(野原広子)
1957年生まれ、茨城県出身。体当たり取材が人気のライター。これまで、さまざまなダイエット企画にチャレンジしたほか、富士登山、AKB48なりきりや、『キングオブコント』に出場したことも。バラエティー番組『人生が変わる1分間の深イイ話』(日本テレビ系)に出演したこともある。2021年10月、自らのダイエット経験について綴った『まんがでもわかる人生ダイエット図鑑 で、やせたの?』を出版。実母の介護も経験している。
